東京の空に“誰かの顔”が浮かぶ! この夏楽しみたい現代アート「まさゆめ」。

写真・内山めぐみ 取材、文・河野友紀 PR・公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 — 2020.3.25〔PR〕
今年、東京では注目の文化イベントが開催されます。13の催しの中で、最も不思議と言っても過言ではないのが、この「まさゆめ」。企画者である目 [mé]の3人が解説します!

※ 本インタビュー記事は、2020年1月に行われた取材をもとに作成されたものです。現在、スペシャル13の各企画は、新型コロナウイルス感染症の影響及び東京2020大会の延期を受け、開催日程を見直しています。最新情報は、スペシャル13の公式サイトをご確認ください。


文化でつながる、未来とつながる。
Tokyo Tokyo FESTIVAL
スペシャル13特集

文化でつながる。未来とつながる。Tokyo Tokyo FESTIVAL(ロゴ)

難しいことは抜きにして、楽しんで!(南川さん)
顔を目撃したらきっと頭の中が無になると思う。(荒神さん)
「顔だ!」と思ってもらえると嬉しいです。(増井さん)

目[mé]
目 [mé]
左・南川憲二さん 中・荒神明香さん 右・増井宏文さん
アーティストの荒神、ディレクターの南川、インストーラーの増井を中心とする、現代アートチーム。昨年11〜12月に『目[mé] 非常にはっきりとわからない』を千葉市美術館にて開催し、話題になった。

若手現代アーティストとして活躍が目覚ましい、3人組の“目[mé]”。彼らはこの夏、東京都が展開する文化イベント「Tokyo Tokyo FESTIVAL」(略してTTF)の一つとして、アートプロジェクト『まさゆめ』を企画中。その内容は、“東京の空に、大きな顔を浮かべる”というものだそうで…。
―企画の説明を読ませていただいたのですが、あの、空に顔が浮かぶとは、どういうことですか?

南川 ですよね(笑)。そもそもこれは、荒神が中学生のときに見た夢がベースになっているんです。
荒神 当時私は広島に住んでいたんですが、夢の中で、塾帰りに電車に乗っていて、ちょうど林の間を走っていたんです。ぼーっと車窓を眺めていたら突然林が開けて街が見えて、夕暮れ時、割と暗くなり始めた空に、お月さまのようにめっちゃ大きな光る人の顔が浮かんでたんですよ。で、一瞬でまた林の風景に戻ってしまって…という夢でした。当時友達にも話したんですが、あんまり相手にされず(笑)。でも何か大事な夢のような気がして、「いつか何かにつながるかもしれない」と思い、心の中にそっとしまっておきました。
南川 実は2014年に栃木県の宇都宮市で、『おじさんの顔が空に浮かぶ日』というプロジェクトを行い、文字通り、宇都宮の住宅街の空におじさんの顔を浮かべました。そのとき、この作品は僕たちの存在意義に迫るようなものになるかもしれない、という確信を得まして。だからこそもっと規模を大きくして、もう1回浮かべたい…と思っていたときに、この「TTF」のアイデア公募のチラシを目にしまして。“挑戦しているか”、“巨大化できるか”といった文言を見て、「これは『まさゆめ』をやれ、ということだ!」と確信しました。
荒神 2020年の夏の東京というのは、世界中からいろんな人が集まる、滅多にないタイミング。そのときに、前回より巨大になった顔を浮かべることができたら、なんておもしろいんだろうと。
増井 話を聞くと、確かに僕たちのコンセプトがぴったりな気がして。いまだかつてないサイズの顔を作り、ぜひ浮かべようと奮い立ちました。


世界中から選んだ一人の顔を、東京の空に浮かべます。まさゆめ

4年に一度の大きなイベントが開催され、賑わう東京の空に、人の顔が月のように浮かぶ、そんなアートプロジェクト。

まさゆめ イメージ
『まさゆめ』のイメージ画像。まるで月のように、大きな顔が東京の空に掲揚される予定。選ばれるのは、この世界に実際に生きている“誰か”の顔。果たしてどんな顔なのか…。
©目[mé]

企画者 目[mé]
会場 都内数か所

Tokyo Tokyo FESTIVAL / TTFとは?

オリンピック・パラリンピックの開催都市として、東京を文化の面から盛り上げるため、多彩な文化プログラムを展開する東京都の取組です。中でも、「TTFスペシャル13」は、国内外2,400以上の公募から選ばれた、TTFを象徴する13のプロジェクト。


国内外から集めた顔の中からどんな顔が選ばれる?!

―今回は、浮かべる“顔”の候補を、世界中から募集したと伺っています。顔を選ぶポイントは?

荒神 昨年、顔の研究をしていらっしゃる方などをお招きし、〈顔会議〉を開き、2020年の東京の空に浮かべるべき顔はどういう顔がいいのか、一般参加型のオープンなディスカッションをする会議を開催しました。その中で、「跳ね返りのある顔」や「見るのにちょっとためらう顔」など、いろんなキーワードが上がり、それを元に選んで、東京の空の写真に乗せて眺めて見ています。見れば見るほどのめり込んで、応募されてきた数々の顔と向き合って…。
南川 “選ぶ”ということは、すなわち“選ばない”と同義なのか?! とか、禅問答のようになってしまい、もはや顔のゲシュタルト崩壊状態が始まっています(笑)。
荒神 哲学的になる顔、思想が広がっていくような顔、いろんな顔があるんですが、それもどこに配置するかで、いろんな意味が生まれてくる。それを経て気がついたのが、たぶん私たちが目指しているのは、“意味を超えた風景”なのではないか、ということでした。
増井 荒神がプロジェクトのコアになるアイデアを生み出し、南川がそれを具体化する。僕がその案を、物理的に形にする役割なので、彼らが顔を選んでいる間にいろんな業者さんを訪ね歩き、「空に浮かべる顔を作りたいんですが、ご協力いただけますか…?」と、ご相談しています。

―…不思議がられませんか?

増井 不思議がられます(笑)。でも、最初は「何言ってるんだこの人?」という顔をする方でも、熱心に話をすると、急にやる気になる瞬間みたいなのがあって。そのあとは、下手すると業者さんのやる気の方が僕らを上回る、なんて奇跡が起きたりもします(笑)。


毎日に潜む“なんで?”に向き合うきっかけになれば。

―浮かべるのは、有名人ではなく、一般の方の顔なのですか?

南川 そうです。それこそ金メダルを獲得するような人がたくさん生まれる今年の東京で、ただの“一個人”の顔が空に浮かびます。その人が誰なのかは、特にアナウンスはしない予定です。「あの人、誰?!」という形で、話題になっていったらおもしろいな、と。
荒神 「なんで顔?!」とか、「なんでこの人?」とか…。世の中にはいろんな“なんで?”が溢れていて、その“なんで?”は、向き合ってもいいし、見ないようにして生きることもできると思う。たぶんアートって、その“なんで?”に、一歩踏み出すきっかけみたいなものなのでは、と思うんです。わたしたちの『まさゆめ』が、謎と現実をつなぐ橋渡しのような存在になったら、嬉しいと思います。
増井 今回は、6、7階建てのビル程度の体積を予定しているので、かなり大きな顔になる予定です。
荒神 仕事帰りにふと空を見上げたら、ビルの間から顔がぬっと出てきたりするかもしれません。
南川 高いところにいる人は、後頭部だけを目撃することもあるかもしれないです(笑)。
増井 たとえば、つむじなどのディテールも見てくれたら嬉しいです。
荒神 見た瞬間、もしかしたらみんなの頭は“無”になるかもしれません。悩みとか、ストレスを一瞬忘れるような瞬間って、なかなかないですよね。人によってさまざまな瞬間を経験して欲しいです。

―いつ、どこに顔が上がるのか、とても気になるのですが…。

南川 それは秘密なんです。今年の夏、東京のどこかで、とだけお伝えしておきます(笑)。夏になったらいろんな人が空を見上げることになったら嬉しいです!


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DANCE TRUCK TOKYO イメージ
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photo by bozzo
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隅田川怒涛 イメージ
©HOKUSAI MUSEUM, OBUSE
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差し替え_もしも東京
企画者 漫画「もしも東京」展実行委員会
入場料 無料
※各イベントの内容は変更になる可能性があります。

取材協力・公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
問い合わせ先・Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル13事務局(☎03・6256・9921)
Tokyo Tokyo FESTIVAL公式サイト
https://tokyotokyofestival.jp
Tokyo Tokyo FESTIVALスペシャル13公式サイト
https://ttf-koubo.jp