俳優・井之脇海の恋愛観 “オフィスラブ”に憧れていた理由

エンタメ
2019.05.13
いま話題の演劇作家、マームとジプシーの藤田貴大さんの舞台『CITY』に出演する俳優・井之脇海さん。今までは映像畑での仕事を優先してきたという。

――映画がお好きだとおっしゃっていましたが、いつ頃からですか。

この仕事を始めてからです。9歳の時に劇団に通い始めたんですけれど、当時は習い事感覚だったんです。でも、12歳の時に『トウキョウソナタ』という映画に出合って、そこからどんどんのめり込んで、結局、映画の大学に行ったくらい。あの映画に出合わなかったら、今頃、消防士か何かになっていたと思います。

――えっ…消防士!?

カッコいいじゃないですか。いまもそう思っていますし。

――話が逸れましたが、『トウキョウソナタ』で何が?

一番大きかったのは、それまでずっと遊びの延長で撮影現場に行っていた僕を、皆さんが子供ではなく、プロの役者として扱ってくださったんです。黒沢(清)監督も香川照之さんも…。その時、認めてもらった嬉しさと同時に、それまで浮ついた気持ちで現場にいたのを反省しました。そこから、現場でいろんな人の話を聞いたり、香川さんや共演者の方々の立ち居振る舞いを観察したりするようになって。そのうち、作ることが楽しくなっちゃったんですよね。中学生になって、自分でレンタルビデオ店に行けるようになってからは、観るのも楽しくなって、目が悪くなりました(笑)。

――そんなに観てたわけですか。

中高生の頃は、1週間で25本くらい借りて、休みの日は1日に4~5本は観てました。全部観られずに返すこともありましたけど。

――どんなジャンルが多いですか。今回の舞台は、「マーベルっぽい作品」と伺っていますが…。

マーベルも観ますし、好きですよ。映画が好きになった理由のひとつが、その幅の広さなんです。だから、ジャンルを問わず映画そのものが好き。ただ、やっぱり(レオス・)カラックスの監督作品は好きですね。

――すでに俳優として活躍されていながら、あえて大学に行かれたのはなぜなんでしょう。

アメリカの俳優は、学校で演劇を学びますけれど、日本にはそのシステムが確立されていない。自分はアメリカには行けないけれど、せめて勉強はしたいと思って。その時間は無駄にならないと思ったし、事実、無駄になってないし。もちろん、行かなければもっと仕事はできたし、映画の勉強は大学に行かずに本からでも学べたかもしれない。でも僕は、人から学ぶっていうことが大事な気がするんです。単に技術や知識だけでなく、人から人へと受け継がれた物語も一緒に継承することで、それこそが一番の財産じゃないのかなって。僕もいつか、それを自分の子供なのか後輩なのか、誰かに教えてあげられたらと思うんです。

ドラマ『中学聖日記』を見て、オフィス恋愛いいなって(笑)

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――井之脇さんご自身は、自分をどんな人だと思っていますか。

真面目…ですかね。何をするにも考えてから行動に移すタイプです。例えば、友達とごはんに行く話になった時、いま本当に行っていいのか、その時間に映画を観て勉強したほうが自分のためにはいいんじゃないか、とか考えちゃうんです。…こう言うと人付き合いの悪い人みたいですけど…生活が芝居に影響するんです。自分にストレスがあると、役にもうつっちゃうんで、できるだけストレスをかけない生活を優先したくて…。真面目からはズレてますけど(笑)。

――役者としてのあり方に真摯なんだと思いました。じつはもっとクールな方をイメージしてました。

斜に構えた人だと思ってたとか言われますけど、そんなことないんです。シャイではありますけど。

――友達は?

大事にしてますよ。数は多くないけれど、お酒の場が好きなんで、学生時代の友達とはよく飲みに行ますし、彼らには心を開いているんで、結構陽気に飲んでます。

――ちなみに、恋愛についてはいかがですか。恋愛映画もたくさんご覧になると思うんですが、こういう恋愛がしたい、とか。

ありますよ。僕、ちょっと前まで、オフィス恋愛に憧れていたんです。ドラマ『中学聖日記』の吉田羊さんと町田啓太さんを見て、いいなって。職場で、周りに気づかれないようにさりげなく合図を送り合ったりする…ふたりだけの秘密系。たぶん、オフィスが縁遠いから余計に憧れるんでしょうね。

――好きな女性のタイプは?

恋愛を生きがいにしない人、ですね。僕がそういうタイプじゃないので、自分のために何かを犠牲にされるのが耐えられないんです。例えば、晩ごはんを作って待っていられたら、明日は自分が作らないといけないかなって思っちゃうんです。お互いに夢を追いかけて、サポートし合う関係性が理想です。

――オフの日の過ごし方を伺ってもいいですか。

1日オフと1週間で違うんですけれど、1~2日だと半日寝て、いっぱい食べて、映画観て、晩酌て寝る。まとまった休みがあると…あれ? 変わんないかも? でも僕、ずっと山以外、旅行に興味がなかったんですけれど、最近ちょっと日帰り旅行に興味が出てきたんです。絶景を見ながら、温泉に入りたいなって

いのわき・かい 1995年11月24日生まれ、神奈川県出身。子役として活動を始め、黒沢清監督の映画『トウキョウソナタ』でキネマ旬報ベスト・テン新人男優賞を受賞。ドラマ『おんな城主 直虎』や『ひよっこ』のほか、昨年の『義母と娘のブルース』などで注目を集めるように。現在、ドラマ『集団左遷!!』(TBS系)に出演中。

井之脇さんが出演する舞台『CITY』は、5月18日~26日まで彩の国さいたま芸術劇場にて上演。作・演出はマームとジプシーの藤田貴大さん。藤田さんが「新たなフェーズ」と位置づける今作は、現代の都市を舞台に「ヒーロー」とは何かを描き出す。主演は柳楽優弥さん。兵庫、豊橋公演あり。SAFチケットセンター TEL:0570・064・939

ニット¥34,000 パンツ¥34,000(共にオーラリー TEL:03・6427・7141)

※『anan』2019年5月15日より。写真・山崎泰治 スタイリスト・檜垣健太郎(little frends) ヘア&メイク・小林雄美 インタビュー、文・望月リサ 

(by anan編集部)

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