
映画『ドラッグストア・カウボーイ』のガス・ヴァン・サント監督にインタビュー。
彼のキャリアは大きく変わったよね。アイドル俳優のイメージをぶち壊した
’80〜’90年代のミニシアターブーム期、当時の若者が感じていた孤独や疎外感を代弁した作品を発表していたガス・ヴァン・サント監督。最新作『デッドマンズ・ワイヤー』が公開中の彼ですが、代表作である『マイ・プライベート・アイダホ』(’91年)と『ドラッグストア・カウボーイ』(’89年)がデジタルリマスター版で日本に再来! そこで、この作品について監督本人に直接お話をうかがいました。
「新作が上映されているなか、30年以上経った過去作が日本で上映されるなんて光栄です。私が住むアメリカでは、旧作は配信で観るのが当たり前になってしまったけど、スクリーンであの作品を体験してもらえるのは本当に嬉しい。僕にとっては初期に撮った作品から今まで、ずっと地続きになっていて、創作の原点は変わってないと思っているからね」
『ドラッグストア・カウボーイ』は文字通り、麻薬を狙って薬局荒らしをして暮らす薬物依存の若い夫婦とその仲間たちを主人公にした犯罪ドラマ。薬物依存の影響だけでなく、彼らに見えているトリップ中の幻覚まで描き、後の同ジャンル映画にも影響を与えました。そして主演のマット・ディロンは、この作品を機に演技を認められるように。
「彼のキャリアは大きく変わったよね。アイドル俳優のイメージをぶち壊した」と思い出を語ってくれました。
「彼はあのときすでにスターでキャリアは頂点だと思っていたんだけど、この作品をきっかけに仕事の幅が広くなったよね。監督や脚本業もこなしていたし、今でも一線の監督たちとの仕事をしてる。まさか画家の才能まで開花させるとは思っていなかったけど(笑)。(2019年ごろからマット・ディロンは画家としても活躍中)」
監督の特徴のひとつは、キャリアの旬直前、もしくは無名ながらギラッと光る俳優を使って、若者が抱える心的問題を描き続けてきたこと。本作を今観ると、現代の若者が抱える闇とさほど変わらない……? って思ってしまうのよね。
「アメリカの若者の心の闇は、銃乱射などの過激な事件で表沙汰になることが多いんだけど、日本のほうが表に出てないぶん大変なのかもしれないね。心からやりたいことがあっても、家族や周囲に反対されたら全然違う道を選ぶんでしょ? 社会システムに入れないで苦しむ若者の苦悩は、基本的に変わらないと思ってるよ」
懐かしいと感じる人も初見の方もスクリーンで!
Profile

ガス・ヴァン・サント
1952年7月24日、ケンタッキー州ルイビル生まれ。'85年、『マラノーチェ』で監督デビュー。2003年、『エレファント』でカンヌ国際映画祭のパルム・ドールと監督賞をW受賞。その他の監督作に『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』など。
©Vinh Nguyen
information

『ドラッグストア・カウボーイ』
監督・脚本/ガス・ヴァン・サント 出演/マット・ディロン、ケリー・リンチ、ジェームズ・レマー、ジェームズ・レグロス、ヘザー・グラハム、ウィリアム・S・バロウズほか 9月18日よりシネマート新宿ほか全国ロードショー。
Ⓒ1989 Avenue Entertainment, Inc.Al Rights Reserved.
anan 2512号(2026年9月16日発売)より































