ペットとは無縁だった王島家。長男が拾ってきた迷い犬がほどなく一家に受け入れられ、近所の犬たちとも交流を深めていく『横須賀こずえ』。その著者が、小田扉さん。NHKでアニメ化もされた『団地ともお』(全33巻)の原作者でもある。

場所は横須賀。愛すべき天才犬と、飼い主一家のワン(犬)ダフルライフ。

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「『~ともお』が終わって次を練っているときに、王島家の話を描いてみたんですが、編集さんとも相談したら『犬がいちばんキャラが立ってるよね』となったんです。2年ほど前から僕も人生で初めて犬を飼い始めたというのもあって、犬を主役にする話に落ち着きました」

心温まるコメディと思いきや、こずえと名付けられた〈小4男子程度の知能を持つ〉迷い犬の視点がたびたび入ってくるのがキモ。不思議現象や小さな発見を愉しむセンス・オブ・ワンダー的な要素が加わり、唯一無二の面白さになっている。

「僕自身もそういうどこか不思議なお話が昔から好きで、藤子・F・不二雄先生や諸星大二郎先生のマンガには影響を受けていると思います。日常の出来事から話をふくらませて、摩訶不思議な味が出ればと、普段から思いついたことはメモしたりしていますね。僕の場合、ネームの段階ではほとんどセリフだけ決めていく感じで、コマ割りも状況も曖昧なんです。そのせいで他の多くのマンガ家さんのように、『ネームができたから山を越えたぞ』という気持ちにはなれず、毎回四苦八苦です」

3巻では、なぜ「こずえ」という犬らしからぬ命名がなされたのか、の秘密が明かされる。

「これも知人から聞いたエピソードがやけに記憶に残っていて。それを少しアレンジしたお話です」

横須賀という具体的な土地をベースに描かれるのも、小田さんのこれまでの作品にはなかった魅力だ。

「架空の街にすることも考えたのですが、『~ともお』と差別化したい気持ちもあって、縛りを入れました。取材も兼ねて街を歩くと、『なんだこれは!』と思う名所や建物などを見つけたりして楽しいですね」

こずえは1巻で、潮の匂いを懐かしみ、おぼろげな記憶の中で、〈手〉の存在を思い出す。彼女は以前どこにいたのか。手は誰のものなのか。いくつかのナゾは残ったままだ。

「4巻で明かすつもりなので、いま懸命に考えている最中です」

という宣言も! 来年春頃発売予定の続刊を、楽しみに待ちたい。

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『横須賀こずえ』3 繁茂するゴーヤカーテン、小学生男子の冒険、ゴメスやニッキなどご近所犬さんたちと始めた犬の学校など、奇妙なのにほのぼのしてしまう小田扉ワールドが全開。小学館 591円 ©小田 扉/小学館 週刊ビッグコミックスピリッツ連載中

おだ・とびら 1974年、神奈川県出身。1999年、モーニング新マグナム増刊にてデビュー。『江豆町ブリトビラロマンSF』『団地ともお』など著書多数。

※『anan』2021年1月13日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・三浦天紗子

(by anan編集部)

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