性的な欲求の“頻度”からすれ違う思いが垣間見える。
セックスとの向き合い方には、時代による傾向や変化はあるのか。昨年も行った「セックスの経験はありますか?」という質問に関しては、昨年と同様に今年も「ある」と答えた人が、男性よりも女性のほうが多いという結果に。
「近年、男性のセックスに関する二極化が進んでいると様々なデータで分析されています。この数値は、一部の積極的な男性が、複数の女性と関係を持っている、ということの表れかもしれません」と昨年もアンケート分析を行った石巻専修大学准教授の高橋幸さん。
また、「セックスをしたくなる頻度」を見ると、男女の欲求の差が浮き彫りに。
「男性は『毎日』と答えた人が最多。一方、女性は『毎日』は男性の6分の1ほど。そうなると女性の断る回数が増える状況が生まれるかもしれませんね」(高橋さん)
数値の差は、パートナーがいる時期の「マスターベーションの頻度」にも顕著に表れている。
「性的な欲求がどこで表れるのか。男性は一人でも、女性は相手がいてこそ表れるのかも」(「パレットーク」編集長・合田文さん)
Q、セックスの経験はありますか?
女性:Yes…73%、No…27%
男性:Yes…65%、No…35%
未経験の男性が35%と女性より多い結果に。「なかには、したいけどできていない人と、意識的にしていない人がいるのでは。単純な行為としてではなく、心とのバランスも重要なのかなと思います」(合田さん)
Q、セックスの経験がある女性219人、男性65人に聞きました。現在、セックスのパートナーはいますか?
女性:Yes…65%、No…35%、
男性:Yes…55%、No…45%
Q、パートナーとの関係性は?
女性:恋人…82.5%、恋人ではない…17.5%
男性:恋人…80%、恋人ではない…20%
相手との関係性について、「恋人ではない」と答えた人が男女ともに2割ほど。「複数の人と性的関係を持つソシオセクシュアリティという性的指向もあります。必ずしも1対1の関係でなくていい」(高橋さん)
Q、セックスをしたくなる頻度は、どれくらいですか?
【女性】
毎日…6%、2~3日ごと…18%、1週間に1回くらい…26%、10日~2週間に1回くらい…17%、1か月に1回くらい…21%、それ以下(3か月や半年に1回)…12%
【男性】
毎日…34%、2~3日ごと…18%、1週間に1回くらい…30%、10日~2週間に1回くらい…13%、1か月に1回くらい…0%、それ以下(3か月や半年に1回)…5%
男性はパートナーがいる人はそんなに多くないながらも、頻度は高い。「今はアダルトコンテンツなど自分のペースで楽しめるツールも豊富なので、性欲を満たす対象はパートナーに限らないのでは」(合田さん)
Q、現在、セックスのパートナーがいる、または過去にいた女性200人、男性60人に聞きました。セックスは、どれくらいの頻度でしていますか?
【女性】
毎日…3%、2~3日ごと…14.5%、1週間に1回くらい…25%、10日~2週間に1回くらい…14.5%、1か月に1回くらい…19%、それ以下(3か月や半年に1回)…24%
【男性】
毎日…13%、2~3日ごと…8%、1週間に1回くらい…37%、10日~2週間に1回くらい…13.5%、1か月に1回くらい…13.5%、それ以下(3か月や半年に1回)…15%
パートナーがいる時期のセックスの頻度を聞いたところ、男女ともに1週間に1回が最多。「欧米のカップルは週2~3回で満足という回答が一般的と聞きます。それを考えると日本は少ないですよね」(高橋さん)
Q、現在、セックスのパートナーがいる、または過去にいた女性200人、男性60人に聞きました。マスターベーションは、どれくらいの頻度でしていますか?
【女性】
毎日…3.5%、2~3日ごと…8.5%、1週間に1回くらい…20.5%、10日~2週間に1回くらい…11%、1か月に1回くらい…12%、それ以下(3か月や半年に1回)…44.5%
【男性】
毎日…20%、2~3日ごと…28%、1週間に1回くらい…27%、10日~2週間に1回くらい…10%、1か月に1回くらい…8%、それ以下(3か月や半年に1回)…7%
男性の頻度の高さを見るとセックスとマスターベーションは別ってこと? 「最近は生理教育と同じく射精教育もしましょうという動きがありますが、リアルな数字を女性も知っておくことは重要です」(高橋さん)
Q、セックスの経験がある女性219人に聞きました。パートナーとのセックスを刺激的なものにするためにどんな工夫をしていますか?
ラブホテルに行く…80人、セックストイを試してみる…40人、一緒にAVなどアダルト動画を見る…32人、コスプレ…14人、ソフトSM…13人、特にない…40人
2人が注目したのは「一緒にアダルト動画を見る」という工夫。「動画でしてみたいことを見せて、相手の反応を確かめる。そんなコミュニケーションツールとしても使われていそうです」(高橋さん)。「非日常的なコンテンツを用いることで、自分たち以外からも刺激を得られるのかも。ただし、動画は演出が施されていることも忘れないで」(合田さん)
高橋 幸さん 石巻専修大学人間学部准教授。専門はジェンダー理論、社会学理論。著書に『フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど』(晃洋書房)がある。
合田 文さん 多様性について漫画で発信する「パレットーク」編集長。DE&I(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)に関する企業の課題解決を支援する「TIEWA」代表。
※アンケートは2024年7月、インターネット上にて日本全国の25~39歳の働く女性300人、男性100人を対象に行いました。
※『anan』2024年8月14日‐21日合併号より。写真・天日恵美子 スタイリスト・野崎未奈美 ヘア&メイク・浜田あゆみ モデル・MINAMO 大空太陽 取材、文・保手濱奈美
(by anan編集部)