初の書籍『ムロ本、』の発売を控えるムロツヨシさん。自ら執筆した台本、 私小説、エッセイなどのほか、俳優・新井浩文との本音対談や、ロングインタビューを収録しているが、そんなムロさんに影響を与えた若き俳優陣についてお話を聞きました。

主演じゃないと見えない景色があるなら、見てみたい。

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――ムロさんというと、有名俳優たちとの人脈を築いていることが話題になります。それこそ小栗(旬)さんや山田(孝之)さんは、ムロさんがおっしゃっていたような、新しいカードを次々と切っている俳優さんたちです。彼らとはそういう話をすることもありますか? 

ムロ:じつはすごくしてます。この先どうすればいいのかっていう“役者道”の話だったり。面白いものを作るために役者としてどうしたらいいか、をすごく考えているのがそのふたりなんですよね。年齢は僕より下のふたりから、悔しいけれど、学ぶことが多いです。すごいですよ。日本のエンターテインメントの将来を考えて「このままじゃダメだ」「面白い作品を作りたい」という、主演を張っている人間にしかない広い強い意識を持っている。すごく影響を受けていますし、自分もそうなんなきゃいけないと思っています。

――こんなふうに言うのは失礼かもしれないですが、何かと重圧のかかる主演の立場よりも、したい芝居を自由にやれるいまのポジションをムロさんは楽しんでいらっしゃるのかと思っていました。

ムロ:もちろん、そういう無責任な楽しさもあります。ただ、そうやって主演を張っている奴らと一緒にいて、主演をやらないと見えない景色があるんだなということも知ったんですよね。だからこそ主演をやってみたいし、自ら責任を取るような作品をやらないと彼らと同じことを考えられないような気もしていて。そういう意味で、代表作を作りたいなと。たぶんいまの僕の代表作は“勇者ヨシヒコ”なんですが、その看板を背負っているのは山田なんです。僕は彼の周りをウロチョロしているだけで。だから、本当の代表作を作らないと、ムロはただちょっと面白いだけの人で終わっちゃうんです。

――なんか息苦しい気持ちになってきました。

ムロ:でも、そういう奴らと一緒にいるとそう考えざるを得ないんです。

「続けるってスゲえな」と言われています(笑)。

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――卑屈ではなく、すごく冷静に自分を見ていらっしゃるんですね。

ムロ:うん。20代、30代の食えない時代、自分が受け入れられるためにどうするか、受け入れられた後どうするかを考えていましたから。

――当時は、苦しかったですか?

ムロ:苦っしかったぁ~。食えないことより、期待されていない、求められないことがこんなに苦しいんだって思っていました。

――それでも辞めずに続けてきた理由はなんだったんでしょう?

ムロ:それは19歳の時、毎日毎日、「大学を辞めて役者の道に行くんだよね」って言い聞かせ続けていた自分がいるからです。あの時、やるって決断した自分を裏切っちゃいけないって一心でした。裏切ったら可哀想じゃないですか、自分が。でも、そうやって自分を他人化しないと続けられなかったです。高校の頃には「ツヨシなら役者になれる」って言っていた友人が、だんだん期待しなくなるわけですよ。20代後半になると、もう誰も「辞めれば?」とも言えなくて、申し訳ないと思っていました。30代後半になって、皆、才能とかじゃなくて、「続けるってスゲえな」って言ってますもん(笑)。

――でも、東京理科大ですし、進学した時には順当な人生を歩もうと思っていたんですよね。

ムロ:受験では、学歴が必要だなっていうしたたかな考えで東京六大学や上智も狙いました。でも、受かって大学に通ってみたら面白くなかったんですよね。それで、中退。

――でも、学歴のためだけでも通いながら役者を目指すという方法もあったと思うんですが。

ムロ:そう言ってくれた友人もいたんですが…若かったんですよね。そんな肩書はいらないって思っちゃったんです。その3年後くらいには、やっぱ学歴が欲しかったって後悔しましたよ。

――本のなかに喜劇役者になりたい、と書いていましたけれど。

ムロ:僕らが子供の頃には喜劇役者と呼ばれる人がいなかったんですよね。世代的に、ダウンタウンやウッチャンナンチャンが大人気でしたから、笑わせるのは芸人さんの専売特許のようになっていて。でも、少し前の世代では、それが植木等さんのような役者なんですよ。僕はそれになりたいんです。ただ、笑わせるというより、役者として、ただそこにいればいい存在になりたいんですよね。いるだけで笑えるというか。…これ、字面にしたらカッコ悪いな。やっぱダメ! ふざけたことばっか書いて。

――…書いちゃうと思います。

ムロ:だよね(笑)。やだな~。これ写メ撮って、荒川良々とかが送ってくるんだろうなぁ。ヤダな~。

ムロツヨシ 1976年1月23日生まれ、神奈川県出身。’99年より役者として活動を開始。’05年の映画『サマータイムマシン・ブルース』より映像の世界へ活動の幅を広げる。現在放送中の大河ドラマ『おんな城主 直虎』(NHK)に出演するほか、今年公開予定の映画『銀魂』も待機中。

ムロさんの初の書籍『ムロ本、』は、ワニブックスより3月29日発売。1500円。雑誌『プラスアクト』で連載していた、自ら執筆した台本、私小説、エッセイなどのほか、俳優・新井浩文との本音対談や、ロングインタビューを収録。また、盟友である福田雄一監督や、俳優仲間たちが語るムロツヨシ像など、ムロさんを多角的に知れる一冊に。

usedのパジャマセットアップ¥7,400 usedのストライププルオーバーシャツ¥12,000(共にTHE LIGHT/THE LIGHT TEL:03・5432・7130) スニーカー¥16,000(ANACHRONORM/ANACHRONORM TEL:03・5784・2669)

※『anan』2017年4月5日号より。写真・内田紘倫 スタイリスト・森川雅代(FACTORY 1994) ヘア&メイク・佐々木麻里子 インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)


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