もしも恐竜が、現代に生きていたら……。恐竜好きなら一度は考えたことがありそうだが、『ディノサン』著者の木下いたるさんもそのひとり。

人間と恐竜は共存できる!? 恐竜園の新人飼育員、奮闘記。

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「もともとマンガ家を目指していたのですが、大学卒業後、パラオという国で働く機会があって、当時住んでいた家の目の前がジャングルだったんです。その雰囲気がいかにも『ジュラシック・パーク』に出てきそうな感じで、そういえば昔、恐竜が好きだったなと思い出したのが、本作を描くきっかけになりました」

物語の設定は恐竜の生き残りが発見されて、遺伝子操作などで再生された現代。一時は恐竜ブームに沸いたものの、とある事故がきっかけで下火に。経営難に陥った恐竜園「江の島ディノランド」に新人飼育員として入社するのが、主人公の須磨すずめだ。木下さんは前作でも、恐竜のパニックマンガを描いているが、それ以前からアイデアを温めていたのがこの飼育モノだったそう。

「僕自身、家畜の飼育経験などがあるので、知識というより手触りの感覚で描けると思ったのです」

恐竜のリアルな描写に欠かせないのが監修者・藤原慎一さんの存在。

「体や動きのディテールなどは、藤原先生に何度もチェックしてもらいながら描くのですが、いかに本当っぽく見せるか毎回苦労しています。トリケラトプスが、猫みたいに香箱座りをするエピソードが1巻に出てくるのですが、藤原先生の小ネタから物語が広がることもあります」

恐竜園をなんとか盛り返そうと飼育員たちが奮闘する、お仕事モノとしても読み応えがある。花形恐竜でありながら、角が折れて“傷物”扱いされているトリケラトプスが売られるピンチを凌いだり、群れに馴染めないトロオドンの赤ちゃんを親代わりに育てたり。恐竜好きが高じて飼育員になったすずめは、その都度壁にぶつかり、好きという気持ちだけでは務まらないことも学んでいく。

「僕はマンガ家としての下積みが長く、好きだけじゃ務まらないというのは、すずめとともに10年前の自分にも釘を刺している言葉なんです」

恐竜好きが楽しめるのはもちろん、恐竜に興味がない人が読んでも面白いと思ってもらえるマンガを目指しているという木下さん。

「僕は、復元された恐竜の絵や模型よりも、骨を見て想像するのが好きなんです。どれだけリアルに描いても、本当のことはわからないし、だから想像するのをやめられない。それが恐竜の魅力なのだと思います」

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『ディノサン』2 経営難の恐竜園で新人研修をする、須磨すずめ。過去の事故の真相や、トロオドンの赤ちゃん飼育、ティラノサウルスのお誕生会企画など盛りだくさんの2巻。新潮社 682円 監修・藤原慎一 ©木下いたる/新潮社

きのした・いたる マンガ家。恐竜を題材にした、江戸時代が舞台のパニックマンガ『ギガントを撃て』でデビュー。イチオシの恐竜はギガノトサウルス。

※『anan』2022年6月15日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子

(by anan編集部)

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