鈴木もぐら「え? 肉使っていないの?」 ヴィーガン中華料理店で代替肉に衝撃!?

2024.3.8
代替肉は「エシカル」だけでなく、肉を求める食欲も満たすのか──。この問いに答えるべく、欲望に忠実な男・鈴木もぐらが下北沢に現れた。ヴィーガン中華料理店『Oscar』で最新のプラントベースフードを食べた彼を驚かせたのは、まさかの“魚介”だった…?

What ‘s PLANT-BASED FOOD?

植物由来原料の食べ物は環境負荷の軽減にも!
植物由来の原料で肉や魚などを再現した食品のこと。大豆ミートやオーツミルクが代表的。アレルギーや宗教的理由で限られた食の選択肢を広げたり、一般的な食肉より生産時のCO2排出量や水資源の使用量が少ないなど、サステナブルな面でも注目を集めている。

再現度の高い代替肉やエビに驚愕&大満足!

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ある晴れた日の昼下がり、お笑いコンビ・空気階段の鈴木もぐらさんが下北沢に現れた。「以前は下北の劇場でライブをしていましたね」と話す彼が本日訪れたのは、ヴィーガン仕様のアメリカンチャイニーズ料理が楽しめるダイナー『Oscar』だ。ミントグリーンのテーブルやネオン管、たくさんの料理写真パネルが目を引く店内は、ウォン・カーウァイ監督の作品をイメージしたもの。店に入ったもぐらさんは、興味深そうに料理が並ぶショーケースの前へ。アメリカンチャイニーズの魅力の一つは、油をたっぷりと使った、食欲をダイレクトに刺激するパンチあるメニューの数々だが、『Oscar』では動物性食材を使わず、代替食で再現している。料理を見た瞬間、「え? 肉使っていないの?」と驚きの表情を見せる。普段はフライドライスやチャオメインなどの「サイド」と「メイン」と呼ばれるおかずを組み合わせて注文するが、今回は特別にいろいろなメニューを食べることに。

まずは〈スイート&サワー“ポーク”〉から。「うんまい!!!」「これは肉です!」と目を見開く。続く〈オレンジ“チキン”〉は、「ついていない鶏皮の存在を感じます…」、〈“ビーフ”&ブロッコリー〉は「こんなに牛みたいな食感が出るんですか」と、信じられない様子。合間にはフライドライスとチャオメインを食べ、「ねぎの油がうまい。後味もいいですね」としみじみ。〈マーポートーフ〉を食べた時は、「完全にひき肉です!」と、あのポーズを披露。そして、「問題はこいつでしょう。第一印象から気になっていました」と手を伸ばしたのが〈“ミート”ボール〉だ。「持った感じも肉団子です」と言いながらかじりつくと、「外カリッ! 中じゅわ! 肉じゃないのに?」と大興奮。また、あまりの衝撃を受けたからか、「これは大豆がすごいんですか? それともマスターの技がすごいんですか? アメリカで勉強した? え、独学?」と、マスターを質問責めに。最後に食べたのは〈“ハニー”ウォルナッツ“シュリンプ”〉。「エビは無理でしょう」と言いつつも、一口食べた途端、「プリッとしてる! うそー!」「こんにゃくを使っているんですか。こんにゃく芋を作っている人がめちゃくちゃびっくりすると思いますよ。俺、エビ作ってるじゃんって」と、箸が止まらない。「中華料理に海老マヨがあったことが勝利ですね」と嬉しそうな表情を浮かべていた。

ちなみに最近ダイエットに成功したもぐらさん。体の変化についても教えてくれた。「痩せると耳がよく聞こえるようになり、目覚ましの音で起きられています。あと、基本的に電車に乗ると寝ちゃうんですけど、一番痩せていた時は、ずっと起きていられたことがあって。高校生以来でしたね。今、ロレックスが盗まれるような物騒な事件もありますから、そのほうが安心です。あ、俺は持ってないですけど。でも、ダイエットをして思ったのは、三大欲求なんていいますけど、性欲も睡眠欲も食欲には勝てません。街を歩けば食の誘惑ばかり。AIに支配されることを恐れる以前に、俺たちはメシに支配されているんだと気がつきましたね」

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また、今号の特集テーマであるSDGsについては、「すべての資源は限りあるものだと思うので、リサイクルは意識しています。昔はその辺に捨てていたハズレ馬券も、燃えるゴミに入れるようにしています」と教えてくれた。

この日、ご飯と麺含め11品の料理を食べ終えたもぐらさん。

「これまでプラントベースフードを食べる時は、50%くらい、“これは肉だ”と自分に思い込ませながら食べる感覚がありました。でも、今日の料理は全部、普通の肉としか思えないものばかり。しかも、味もうまいし、がっつりだし、大満足です! 特に〈“ハニー”ウォルナッツ“シュリンプ”〉を食べた時は、これはとんでもないことになった…という感じがしました。肉だけでなく魚介にまで手を出していることに驚きだし、いつか“プラントベースうな丼”が生まれ、松でも800円で食べられる時代がくるといいですよね。肉でいうと、プラントベース焼き肉や、しゃぶしゃぶが現れたら、到達点という感じがします」

代替肉は大豆が主な原料だと聞き、もともとあった大豆への尊敬の念が、さらに強まったとも話す。

「味噌や醤油、納豆の原料である時点で、大豆のすごさは世界ランキング上位だと思っていましたが、さらにランクが上がりました。穀物ランキングなら1位です。あ、米もすごいんだけど…。(10秒くらい悩んで)米は米にしかなれないですから。子どもに肉や魚だと言ってプラントベースフードを食べさせて育て、20歳の時に、『お前が食べてきたものは全部、豆なんだ!』と言うこともできるようになりそうですね。でも、プラントベースフードを本当の肉やエビと変わらない感覚で食べられるのは、マスターをはじめ、作る人の努力や日々の研究の成果だと思います。本当にすごいですよ!」

と、作り手への敬意を熱くマスターに伝えたもぐらさん。そして、お腹をさすりながら満足そうな表情を浮かべて、店を後にした。

オレンジ“チキン”
鶏肉の代わりに弘陽食品の「分離大豆たんぱく」(台湾)

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大豆タンパクでできたチキンを使用。約45分茹でた後に手で裂いたものをニンニク&生姜と炒め、油を加えてジューシーさをプラス。さらに片栗粉で練りながら仕上げている。サクッとした歯ごたえや香ばしさ、オレンジソースの甘く爽やかな風味の絶妙なバランスがクセになる。

“ビーフ”&ブロッコリー
牛肉の代わりにネクストミーツの「NEXTカルビ2.0」(日本)
オイスターソースの代わりに金蘭の「精進オイスターソース」(台湾)

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ほどよい歯ごたえのある“ビーフ”の正体は、大豆から作られた“カルビ”。それをニンニクで香り付けした油で炒め、さらに転化糖と大豆、小麦、シイタケ抽出物などで作られたヴィーガンのオイスターソースで味付けした、食欲をそそる一品。ブロッコリーたっぷりで、食べ応えもばっちり。

“ミート”ボール
ひき肉の代わりにネクストミーツの「NEXTミンチ2.0」(日本)

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大豆から作られた玉ねぎ入りミンチに、さらに玉ねぎとクワイを加えてタネを作った、大ぶりサイズが嬉しい〈“ミート”ボール〉。弾力があり、噛むほど口の中に旨味が広がっていく。ソースには、とろみと酸味が特徴的な黒酢と、野菜だしなどを使っていて、コクと深みを感じる味わいに。

“ハニー”ウォルナッツ“シュリンプ”
エビの代わりにグリーンカルチャーの「ヴィーガン対応冷凍ベジ小エビ」(日本)
マヨネーズの代わりにケンコーマヨネーズの「ノンエッグマヨネーズタイプ」(日本)

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こんにゃく粉と、馬鈴薯やタピオカ、小麦のデンプンなどで作られた“むきエビ”とくるみを、卵不使用のマヨネーズで和えたエビマヨ。エビが愛される理由の一つであるあのプリプリ感が見事に再現されていて、一口食べた瞬間に驚くこと間違いなし。お箸が止まらなくなるメニューです。

Oscar 東京都世田谷区代田2‐36‐15(BONUS TRACK内) TEL:03・6823・7496 11:30~21:00 不定休 詳細はインスタグラム(@oscaramericanchinese)で。注文は、麺や米の「サイド」から1種(orハーフ&ハーフ)と、おかず系の「メイン」から選ぶ。メイン1種のボウル¥1,210、メイン2種のプラッター¥1,430、メイン3種のデラックス¥1,760。

すずき・もぐら 1987年5月13日生まれ、千葉県出身。空気階段の主にボケ担当。『空気階段の踊り場』(TBS ラジオ)などに出演中。『別冊少年チャンピオン』(秋田書店)で「空気階段の手すりに掴まれ」を連載中。

※『anan』2024年3月13日号より。写真・吉松伸太郎 取材、文・重信 綾

(by anan編集部)