「こんにちは! 精神科医のTomyです。“言えない”お悩みがいっぱい届きました。早速、どうしたら言えるか、探っていきましょう」
お悩み1
知人がお金の貸し借りに抵抗がないようで、頻繁に借りてきます。どうやら“借りている”という意識もないみたいです。大金なら「返して」と言えますが、割り勘にした時の端数とか、コンビニでのチョコッと買いとか、1000円くらいまでだと、がめついと思われてしまいそうで言えません…。(24歳・自営業)
言いにくいことを言わなきゃいけない場面自体を減らす努力を!
「気軽に少額を借りてくる人って悪気がないから始末が悪いんですよね。何度だって『返して』と言わないと、気づかない。そんな人に、『返して』と繰り返すのはものすごく労力がいるし、嫌よね。あ~、めんどくさいっ! でも、これは言いにくいことを言う練習なんだと割り切って。大変なことをクリアするたびに、あなたは成長できますよ。でも、やっぱり無理…ということなら、『私はお金のことを話すのが苦手なんだ』と学んだと思い、今まで貸したお金のことはキッパリ忘れましょう。また、厚かましく借りてくるようなら、『今までの分、返してくれたらね』とバシッと言ってやればいいんです。その後は、その人と距離を置くこと。お金を返さず、ストレスを与えてくる人と付き合うメリットなんて、ひとつもないわ。そもそもの話だけど、お金の貸し借りはダメよ。貸すのなら、返ってこないものと思って渡さなきゃ。アテクシは、貸してと言われたら『人に貸さない方針なの。ごめんね』と言って断っています。本当は悪くないんだから、謝る必要なんてないんだけど、『あなたの意思に沿えずごめんなさい』と伝えるのは、人間関係を円滑にするための配慮。言いたいことを言う時ほど、配慮を忘れずに。今後は、お金の貸し借りに限らず、言いにくいことを伝えなきゃいけなくなる場面そのものを減らすことを意識して」
お悩み2
会社から帰る時、同じ駅を使っているけど、乗る路線は違う先輩がいます。よく一緒に帰るのですが、駅で別れを切り出すのが気まずいです。結果、先輩と同じ電車に乗り、先輩の自宅の最寄り駅まで行って、自分の家に帰っています。倍の時間がかかってクタクタ…。どう切り出せばいいですか。(24歳・商社)
切り出すタイミングに困るなら、言葉+行動で、勢いをつけて!
「『私、こっちなんで』って話を切り上げても、きっと先輩は気を悪くしないと思います。でも、場の空気をぶった切ってしまうようで、会話を止めるタイミングを失ってしまうことはありますよね。そういう時は、アクションに力を借りるのよ。時計を見ながら、『すみません、電車が来ちゃいそうです。また明日~!』と、慌ただしく乗りたい電車の方向に走り出しちゃえ!」
お悩み3
結婚5年目です。年々、夫のいびきがひどくなっています。「どこからあんな音が出てくるの~!?」とか「昨日もなかなかのいびきだったよ」とは言えるんですが、本当は「二人で対策をしていこう」と真剣に、前向きな話がしたいです。なのに、つい冗談のトーンで、その場をやり過ごしてしまいます。(33歳・旅行)
傷つけたとしても伝えることが相手への思いやりよ。
「いびきがひどいことは、それとなく伝えているけど、『真剣に対策を考えていこう』とまでは言えない。『俺のいびきはそんなひどいのか…』とダンナさんを傷つけてしまうのが怖いのでしょう。でも、いびきは無呼吸症候群が考えられるし、その場合、寿命も短くなっちゃう。『あなたの体が心配だから、対策を考えていこう』と言えば、ダンナさんも気遣いの言葉として、受け入れてくれるはず。言いたいことがあっても、伝えないほうが相手のためになると思っている人が多いんだけど、それはだいたいのケースで間違いなの。言いたいことを伝えることは、自分のためであり、相手のため。特にこの場合、健康にかかわる大問題。ダンナさんが対策する気を起こす表現で伝える! それこそが、愛よ!」
お悩み4
先日、人気のカフェにソーシャルディスタンスをとって並んでいたところ、割り込みをされました。真面目にずっと並んでいた人が損をして、ルールに従わない迷惑な人が得をするのはおかしいですよね。そう思いつつ、逆ギレされるのが怖くて注意できず、モヤモヤしたまま並び続けました…。(26歳・公務員)
二度と会わない人には無理に言わなくてOK。無視よ、無視!
「理不尽なシーンだけど、グッと堪えたのは大正解! このご時世、逆ギレどころか、それ以上の危険すらあるもの。割り込みした人とあなたは、その場限りの関係ですよね。継続的にお付き合いが続く相手ではないのだから、リスクを冒してまで注意する必要はまったくないです。『さっきこんな嫌な人がいて~』ってお友達にちょっと愚痴ったら、はい終わり! ちなみに、都合が悪くなるとキレて相手を封じ込めようとするヤツは人間じゃないわ。獣なんだから相手にするだけ時間と労力の無駄。くれぐれも近づかないように!」
Tomyさん 精神保健指定医。Twitterでのひと言が「心が軽くなる」と大きな反響を呼ぶ。主な著書に、『精神科医Tomyの 言いたいことがラクに伝わる35の方法』(大和出版)、『精神科医Tomyが教える 1秒で元気が湧き出る言葉』(ダイヤモンド社)。
※『anan』2021年10月6日号より。イラスト・カツヤマケイコ 取材、文・小泉咲子
(by anan編集部)