面白いだけで25年! 本人たちが語る「ナイロン100°C」の魅力

エンタメ
2018.04.10
結成25周年の劇団・ナイロン100°Cの底力を感じる、近年の傑作『百年の秘密』が再演。
STAGE

いま演劇界で、もっとも高打率の作家といえば、ナイロン100°Cのケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)さんだろう。観客を煙に巻く不条理劇、不穏な空気漂うコメディ、シリアスな家族劇など、作品は多種多様。そのKERAさんが、自ら「近年の劇団公演で抜きん出た一作」と評する『百年の秘密』が、劇団25周年に際して再演。2人の女性の、少女時代の出会いから死後までを、結成メンバーの犬山イヌコさんと峯村リエさんが、年齢を行きつ戻りつしながら演じていく。

峯村:KERAさんとはもう30年以上。犬さんは40年近いでしょ?

犬山:…ある意味、気持ち悪い(笑)。

峯村:私はここまで、何度か劇団を休んだりしてたけど、犬さんはじめ、核になってるメンバーの方々は全然揺るがない。結局私が辞めなかったのも、それが大きかった気がする。

犬山:やっぱり、KERAさんの作品が面白いからなんだよね。ギリギリまで台本が上がらなくて、稽古場で苦しんでも、お客さんが楽しんでくれたら、また結局出たくなるの。

峯村:面白いだけで25年ですよ。

犬山:すごいよね~。

峯村:最近のKERAさんは、劇団公演となると力が入ってる気がする。

犬山:外部では制約があってできないことや突き詰められなかったことも、劇団公演ならできるから。

峯村:KERAさんの書く、独特の間合いから生まれる笑いの部分って、やっぱりナイロンの劇団員とやってる時が一番「そうそう、これこれ」ってなるもんね。

犬山:KERAさんの笑いの“あの感じ”は、感覚的で、言葉で説明するのがとても難しいからね…。

峯村:その感覚の部分を、一番体現しているのが犬さんだと思う。

犬山:今回の作品は珍しく、そういうKERAさんの笑いや、トリッキーな場面は少ないけどね。

峯村:2人の女の大河ドラマだから。

犬山:そのぶん、KERAさんの笑いが苦手な人や、作品を観たことがない人にも観やすいとは思う。

峯村:女性同士の単なる友情で終わらない物語だけど…KERAさんは男性なのに、なんでこんなに女性のことをわかってるんだろう。

犬山:会話の言葉のチョイスが絶妙で、すごくリアルなんだよね。

峯村:「なんか見てた?」って思ってドキッとするくらい。

犬山:恐ろしい(笑)。

峯村:しかも、時代が行ったり来たりするから演るのも大変。犬さんなんて、間1分で4歳から78歳になってすぐ4歳に戻るシーンもあるし。

犬山:それでも演んないと観てもらえないのが演劇。やっぱり面白いから、観てない人に観てもらいたいね。

写真右/みねむら・りえ 舞台を中心にドラマ、映画でも活躍。NHK大河ドラマ『真田丸』で演じた大蔵卿局では存在感を発揮。6月からは『アイアングランマ2』(NHK BSプレミアム)に出演。

左/いぬやま・いぬこ 舞台を中心に、ドラマ『時効警察』や『怪奇恋愛作戦』、映画『ラブ&ピース』など映像にも多数出演。また、アニメ『ポケットモンスター』のニャースの声優としてもお馴染み。

真ん中に楡の木がそびえ立つお屋敷に住むティルダ(犬山)は、転校生のコナ(峯村)と仲良くなる。思春期、結婚、晩年…さまざまな時代を切り取り、2人の人生と友情を描く。4月7日(土)~30日(月) 下北沢・本多劇場 作・演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ 出演/犬山イヌコ、峯村リエ、みのすけ、大倉孝二、松永玲子、村岡希美、萩原聖人、泉澤祐希、伊藤梨沙子、山西惇ほか 全席指定6900円(税込み) キューブ TEL:03・5485・2252(月~金曜12時~18時) www.cubeinc.co.jp 兵庫、豊橋、松本公演あり。

※『anan』2018年4月11日号より。写真・内田紘倫(The VOICE) 取材、文・望月リサ

(by anan編集部)


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