
占いは身近な存在だけれど、それだけに知っているつもりになっていることも多々あるはず。占いとの付き合い方や気になる占いなど、気になるあれこれを聞いてみました。
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Q. 占いってそもそもいつできたんでしょうか?
占いは、それ自体を定義することが難しく、いつからと言えないのが正直なところ。それは例えば、神様の概念を問うことに近いでしょう。「神様って何?」といったら宗教によっても違うので、画一的に定義することはできませんよね。占いも同様に、“星の配置で時代や人の運勢を観る”などのイメージがあるかもしれませんが、それを占いと言う人もいれば、学問と捉える人もいて、一概に言えないのです。ただ、仮に「この世界の出来事や流れを何か目には見えない『うら』の世界を通して解釈したり判断する営み」とするならば、今のホロスコープ占星術は古代バビロニアに始まり、1世紀にはほぼ現在の体系に近いものが出来上がっています。
Q. どういう時に占いに行くとよいですか?

これは、どのくらいの頻度で人生が変わるのかという質問と同義です。古の人たちのように生まれた瞬間から運命が決まっていると思わず、自分で介入できるという考え方で、とても近代的。ただ、時間はシームレスなので、自分の人生が切り替わるタイミングを計るのは難しい。そこで、暦のうち区切りのいい時に占いをするといいのではと思います。
例えば、1年の始まりの1月や、下半期への切り替え前の6月など。あとは誕生日、自分の干支の年といったタイミング。また、新月や満月といったサイクルでもいいでしょう。占いたいと思った瞬間のことを“占機”といいますが、自分が求めている時に占いをすると、当たるといわれています。
Q. 占いを人生に役立てる方法を教えてください!

占いは、自分の既定路線を壊してくれるところが大きいと思うんです。自分はAだと思うのにBがいいという結果が出た時に、それを拒否することはもちろんできます。ただ、なぜBがいいのだろうと考えることで、世界の別の見方が得られるというか。自分を解放する手段の一つになるのです。
占いには2つの大きなベクトルがあって、一つは自分の思いもよらない結果が出て開眼するパターン。もう一つは自分の進むべき道が見えない時に、安定させてくれるパターン。いずれにしろ、自分のストーリーを改めて書き直してくれる役割があるのです。これらを使い分けることで、自分の望む方向性に人生を導くことができるでしょう。
Q. 占いとの付き合い方を教えてください!
占いにどれくらい重きを置くかにもよりますが、基本的にはエンタメと考えていいと思います。目に見えない世界に対して窓を開くのが占いの役割だと思うので、楽しんでほしいのです。たとえ嬉しい結果ではなかったとしても、それがスパイスになればいいのであって、囚われる必要はないと思います。二者の選択に迷っている時に、本望ではない選択肢を占いで勧められることもあると思いますが、最終的に決めるのは自分です。
また、占いで良いことだけを信じるという人もいますが、それも正解。ただ、結果の良し悪しにかかわらず、占いの結果で気になることがあったら、それが自分にとってどんな意味を持つのか、考えてみるといいでしょう。
Q. 西洋占星術以外の占星術ってあるのでしょうか?
インド占星術や密教占星術、マヤ暦など、ありますよ。これらは占い方が異なります。
占星術は大きく分けると3種類あり、一つは突然流れ星が現れるなど、天文暦を使わず実際の天体の運行を用いるタイプ。前兆占星術ともいいます。もう一つは、実際の天体の運行を用いる占星術。西洋占星術は、これにあたります。そして、最後は四柱推命や九星気学といった暦を使うタイプ。星の運行がもとになっているものの、いったんカレンダーに落とし込んでいるので、実際の天体の運行は用いていません。どの種類がどの分野に強いということはなく、占いたいことがあればどれを用いてもいいと思います。だからといって、結果が同じということではありません。
Q. 占いでどんなことがわかりますか?

僕が用いている西洋占星術では、さまざまなことが占えます。その大元は神々からのメッセージだったので、国家や民族の安寧、天候、疫病などを占うことから始まり、ヘレニズム時代からは人の運勢を占うなど個人化されてきました。
個人的なことで初期に占われていたことの一つが寿命です。昔は今と違って、病気で命を落とすことが珍しくありませんでした。そのため自分が何歳まで生きられるのかは、大きな関心事だったのでしょう。あとは仕事運、金運の有無、いなくなった猫の居場所など具体的なことも占えます。性格判断もできますが、今のようにそれを占うことがメジャーになったのは19世紀末くらいからです。
Q. 鏡さんが今気になっている占いについて教えてください!

19世紀くらいに作られた、さまざまなカード占いが気になっています。例えば、ナポレオン妃お抱え占い師のマドモアゼル・ルノルマンに由来する「ルノルマンカード」。36枚のカードからなり、「YES」「NO」で答えられるシンプルさと、正確な予言力が魅力です。カードの枚数がルノルマンカードと同じ36枚の「キッパーカード」は、ドイツで誕生したカード占い。19世紀には、いろんな手相がカードになった「手相占いカード」も作られました。どれもデザインが可愛く、時代を経て今もなおモノとして残っているところに惹かれます。これらのカードで占えるのは、仕事、金運、恋愛など。人の関心は、いつの時代も変わりません。
Q. さまざまな占いを試したら、よくわからなくなってしまいました。どうしたらいいでしょうか?
占いは、区切りのいいタイミングに1回やるのが基本です。でも、きっと自分の望む結果が出ないから、いろんな占いをやりたくなってしまうんですよね。そうしていると気がまぎれるので、答えを出すというより、僕は気の済むまでやり続けていいと思います。
ただ何度も試すのならデジタルよりアナログがおすすめですね。おみくじを引いたり、自分でカード占いをやったりと、身体感覚が伴わないと永遠に続けてしまうと思うから。これは現時点でのアドバイスで将来的にどうなるかはわかりませんが、少なくとも今はリアルな占いがおすすめです。トランプ占いもいいと思いますよ。いろんな占い方ができるので、飽きずにできるのでは。
Q. 東洋の占いと西洋の占い、どんな違いがありますか?
東洋のなかでも東アジアの占いは、社会関係を重視するのが特徴です。出世をしたり、家族の繋がりを強くしたりすることに、占いを活用する傾向があります。また、インド占星術は宿命論的。過去世から積み重ねてきた行為や記憶であるカルマを読み解きます。
西洋占星術ももとは宿命論的でしたが、近代になると自由意思を重視するようになります。自分の人生を充足させるためには、どうしたらいいのかという発想です。ただ、これにはバックラッシュがあり、宿命論に立ち返る占星術家もいます。また、「水瓶座の時代」の新時代に移行するという西洋占星術的な思想のもと、願えば叶うといったスピリチュアルな解釈をする人たちなど、さまざまです。
Q. 最近タロットカードが話題です。どんなことを占うのに向いていますか?

一般的に、占星術は長いスパンで物事を考えたい時に、タロットは一問一答で占いたい時に向いているといわれています。ただ、タロットは深く読むこともできるし、占星術は一問一答にも対応するなど、逆も然り。
タロットが人気の理由は、「運命の輪」など使っているシンボルが普遍的で、一見してわかりやすいからだと思います。その構図も400~500年変わっていません。新しい占いができることもありますが、それは伝統的な占いの焼き直しであることが多く、長持ちしないんです。一方、タロットが15世紀にカードゲームとして誕生以来、変わらず存在するのは、それだけ完成度が高いということ。人の心を掴むソウルフルな存在といえます。
Profile
鏡リュウジ
かがみ・りゅうじ 占星術研究家、翻訳家。占星術の心理学的アプローチを日本に紹介し、従来の占いのイメージを一新させたパイオニア。著書は『鏡リュウジの占星術の教科書』(原書房)シリーズなど多数。
anan 2502号(2026年7月1日発売)より
































