
「物価が上がっているから」と家賃の値上げが相次ぐ昨今。マイホームを買おうにもマンション価格も高騰しているし……。借りる時、更新する時、買う時に知らないと損する、住まいに関するお金の盲点をプロが解説!
アドバイザー
Profile
滝島一統
不動産会社経営、YouTuber東京・初台にて不動産会社を営む傍ら、YouTubeチャンネル「不動産Gメン滝島」で不動産知識に関する情報を発信。新刊『その家、買ってはいけない不動産屋が言わない、購入、投資、相続の真実』(PHP新書)が6月17日発売。
西山美紀
ファイナンシャルプランナー、ライター出版社を経て、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。女性の生き方、マネーなどをテーマに取材を重ね、日々にうるおいをもたらしてくれるお金の貯め方、使い方を発信中。
Q1. 更新のタイミングで大家さんから家賃の値上げ通告が。従うしかない?
A. 家賃の値上げは基本的に拒否でき、家賃の値上げは基本的に拒否でき、大家は簡単には値上げや退去の要求ができない
物価高に伴い、「住んでいる部屋の家賃が年間◯万円も上がる!」という悲鳴がよく聞かれる。それって仕方がないのだろうか?
「いえいえ、基本的に拒否できますよ。家賃は交渉で決まるものなので、大家さんが一方的に通達することはできないし、値上げに応じないなら出ていってくださいというのもダメ。日本は法律上、借り主の権利がとても強いということを知っておきましょう」(滝島一統さん)。周辺相場が今どのくらいかをリサーチした上で、納得できる5~10%程度の値上げは受け入れざるをえなが、5割増しなど法外な値上げはきっぱり拒否してOK。
「大家さんの立場からしても、新しい入居者を探すのは大変なので避けたいと思うはず。値上げ幅を小さくしてもらえないかなど、相談してみては」(西山美紀さん)
値上げを受け入れるにしても、妥協案を示すなど粘りを見せてみる価値はある。
「例えば、『値上げに応じる代わりにエアコンを新しくしてください』とお願いしてみるといった手もあります」(滝島さん)
Q2. 無事に物件が見つかった!契約の時に気をつけるべきことは?
A.定期借家かどうかと重要事項説明書の特約をチェック!
「大家さんよりも借り主の権利が強いのは、あくまで普通賃貸借契約の話。物件が定期借家だった場合は話がまったく変わってきますので、初めに確認しましょう」(滝島さん)。普通の賃貸では2年ごとなどに契約を“更新”するところを、定期借家では“再契約”することになる。2年で契約がいったん終了するため、値上げ交渉の際に借りている側の権利が弱いというデメリットがある。
また、契約時に必ず署名する「重要事項説明書」にしっかり目を通すことも大切だ。「小さな文字で書かれている『特約』の部分に要注意。退去時の敷金精算方法について、借り主に不利益なことが書かれている場合があります。例えば、エアコンクリーニング代を借りる側が払う契約になっていないかチェックを。これは本来、大家さんが負担すべき項目です。また、礼金や敷金と別に『敷金償却』などとされているケースも。これだと実費を精算して余った分が大家さんの懐に入るので、受け入れてはいけません」(滝島さん)。一度署名してしまったら終わり!
Q3. 引っ越し前にやっておくべきことは?
A. 入居前に、部屋の状態を動画や入居前に、部屋の状態を動画や写真で残しておく。これは必須!
家具などを搬入する前に、部屋の汚れや傷をチェック。どんな小さな傷でも写真か動画に記録しておこう。
「これは、『自分がつけた傷ではなく、もともとありました』と証明するための作業。退去時に補修費を不当に請求されないようにするには、証拠を残しておく必要があるのです」(滝島さん)。おすすめの方法は、家中の傷や汚れに付せんでマーキングして撮影し、その画像を不動産管理会社にメールで送って共有しておくというもの。メールすれば日時も含めた証拠として強固なものに。少し手間はかかるが、20分もあれば撮影できるはずなので退去時に後悔しないためにも必ずやっておこう。
「退去時にハウスクリーニング代を払うことはよくあります。それも契約時の重要事項説明書に書かれているので、金額が適正かどうか見ておきましょう。単身者向け物件ならクリーニング代は2万~3万円。あまりに高額なら契約時に指摘を」
Q4. 自分の家で彼氏と同棲することに。黙っていても大丈夫?
A. 同棲する場合は、必ず管理会社に報告を
一人で入居の契約をしたけれど、途中で彼と一緒に住むことに。そんな場合、大家さんと管理会社に黙っているのは得策ではないそう。
「主に問題になるのは保険です。もし、入居者自身ではなく同棲しているパートナーがタバコの不始末などで火事でも起こしたら、損害分が全額自己負担になってしまう恐れがあります」(滝島さん)
正直に管理会社に申告をして、必要があれば火災保険の再手続きを。保険料や家賃が上がることはないが、大家さんの方針で単身者以外は不可という場合は引っ越しするしかない。
Q5. とはいえ引っ越そうにも新しい物件はどこも高い…目玉物件はどこにある?
A. 少しでも得したいなら、狙い目は「AD付き物件」
「賃料の相場はエリアで決まってくるので、掘り出し物というのは滅多にありません。ただ、最近増えているAD(広告)付き物件には、交渉の余地があることが多いのでおすすめです。仲介手数料を安くしてくれたり、数か月分のフリーレント(家賃無料)を付けてくれたりする可能性もありますよ」(滝島さん)。「AD」とは、オーナーが広告宣伝費の名目で不動産会社に払うコストのこと。最近はワンルームマンションの流動性が落ちているので、早く入居者を決めたいけれど家賃は下げられないというオーナー側の事情から、こうした物件が増えているという。まず物件探しの際に、店頭で「AD付き物件はありますか?」と聞いてみよう。
Q6. やっぱり自分の家が欲しい、でも、資金が足りない…住宅ローンを賢く使う方法はある?
A. ペアローン、50年ローンは計画性ありき。起こりうるリスクを想定して利用を
家を購入する人のほとんどが利用する住宅ローン。基本的な注意点は?「よく言われるのが、年間返済額が年収の3割以内に収まるようにするということ。たしかに一つの目安にはなりますが、年収が少ない人にとって3割は大きな負担です。女性なら産休・育休で収入が減る可能性もあるので、3割までは大丈夫と過信しないほうがいいでしょう。借りられる金額ではなく、返せる金額かどうかがポイントです」(西山さん)
最近は50年ローンも登場している。「35年にしろ50年にしろ、返済は長期にわたるので、災害や経済ショックが起きても破綻しないように計画する必要があります。金利上昇も予測できません。変動金利が5%になることだってないとは言えないのです」(滝島さん) 夫婦共働きのカップルは、ペアローンも選択肢の一つ。借りられる額が増え、住宅ローン減税をダブルで受けられることも大きなメリットではあるが、どちらかが返済できなくなると、もう一人が責任を負うことを理解しておきたい。「家を買う時に離婚を想定する人はいないと思いますが、万が一離婚するとなった場合に、すんなり売却できずに揉めるケースも多いようです」(滝島さん)
主な住宅ローンの金利のタイプ
💰️ 変動金利
市場金利の変化に伴い、返済中でも定期的に借入金利が変動する。
💰️ 固定金利期間選択型
当初3年間、10年間など一定の期間にだけ固定金利が適用される。
💰️ 全期間固定金利型
返済している全期間にわたって借入時の金利が適用される。
イラスト・いいあい 取材、文・黒澤彩
anan 2498号(2026年6月3日発売)より






























