
ⒸMagica Quartet/Aniplex,Madoka Project
願いの代償と抗えない運命を描き、多くのファンに衝撃を与えた『魔法少女まどか☆マギカ』。待望の最新作公開を記念し、少女たちが紡ぐ切なくも美しい物語の魅力を大特集! 紫丁香役の若山詩音さん、セルマ・テレーゼ役の黒沢ともよさんにインタビュー。
Index
想像を凌駕する映像に涙が出るほど感動しました(若山詩音)
Character

紫丁香
し・ちょうか セルマ・テレーゼとともに見滝原市に新たにやってきた魔法少女。佐倉杏子とはお茶をしながら本音を語り合い、自分に似たところがあると共感する。普段は衝動的に行動するセルマに振り回されることが多い。
『まどか☆マギカ』は私が本格的に声優業をやらせていただく前から拝見していて、完全にファン目線で新作を楽しみにしていました。それが今作では声優として参加させていただけることになって、ものすごくドキドキしました。初めて台本を読んだ時は、「何、なに、どういうこと!?」と戸惑うことも多くて。『まどか☆マギカ』は劇団イヌカレーさんの唯一無二の表現やシャフトさんの素敵な演出が入るので、自分が想像する何百倍もすごいものが出来上がるんですよね。だから台本の時点では「うーん、わからん。どうなるんだろう」というのが正直なところでした(笑)。その後、リハV(リハーサル用映像)を観ると台本ではわからなかった点と点がつながって線になり、一つの物語になって…。それが、私には涙が出るほど感動的な体験でした。
『まどか☆マギカ』に感じるロマンって、古代遺跡に感じるものと似ていると思うんですよ。その場所にかつて本当にあったものを掘り起こしていくように、自分が得た情報から少しずつ枝葉を伸ばし、そうやって考えたことが、実は真実かもしれないロマン、ですかね。そういう考察に耐えうる重厚さがあるところが、この作品の魅力なんだと思います。そして、ストーリーだけでなく、キャラクター一人ひとりにも思いを馳せたくなる作品でもありますよね。特にほむらの、まどかへの想いに共感します。そばにいてほしい人がみんなを救うために我が身を犠牲にしていなくなってしまって。彼女を取り戻すためにあがいて、自分の世界を作って閉じ込めて。でも、その大事な人はどんなに手を尽くしても自分の元から離れていってしまう。自分を、みんなを大切に思っているからこそ、やさしい言葉をかけて離れていってしまう。それに対して「行かないで」と願うほむらの気持ちを、私も祖母を亡くした時に経験しました。どうしても掴めないものをなんとか掴もうとするけれど、こっちに来てくれないからもう呼びかけるしかないという気持ちは、とても切なくて苦しいだろうなと思いますね。
この作品は私にとって夢が叶った作品であり、一人のファンとしても待望の作品です。紫丁香は、きっと将来私が声優として歩いてきた道を振り返った時、ひときわ輝いているような子なんじゃないかなと思うんですよね。私はこの作品で紫丁香を演じさせていただいたという自信を胸に抱いて、これから生きていきたいなと思います。自分に従って生きることもそうなんだけど、やさしさに甘えること、誰かを許すこと、そういう紫丁香が生きた道のりに私もちょっと乗っかって、勇気を出して、一歩を踏み出してみたいなと思いました。
素晴らしい演出、音楽、お芝居が詰まった作品ですし、我々がずっと議論してきた“ワルプルギスの夜”の一つの答えがわかるかもしれません。ぜひ真実をその目で確かめ、この作品を劇場で浴びていただけたらうれしいです。
Profile
若山詩音
わかやま・しおん 千葉県出身。2歳で劇団ひまわりに入団。主な出演作として『リコリス・リコイル』の井ノ上たきな役、『ダンダダン』のモモ役、『マリッジトキシン』の城崎メイ役など。
この10年の答え合わせをするような時間でした(黒沢ともよ)
Character

セルマ・テレーゼ
紫丁香とともに見滝原市に新たにやってきた魔法少女。くまがモチーフの遊園地でマミとなぎさと出会い、仲よくなる。楽しいことが大好きだが、それ以上に誰かの役に立ちたいと願っている。
まず、この作品への参加が決まった時、まっさきに思ったのは「ヤッター!」でした。中学生の時にリアルタイムで観ていて、一ファンとして触れていた作品だったので、「これってどういうことですか!?」って堂々と制作陣に聞けるぞ、と(笑)。魔法少女がやりたかったのも、ソウルジェムが欲しかったというのが理由なくらい、『まどか☆マギカ』に出てくる小物のディテールが当時の自分にはすごく刺さって。そういった作り込みの美しさに惹かれた記憶があります。
視聴者として、魔法少女に救われてほしいという気持ちで作品を観てきたんですけど、今回セルマを演じることになり、葛藤がありました。彼女が抱える闇深さは、救われていいのか、自分なりに考えてから臨むべきだと感じて。何の役にも立たない自分はゴミだと思ってしまうにとどまらず、彼女はそれを正しさと結びつけてしまった。現代的な象徴に例えるなら、SNSで正義をふりかざしていることそのものが正義からはかけ離れている、みたいな。その矛盾がまるまる当てはまってしまうキャラクターなので、「簡単に救われてはいけない」ということを念頭に置いて演じました。もちろん一役者の思考実験の過程のことなので、それが答え、ということではないのですが。このせめぎ合いが『まどか☆マギカ』らしいのではないかと思ったし、『まどか☆マギカ』という形式美の上だから描ける、実はこの世の中にある澱みたいなものを感じました。個人的には、彼女とまどかが対峙するシーンが印象深かったです。
『まどか☆マギカ』には「こういう気持ち、わかる」というのを随所に感じるのですが、私の共感が行きつく先はほむらでした。『まどか☆マギカ』に惹かれる理由の一つが、美しい執着の形。それこそセルマの役目が終わってからの物語の展開は、涙で視界が霞むほど泣きました。そうだよね、まどかに憧れたあなたの物語だったよねって。エンディングも最後まで泣き続けました。
30歳の節目の年に、自分が声の仕事に携わる前に観ていた作品に関わらせていただくこの経験は、10年間の答え合わせをしているような気持ちになりました。今までの自分を作ったという意味で大切な作品である『まどか☆マギカ』に、攻めの姿勢で携われたことは、未来の自分にも影響を及ぼすんじゃないかなと思います。
「そういうことだったのか」と何度も思いましたし、その気持ちをみなさまと共有するのが今からとても楽しみです。大好きな作品に新しいキャラクターとして登場するのはこの上ない緊張感がありましたが、愛を込めて、誠意を持って演じさせていただきました。それがみなさんに届くといいなと願っています。セルマが愛してもらえますように…!
Profile
黒沢ともよ
くろさわ・ともよ 埼玉県出身。2010年にアニメ映画『宇宙ショーへようこそ』の小山夏紀役で声優デビュー。『響け!ユーフォニアム』の黄前久美子役や『宝石の国』のフォスフォフィライト役など出演作多数。
Information

ⒸMagica Quartet/Aniplex,Madoka Project
『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』
悪魔となった暁美ほむらは、鹿目まどかを見守りながら、この世界をほしいままにしていた。しかし、ある日突然、そんなほむらの日常を揺るがす大きな異変が訪れる…。
anan 2510号(2026年9月2日発売)より
































