社会のじかん

新型コロナ、5類に移行。どこまでを公費で負担するかが大きな論点に

ライフスタイル
2023.03.03
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「新型コロナ、5類に移行」です。

課題は山積。感染対策は、今後も緊張感を持って。

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新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが2類相当から5類に変わることになりました。季節性インフルエンザと同じ扱いになります。ただ、課題はたくさんあります。新型コロナ感染者数は周期的に増加しますし、後遺症の問題もあります。感染者数が増えると医療機関が逼迫して、救急搬送を受け入れられない病院も出てきます。

岸田総理は1月の記者会見で、5類への見直しに向けて、「原則として、5類感染症とする方向で専門家に議論していただきたいと考えている」と発言しました。本来、専門家の役割は政治判断と離れたところで科学的な知見に基づいて提言すること。専門家と政治判断は緊張関係にあってほしいと思います。その点、東京都では国と歩調を合わせず、東京iCDCという、CDC(アメリカ疾病対策予防センター)にならった専門家チームを作り、独自の提案をしています。

5類への移行で大きな論点になるのは、どこまでを公費で負担するかです。2類相当の現在は入院や外来の費用は公費でまかない、無料のPCR検査も行ってきました。これが自己負担になると当然、受診控えが出てくるでしょう。また、医療現場での体制も、5類になることで、新型コロナの疑いがある患者とほかの外来患者を区分けしなくなるので、病院でクラスターが発生することも予想されます。

流行の把握や新たな変異株の検出も、状況に合わせて速やかな体制を作っていかなければいけないと思います。

政府は3月13日よりマスクの着用のあり方を、屋内外を問わず、個人の判断に委ねる方針を打ち出しました。ただ、国の基準が変わろうと、マスクのルールが緩和しようと、ウイルスの威力は変わりません。コロナ禍がおさまったかのように思われるかもしれませんが、感染対策は変わらず続けていかなければなりません。

インフルエンザのタミフルなどのように、新型コロナ治療薬の開発も進んできています。私たちが不安な症状を訴えたときに、近くの医療機関で安心して投薬を受けられる、そういう体制を政府はまず迅速に広げていってほしいと思います。

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ほり・じゅん ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~)が放送中。

※『anan』2023年3月8日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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