取得率は1割未満…「生理休暇」の現状&今後のあり方を考える

ウェルネス
2022.10.23
ananフェムケア連載「Femcare File」。今回のテーマは、「生理休暇って、必要?」。生理休暇を、実際に取得したという女性はごく少数。anan世代のオピニオンリーダーである二人と、その制度の意味や、今後のあり方について考えます。

生理休暇って、必要?

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生理休暇の取得率は1割にも満たない。

日本で生理休暇が制定されたのは、1947年。本来は女性が働きやすい環境を守るために作られたはずなのに、実際にその制度を利用した経験がある女性は10%以下。勤務先に生理休暇制度があるかないかさえ把握していない女性も少なくありません。70年以上前に制定されたものが“そのまま”残っていることにそもそも問題があるのでは? 女性特有の不調に振り回されず自分らしく働くために、いま必要なことはなんなのかについて今回は取り上げます。

Q、勤務先に「生理休暇」の制度はありますか?

ある…40%、ない…37%、わからない…23%

4割が生理休暇があると回答した一方で、そもそも把握していないという人も2割以上。また労働基準法では、会社の規則になくても生理日に就業が困難な場合は休みを請求できるが認知度は低い。

Q、あると答えた方に質問です。実際に「生理休暇」を利用したことはありますか?

ない…92%、ある…8%

勤務先に制度があっても、実際に生理休暇を利用したことがあるという人は1割にも満たないという結果に。制度はあっても、実際には利用されていないのが現実。

Q、ないと答えた方に質問です。「生理休暇」を取りにくい(取らない)理由は?

1位:取っている人を見たことがないから
2位:周囲の目が気になるから
3位:有休が残っているから

「取っている人を見たことがないから」という声が1位に。また生理休暇=無給という会社も多く、不調の場合は有休を使って休むという人も多くいました。

Q、「生理休暇」が“当たり前”になれば働きやすくなると思いますか?

思う…65%、思わない…18%、どちらともいえない…17%

6割以上が「思う」と答えた一方で、「思わない」「どちらともいえない」という人も3割以上。自分の生理や不調について“知られたくない”と考える人も多い。

◎20~30代のanan総研メンバー150名にアンケート。

男女問わず、柔軟に“休みやすい”環境づくりが理想。

「制度があっても実際に利用されてないということを問題視し、生理休暇を見直す企業は徐々に増えているとは思いますが、多いとはいえません。その分、男女問わず体やメンタルなどの不調を感じた際に、相談できる窓口や休暇を取得しやすい制度を設ける企業が増えています。生理がある“女性だけ”に特別に休みを設けることを、逆に働きづらくなると感じる人は男女ともに少なくありません。性別で分けるのではなく、誰もが働きやすく、個人で休暇を選択できる環境づくりが求められています。“生理だから”とあえて口にしなくても、ツラい時は無理せずに休んでいい。大手、ベンチャー問わず、そういった企業が増えていくことが、今後の理想のカタチだと思います」

お話を伺った方・岩山笑子さん リクルートキャリアコンサルタント。IT業界のキャリアアドバイザーとして、今までに約500名の転職実現をサポート。

そわんわんさん×佐藤マクニッシュ怜子さんが考える。ブルーデーでも“ 自分らしく”働くために必要なこと。

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心と体を回復させる“ケア休暇”を推奨。

YouTuberのそわんわんさんと、自ら起業し、国内外で事業を展開する佐藤マクニッシュ怜子さん。常に多忙な二人の、生理時の働き方とは?

そわんわん(以下、そわ):会社に勤めたことがないので、“生理休暇”という制度があることを実は知らなかったんです。調べてみたら70年以上前からあるのに、休暇を取得している人って、ほとんどいないですよね。

佐藤マクニッシュ怜子(以下、佐藤):私の会社では生理休暇は特に設けていないけれど、生理時の体調を含めて自分の意見や気持ちを言いやすい環境づくりは意識しています。私自身も「今日はお腹痛い~」とか、どんどん言いますし(笑)。女性がメインの職場で、そういう時に周りにどう対応してほしいのかをそれぞれが理解しているから、自然とみんながサポートし合っている感じ。

そわ:助け合えるのは理想ですよね。私は一人で仕事をしているから、生理でパフォーマンスが落ちても結局自分でやるしかなくて。どうしてもしんどい時は自主的に休みを取ることも…。

佐藤:そういった自由がきくとラクそうだと思われるけれど、体調と休みのバランスを自己管理するのってすごく難しいですよね。私もそれで何回も体を壊していて、自分をいたわる時間を意識的に取るようにしないといけないなと思っているところなんです。

そわ:休むのって本当に難しい。もし自分が会社勤めで生理休暇があったとしても、休みを取るのってハードルが高いと思うんですよ。生理のツラさって目に見えないからズル休みだと思われるかもしれないし、無給の場合も多いから、生活を考えると無理してでも働くことをみんな選びがちだと思う。

佐藤:制度があっても、使えないんだったら意味がないですよね。

そわ:そもそもの仕組みが変わらないと無理な気がします。理想は、生理とか関係なくしんどい時は休んでいいっていう日ができること。それなら男性も休めて、社会全体が働きやすくなりそう。

佐藤:それ、いいかも! 体力的にも精神的にも回復するための“ケア休暇”にすれば、ジェンダーを問わず使えるし。ただ、欧米の会社ってフレックス勤務が多いから休みが取りやすいけれど、日本はそこに壁がありますよね。

そわ:ツラくても我慢をすることが日本は美徳とされている風潮があるけれど、それじゃ心も体も壊れちゃう。休む選択をもっと気軽にできるような仕組みが権利としてあった方が絶対にいい。

佐藤:要望が言いにくいのであれば、環境を変えるっていう手も。私の会社もそうですが、スタートアップでチームの距離感が近い会社や自由度が高い会社って日本でも増えてきているんです。そわちゃんのようにフリーランスで働くことも選択のひとつだし、今後は自分が働きやすい環境を自分で選ぶ時代になると思う。

そわ:ツラさを口にできる環境は大事。自分の状況を理解してもらえるだけで働きやすさが全然違うし、お互いに共感し合えたら、休む選択もしやくなるはず。

佐藤:根本的な問題として日本の働き方そのものを変えていく必要があるけれど、まずは理解し合える味方を周りに作ることから始めてみるといいのかも。

そわんわん(写真右) 1999年2月19日生まれ、和歌山県出身。「お友達系YouTuber」として人気を誇る。初タンポンの使用レポートや、生理にまつわる視聴者の質問に回答する動画も。リアルサイズモデルとしても注目を集めている。

さとう・まくにっしゅ・れいこ(写真左) 1995年8月11日生まれ、東京都出身。ナイトウェアからスタートしたアパレルブランド『AMATERAS』のCEO兼デザイナー。同ブランドのルーフトップバーをマレーシアにオープン。

※『anan』2022年10月26日号より。写真・中島慶子 ヘア&メイク・井原結衣(そわんわんさん) Miyuki(AMATERAS/佐藤さん) イラスト・REDFISH 取材、文・真島絵麻里

(by anan編集部)

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