好きだから嫌い、嫌いだけど好き。女子高生たちの三つ巴の愛憎劇を描く、しおやてるこさんのコミック『変と乱』。
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「高校時代、クラスの派閥争いに巻き込まれたり、急にハブられたり、マウント合戦がすごくて、ネタはとにかくたくさんありました」

爽やかな青春モノを主に描いてきたしおやてるこさんが、「画力と表現力が上がった今なら描けるかも」と満を持して挑んだのが、これまでとは真逆のベクトルといえる、女子高生たちの愛憎物語。卒業まで3か月を切った高校3年生の冬、大学の推薦入学を勝ち取った涼子は、自分をさんざん振り回してきた莉子に対して、これ以上仲良しごっこは続けられないと勇気を出して言い放つ。

「私自身も、莉子みたいなわがままな子に振り回されたことがあって。ほかの子と仲良くするとキレられたりするのを理不尽に感じて、こんなふうに決別宣言をしたんです」

一方、涼子と同じく推薦合格組の絵美は莉子の幼馴染みで、「地味子」と呼ばれいじめられている。絵美はなぜか莉子に対して異様に執着していて、それを知った涼子は絵美と結託して莉子をカースト最上位から引きずり下ろそうとする。そこで絶大な効果を発揮するのが、絵美が握っている莉子にまつわるある秘密だ。

「人間は誰しも表に出さない部分があると思うんですけど、秘密ってすごく魅力的じゃないですか。莉子はとんでもない秘密を抱えていたほうが絶対に面白いと思って、一番黒い感情を入れ込みました。とはいえ単に胸くそ悪い話で終わらないよう、悪い側に回る人間にも、そうなってしまう原因が何かしらあるっていうベースの部分をきちんと描こうと思いました。それはキャラクターに対する私の情でもあるんですけどね」

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莉子をちょっと懲らしめてやりたいくらいの気持ちで絵美と共謀した涼子は、ふたりの抱える闇の深さを目の当たりにしてひるむものの、後悔先に立たず。しおやさんも3人の感情に任せるままに描いたという怒涛の展開は、怖いもの見たさでページをめくる手が止まらなくなる。

「私を振り回した子も自分勝手だったけど、何かもっと別の言葉をかけてあげたり、救えるような突破口があったんじゃないかなって、大人になってからふと考えるんです。その辺りの感情は涼子に投影しているのですが、この結末を描けたことで自分の気持ちも吹っ切れた部分はあります。いずれにせよ、今の自分が表現できる毒という意味では、最大瞬間風速を叩き出せたと思います!」

『変と乱』 優等生で正義感のある涼子、クラスで中心的存在の莉子、地味で存在感の薄い絵美。卒業間際、それまで保っていたバランスを失った3人が向かう先は。少年画報社 825円 ©しおやてるこ/少年画報社

しおやてるこ マンガ家、イラストレーター。主な作品に『アタシのセンパイ』『アオとハル』など。小学生の娘&近所で保護した黒猫のお母さんをしつつマンガを描く日々。

※『anan』2021年9月1日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子

(by anan編集部)

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