「小学校の給食の時間に、先生がこのお話を読み聞かせしてくれて、いま思い出しても泣きそうになるくらい大好きではあったんです。とはいえ、日本のミュージカルの玄関口の帝国劇場で、そのマスターピースですからね。ただ、この年までまるで触れてこなかった世界は、言い換えれば新しく学べるものの塊。えいやっと飛び込んでいったほうがいいんじゃないかと思ったんです」
歌あり踊りありの公演は新感線も同様。しかしこのミュージカルは、「射撃のように、スコアに書かれた音符をひとつひとつ確実に撃ち抜いていかなきゃいけない舞台」とも。
「最初は決まった動きを覚える稽古で手一杯でしたが、昨日あたりから段取り以外の動きを演出でつけてもらって…楽しかったですねぇ。ここから、セリフや歌に対しても、動きに対しても、もっと役が自分の腑に落ちて、きっとテナルディエだったらこうするなと思って動けるよう、役として早く自由になりたいです」
民衆が圧政に苦しむ時代のフランスで、他人から金品を巻き上げても悪びれずに生きるテナルディエ。重厚なドラマのなか、飄々とした彼の場面では曲に合わせ客席から手拍子が起きたりもするが、「コミカルに演じるつもりは一切ないです。むしろ怖い人間として演じたい」 そう。その口調に生真面目な素顔がのぞく。
「当時、食べるものはなく、街には糞尿が散乱していたそうです。そんな日常なら誰でもテナルディエのようになっておかしくない。狡猾で短絡的で生きるためにはどんな卑劣なこともする、どこにでもいた人として見せられたらと思っています」
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