体温を上げるカギは、肩甲骨と骨盤&背骨に。
「体の使い方が偏りがちな現代の生活では寝返りを打つ回数が減り、寝ている間に体が縮こまって血流も滞りがち。とくに寒い時期は、寝たままできるストレッチで体を温めてから一日を始めるのがおすすめです」
とは、ヨガインストラクターとして、初心者でも取り組みやすいストレッチを多数提案する西林さきさん。体を効率よく温めるポイントは肩甲骨まわり・背骨・股関節まわりの3か所で、とくにカギを握るのは肩甲骨と股関節だという。
「まずは深呼吸で脳に酸素を送り、ゆるやかに目覚めさせてから、肩甲骨を中心に動かす上半身のストレッチを。肩甲骨周辺は、脂肪を燃焼させて体温を作り出す褐色脂肪細胞が集まっているところ。ここが活性化されると体が素早く温まり、その後の日常生活の動作でも熱が生産されやすくなります。いわば、体のヒーター役。朝のうちにしっかりとスイッチを入れておきましょう」
上半身が温まったら、大臀筋やハムストリングスなど大きな筋肉が集中している、股関節まわりを中心に刺激する下半身のストレッチへ。
「大きな筋肉群のポンプ作用によって、そけい部を通っている太い血管が刺激され、全身の血流量がアップ。下半身の冷えやむくみに悩まされている人はとくに丁寧に行って」
最後に起き上がり、背骨をほぐして終了。全部で5分足らず、ぜひ毎朝のルーティンにしたい。
「深呼吸と、上半身&下半身のストレッチは、冷えて寝付けない夜に行うのもいいですよ」
寝起きストレッチ3つのいいこと
- 寝たままできるシンプルな動きで、5分以内で完了。
- 朝イチに体を温めておくと、日中の効率よい体温キープが可能に。
- 自律神経バランスが整って、頭もすっきり!
ここでは、WARM UPと、STEP1として肩甲骨まわりのストレッチをご紹介します。
【WARM UP】まずは深呼吸。全身に血を巡らせる!
深呼吸&足首伸ばし
目が覚めたらまずは鼻でゆっくりと深呼吸を繰り返し、脳をゆるやかに覚醒させて。動く準備ができたら、アイドリング代わりに、深呼吸とともに足首を曲げ伸ばしする運動をスタート。
1、仰向けに寝て足を腰幅に開き、両手の親指と人差し指で三角形を作ってお腹に当てる。三角形の中心を膨らませるように鼻から息を吸い、続いて手のひらを床に近づけるつもりでゆっくり鼻から息を吐く。3回繰り返す。
2、同じように深呼吸しながら、足首の運動も行う。息を吸いながらつま先を上に向けて足指をぎゅっと握る。
3、息を吐きながら足首とつま先を伸ばす。2と3を3回繰り返す。
肩甲骨まわりを刺激して、上半身をぽかぽかに。
バナナストレッチ
伸びをしながら左右どちらか一方に手足を移動させ、体の片側をストレッチ。肩甲骨と肋骨をつなぐ筋肉が伸びて活性化され、これだけでぽかぽかしてくるはず。呼吸もより深くなり、一石二鳥。
1、仰向けのまま、両手を胸の上で組む。
2、両手を頭上へと伸ばし、さらに上半身を右斜め上に向かって伸ばす。
3、両足を右斜め下へと移動させて、弓なりのポーズをとる。左の脇腹がしっかりとストレッチされているのを感じながら、3回深呼吸する。反対側も同様に行う。
LEVEL UP!
伸ばす側の足を上に乗せるとさらにストレッチ効果UP。
肩甲骨回し
褐色脂肪細胞が多い肩甲骨のまわりと肩の前の大胸筋を伸ばすエクササイズで、温めスイッチをオン! 腕を後ろから前に移動させるときに息をゆっくり吐くと、気持ちよく行える。肩こり予防にも。
横向きに寝て膝を軽く曲げ、両腕を胸の前に伸ばして手のひらを合わせる。上になっている腕を伸ばしたまま、息を吸いながら上回りにゆっくりと3回回す。息をゆっくりと吐きながら下回りに腕を3回回す。指先をできるだけ遠くへ送るイメージで。反対側も同様に行う。
西林さきさん ヨガインストラクター。YouTube「さきヨガちゃんねる」(@sakiyoga1206)は、登録者数25万人を突破。『90秒でみるみる体が柔らかくなるさきヨガ ほぐしストレッチ』(マイナビ出版)が発売中。
※『anan』2023年12月6日号より。写真・中島慶子 ヘア&メイク・浜田あゆみ イラスト・田中麻里子 取材、文・新田草子
(by anan編集部)