「コナンのすべてを知る男」諏訪道彦Pが語る“劇場版の魅力”

エンタメ
2018.04.23
『名探偵コナン』のすべてを知る男、諏訪道彦プロデューサーに特別インタビュー。テレビアニメ第1作から今回の映画『劇場版 名探偵コナン ゼロの執行人』まで、すべてを手がけている諏訪さんが劇場版ならではの魅力を語ってくれました。
コナン

「テレビのコナンは、当初は月曜日の夜7時半から30分、という枠だったので、ファミリー向けの作品ではあるんです。でも最初から制作陣全員が共通認識として持っていたのは、“子供だましはしない”ということ。子供にもわかるように作ってはいますが、どこか背伸びして楽しんでもらいたい、というのが本音です。子供って、少し背伸びして大人の世界を覗くのが好きじゃないですか。その気持ちは、劇場版を作るときも変わりません」

と語るのは、コナンのアニメを放送している読売テレビで約30年間、数々のアニメを手がけてきた諏訪道彦さん。自身も過去に、背伸びをする楽しみを味わった経験があったそうで、

「僕は小さい頃からミステリードラマの『刑事コロンボ』が好きでした。中学生のときに、コロンボの『別れのワイン』というワインがキーワードになる作品を見たんですが、もちろん当時僕は未成年。でも大人の飲み物であるワインを通して見える世界がちゃんとあり、そこにあるロマン的な魅力がしっかり心に残ったんですよね。なので、コナンを見る子供たちにも、同じような経験をしてもらえたら嬉しい。あ、もしかしたら“子供的には背伸びをして見る作品”だからこそ、大人も等身大で楽しめるのかな。それは本当に理想的なことです」

コナン

劇場版の1作目、『時計じかけの摩天楼』が公開されたのが’97年。そのときには、シリーズ化の予定はなかったとか。

「普段1本30分の作品を作っている僕らにとって、90分の物語を作れるのが嬉しいのはもちろんでしたが、大きな挑戦でもありました。劇場版はすべて、原作マンガにはないオリジナルストーリーで、このときは青山先生も、“これはマンガに使おうと思ってたトリックなんだけど…”と、アイデアを出してくれて。青山先生、監督、脚本、そして音楽ほかスタッフが一丸となって、全力でおもしろいものを作りました。もしまだ映画を観たことがない人は、ぜひこの1作目を、何の情報も入れずに観てもらいたい。でも、続きを考えずに全力投球したため、翌年“2作目を”と言われたときは、真っ白。ならばもう、〈名探偵コナン〉という世界観の中で、いろんな物語をやっていこう、ということになり、今回の22作目まで、話自体は連続性は考えず、映画を作っています。でもその、どの話から観ても楽しめるというところが、劇場版のいいところだとも思いますし、だから毎年新たな方が観に来てくれるのかもしれないですね」

すわ・みちひこ 読売テレビ アニメーション部エグゼクティブ・プロデューサー。コナンの他に『シティーハンター』『YAWARA!』『金田一少年の事件簿』『犬夜叉』などを手掛けている。

『劇場版 名探偵コナン ゼロの執行人』サミットが開かれる予定の東京で、大規模爆破事件が勃発。コナンは、怪しい動きをとる安室透に違和感を覚える。厳戒態勢の東京で、迫るXデー。果たして安室はコナンの敵なのか、味方なのか? 原作/青山剛昌 監督/立川譲 主題歌「零 ‐ZERO‐」福山雅治 声の出演/高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、古谷徹ほか スペシャルゲスト/上戸彩、博多大吉 conan-movie.jp ©1997・2013・2016・2018 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

連続爆破事件に、コナンと蘭が巻き込まれていく。壁越しに二人が愛を語る名シーンは必見。『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』’97年公開。©1997・2013・2016・2018 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

※『anan』2018年4月25日号より。取材、文・河野友紀

(by anan編集部)


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