「10分歩く→5分走る」を2回だけ! 初心者でもできる“ゆるラン”のすすめ

ライフスタイル
2022.02.15
外出の機会が減ったり、在宅ワークに切り替わったことで、今まで以上に運動不足を感じている人も多いはず。そんなあなたにおすすめしたい、無理をしないランニング習慣“ゆるラン”。だんだん暖かくなる今の季節、始めどきです!
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キツく感じない程度で、心と体に嬉しい。

体を動かす習慣のない人が、気軽に運動を始めたいと思ったなら、ゆるっと走る“ゆるラン”に注目。

「ランニングは本来、本格的なトレーニングも指すので、ある程度キツい運動です。一方、初心者が健康目的で行う場合は、まずは負担の少ない“ゆるラン”がおすすめ。喋れるくらいのラクなペースで走るのがポイントで、心身へのメリットもたくさんあります」(内科医・野口由紀子さん)

「ずっと走り続けるのではなく、ウォーキングと交互でOK。30分を目標に始めてみて」(ランニングアドバイザー・真鍋未央さん)

ここではそんなゆるランのキホンや始め方を紹介。

ゆるRUNとは?

・WALKとRUN、交互でOK
・まずは30分間を目標にする
・喋れるくらいのペースで無理せず

POINT1:肩こりや腰痛がラクに!
ランニングは、腕や脚など全身を動かす運動。「そのため血流が促され、肩こりや腰痛の改善につながります。走ると体幹が鍛えられて腰への負荷が軽減することも、腰痛改善の一助に。実際に私もランニングを始めてから慢性的な肩こりや腰痛がなくなり、マッサージに頼らずに済んでいます」(野口さん)

POINT2:肌がキレイになる!
ゆるランをすると適度に汗が出るが、これが美肌づくりのカギになるとのこと。「汗をかくと老廃物など余分なものが体内から排出されて、新陳代謝が活性化されます。つまり、肌の代謝サイクルが整い、乾燥など肌トラブルの改善が期待できるのです。運動による血行促進も、肌がキレイになる要因に」

POINT3:生活習慣病の予防になる!
「肥満や高血圧、糖尿病といった生活習慣病のリスクを高める大きな要因の一つが、運動不足です。その予防のためにも、運動習慣をつけておいたほうがいいでしょう。ゆるランは、取り組むタイミングや時間の長さ、コースも自分で自由に調整できるので、忙しい人でも生活に取り入れやすいと思いますよ」

POINT4:自己肯定感がアップする。
達成感が得られやすいのも、ゆるランの特徴。「喋れるくらいのスピードで、最初は30分程度でOK。無理なく始められる分、回数を重ねるほど、“前回よりラクに走れた”など、成長も感じやすいはず。“次は少し長く走ろう”など小さな目標を達成していけば、自己肯定感が高まり、ポジティブになれます」

POINT5:自律神経が整い、ストレス軽減。
「ゆるランのような有酸素運動をすると、セロトニンとドーパミンという脳内物質が分泌されて、自律神経が整います。それにより、イライラが緩和。そもそもセロトニンは幸せホルモンと呼ばれ、ドーパミンは快楽を増幅させるので、これらが分泌されるということは、ストレス軽減効果はてきめんです」

POINT6:寝つきが良くなり睡眠の質が向上!
体が疲れてよく眠れるという理由のほかに、もう一つ。「人の体には、一度上がった体温が下がっていく時に入眠しやすいという特徴が。そのため、夕方くらいに走って体温を上げておくと、夜寝る時間帯に体温が下がって、睡眠の質向上に有効。ただし、寝る直前の運動は快眠の妨げになるので避けて」

POINT7:痩せやすく美シルエットに。
「ゆるランなどの有酸素運動を習慣にして数か月経つと、体に取り込まれた糖をうまくエネルギーに変えられるようになり、基礎代謝が上がって、効率よく脂肪の燃焼を促せます。また、走るための筋肉がつくことも、基礎代謝アップに貢献。体が引き締まり、姿勢もシャキッと整い、美シルエットが目指せます」

POINT8:コミュニティが広がる!
ランニングを趣味にしている人同士、意外と横のつながりがあるそう! 「私の場合はインスタでランの投稿をしていると、ランナーがフォローしてくれたり、大会やランニングイベントで会った人と友達になったりすることが多いんです。仲間が増えるとよりその世界にハマり、抜け出せなくなります(笑)」

まず、準備してみよう!

いざ、ゆるランを始めようと思った時に、まずは何をすればいいのだろう。気軽にできる運動とはいえ自己流で走り始めず、キホンを押さえておくことが、楽しく継続させるためにも、ケガを防ぐうえでも大切。最低限必要なアイテムも確認しよう。

STEP1:まずは目標設定。

始めの一歩を踏み出すきっかけとして、そしてできるだけ継続させるためには、目標を設定するのが先決。「初心者は、“マラソン大会に出る”など大きな目標は先のこととして、例えば“体を少し絞りたい”“近くのカフェまで走ろう”など、身近な目標を立てましょう。それがあと押しとなり、さらに継続できるようになると、徐々に“週2回走ろう”とか“仲間を作りたい”…と、自然と次の目標が見えてくるはず」(真鍋さん)

STEP2:事前にコース選び。

家の近所を基本に、どんなコースを走るのか、とくに初心者は慎重に選びたいところ。「ウォークとランを交互に計30分。そのペースで回れるくらいのコースを地図アプリなどで確認し、さらにできれば歩いて下見をしましょう。呼吸が苦しくならずに済むように平坦な道が理想で、信号もなるべく少ないほうが、止まるストレスがなくベター。信号を休憩と捉えるなら、あえて信号が多いコースでもOK」(真鍋さん)

POINT:何よりもまず平坦な道選び。市街地なら信号は少なめが◎ 。

STEP3:シューズやアイテムの選び方。

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続けるか分からないから、試しに手持ちのアイテムで走ってみよう、と思っている人がいたらちょっと待って! 「少しでも走るなら、最低限のウェアとシューズはきちんと準備しましょう。お試しだからいいやと、タウンユースのスニーカーなどランに適さないギアで走ると、ケガや不快感につながり、走る楽しさ以前に、苦痛で挫折することがあるからです」(真鍋さん)。イラストの着用アイテムが、理想の一式。とくにシューズはマスト。

・スポーツブラ、ランニングTシャツ、ウィンドブレーカー
ゆるランでも胸はかなり揺れるので、下垂防止にスポブラは必須。Tシャツは、吸汗速乾性の高いスポーツ用のもので汗による不快感を軽減。上着は、着脱しやすい前開きのウィンドブレーカーが◎。

・ネックウォーマー、スポーツマスク
首や足首を冷やすとそこから体が冷えて動きにくくなるので、冬のランにはネックウォーマーがあると安心。コロナ禍の対策としてマスクは必須だが、苦しくなく蒸れにくいスポーツマスクを選ぼう。

・ランニングタイツ
下半身も吸汗速乾性に配慮して、ランニングタイツをセレクト。お尻まわりや脚のラインが気になる場合は、ランニングタイツの上からショートパンツやジャージー、スウェットをはいてもOK。

・ランニングシューズ
ポイントはクッション性が高いことと足幅に合っていること。また、軽いほど良し。見た目だけで選ばず、必ず試し履きをしよう。店員さんに「初心者です」と伝えて合うものを教えてもらうのも有効。

・スマホ
走った距離やペースを記録できる「Nike Run Club」アプリなど、ゆるランをサポートしてくれるスマホアプリがいろいろあるので、ダウンロードしてからランへGO。決済機能を活用すれば、現金を持たずに身軽に走れる。

ゆるっと走ってみよう!

いよいよ、ゆるランにトライ! 喋れるくらいのペースで走るのがゆるランの基本だけれど、ほとんどランニングをしたことがない人は、足慣らし的に、歩いたり、走ったりと、交互に組み合わせることから始めよう。

10分歩いて5分走る。この2セットで計30分。
ゆるランをする前に必ず行いたいのが、ウォーミングアップ。

「体を動かしやすい状態に整え、ケガ防止のためにも必須。動きの要となる肩甲骨まわりと股関節を重点的にストレッチ」(真鍋さん)

いざ走る時には、どれくらいを目安にしたらいいかというと、距離よりも時間を重視。

「初心者なら、まずは30分。10分歩いて、5分走る。これを2回繰り返しましょう。慣れてきたら走る分量を徐々に増やして」

ラン後は疲労を残さないためにも、クールダウンを忘れずに。

WALK(10分)→RUN(5分)→WALK(10分)→RUN(5分)

まずはしっかり“WARMING UP”

・肩甲骨…腕を振る時に使うのが、肩甲骨。指先を肩に乗せ、肘をしっかりゆるめるため後ろから前へ、大きく回そう。10回ほど回したら、逆回しも同様に行い、肩甲骨まわりをストレッチ。

・股関節…下半身の中でもよく動かすのが、股関節。腰に手を当て、片脚で立ったら、浮かせた脚の膝で大きく円を描くようにしながら、股関節を後ろから前へ10回、回す。逆脚も同様に。

・腿上げ…ランニングドリルとも呼ばれる、筋肉に刺激を与えて体を温める運動。片方の脚の膝を高く上げ、素早く逆脚に入れ替える。これをテンポよく10セット。スキップでもOK。

姿勢を正して大きく腕を振る“WALK”

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・呼吸…大きく吐いて整える
最初の10分は自然な呼吸で。ラン後のウォークは息が上がっているはずなので、歩きながら整えよう。細かく呼吸をするのではなく、吸うよりも大きく息を吐くことを意識するといい。

・姿勢…真っすぐ
頭は上から、鎖骨は横から引っ張られているようなイメージで、姿勢を正す。疲れてくると、だらんと猫背になりがちだけれど、歩いている間もランの一環と意識して、シャキッとしよう。

・着地…かかとから
かかとから地面に着地し、次に足裏全体をついて、つま先で蹴るという、普通に歩く時と同じ着地でOK。走る時はまた違う着地になるので、それとはきちんと区別して歩くように。

・腕…大きく振る
腕を後ろに引いた時に、拳が腰骨の横、前に振った時は肘が腰骨より前に行くくらい大きく振る。こうして歩いている時も負荷をかければ、肩甲骨まわりのストレッチとしても有効。

前傾姿勢で推進力を利用しよう“RUN”

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・呼吸…無理に意識しない
走る時の呼吸法にはいろんなメソッドがあるが、初心者なら、自分が一番ラクにできる呼吸でOK。呼吸まで考えながら走ると、それがストレスになることもあるので自然に行おう。

・姿勢…前傾
頭を、少しだけ斜め前に糸で吊られているようなイメージを持ち、前傾姿勢で走る。すると、体が自然と前に押し出され、走りが軽やかに。キレイなランニングフォームにも近づける。

・着地…足裏全体で
走っている時に、つま先やかかとで着地をすると、脚に過度な負担がかかり、痛める原因に。そのため足裏全体で着地をして、負担を分散。そして、つま先で蹴るという意識で走ろう。

・腕…コンパクトに振る
腕を後ろに引いた時は手首が腰骨の横、前に振った時は肘が腰骨の横と、腰骨を基準に腕を振ること。こうして腕をコンパクトに振ると胸が張れて、負荷なく、長く走り続けられる。

疲れをケア“COOL DOWN”

緩やかなストレッチでリラックス。
クールダウンは、さほど厳密にやる必要はなく、アキレス腱を伸ばす、伸びをする、屈伸をする、といった軽めのストレッチで、ランで使った筋肉を適度にほぐそう。リラックスしてスイッチをオフするようなイメージで。

野口由紀子さん 内科医。女性のためのクリニック「イーク丸の内」院長。自身もランナーで、7年前にランニングを始め、フルマラソンやウルトラマラソンにも出場。インスタグラムは@crus_poco

真鍋未央さん ランニングアドバイザー。イベントでランニングクリニックを行うなどランニングの魅力を発信。著書に『キレイになるランニング』(青春出版社)など。近況はインスタグラム@mio_manabeへ。

※『anan』2022年2月16日号より。イラスト・カラシソエル 取材、文・保手濱奈美

(by anan編集部)

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