人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。2月のお客様は、おとなしい女性からエキセントリックなキャラまで、演じる役の幅がますます広がっている、俳優の木野花さん。自身を変えることが年々楽しくなっている模様です。そんな木野さんをお迎えした第3回は、「現在70代、まだまだ自分を変えていきたい」です。
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現在70代、まだまだ自分を変えていきたい。

演劇を志して青森から上京し、もう50年が経ってしまいました。長かったし早かった。20代はがむしゃらで、30代は“自分”にこだわり排他的でした。40代で劇団を退団し一人になった時、自分には演劇は向いていないんじゃないかと悩んだり、辞めようかという迷いも出てきました。そんな時、プロデュース公演の演出の話が飛び込んできて、一気にいろんな劇団の若い役者さんたちと出会い、吸収し影響し合い、気が付いたら演劇にどっぷり浸かって、まだまだ終わりそうもない。子供の頃自然の中で遊び回っていたように、ようやくこの世界で自分を開放させて変わっていけると思えるようになってきました。

いま私は70代真っ只中。普通ならとっくに引退している歳なのに、いよいよこれから! という気分です。歳を取り自分がどんなふうに変わっていくか見てみたい。“変わりたい”の終着点はないようなので、生涯の目標として目指し続けてみようと思っています。

心を柔らかくし、感受性を豊かにしましょう。

私たちの世代は、派手な風貌や言動の人が個性的とされ、感受性が豊かで喜怒哀楽が激しい人は役者に向いてるといわれていました。私はといえば、風貌は地味、感受性は人に対して固く閉じていたので全く役者に向いていなかった。芝居の世界に入り、子供の頃持っていた感受性、開放が今こそ必要なんだと痛感しました。しかし、開放すなわち自己表現とばかりに、行く先々で波風を立て、女だからと舐められちゃいけないと喧嘩腰で自己主張し、「木野花怖い」と言われる羽目に(笑)。あの頃の私に必要だったのは、相手の話に耳を傾ける柔軟性やしなやかさだ、と思います。

今は、さまざまな答えがあっていいといわれるようになり、気楽に発言ができる世の中になりました。良かったと思う半面、波風を立てていたあの頃を懐かしく思うことも。時には喧嘩してでも主張したい自分がいたっていい。いろいろな自己主張を受け入れられる世界であってほしいですね。

きの・はな 俳優、演出家。1948年生まれ、青森県出身。2/18~3/6にKAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて、舞台『ラビット・ホール』に出演。3月には兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールでも公演が。

※『anan』2022年2月23日号より。写真・小川朋央 ヘア&メイク・片桐直樹(EFFECTOR)

(by anan編集部)

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