猫と一緒に暮らせるものも! 多様化が進む“シェアハウス”最新事情

ライフスタイル
2022.09.15
シェアハウスという暮らし方が定着して久しいものの、今その役割が改めて見直されています。興味のある人も、まだハードルの高さを感じている人も、思わず住みたくなるシェアハウスの最新事情を調査。

自分が求めるスタイルと運営との相性を見極めて。

今や、私たちの住まいの選択肢の一つとなったシェアハウス。

「日本のシェアハウス需要は社会人女性をエンジンにして伸びており、世界でもレアなケースです。女性の社会進出が当たり前になり、キャリアを重ねる人が増えて晩婚化が進み、プライベートな人間関係を補完する役割を期待して入居する人が多くなりました。またコロナ禍を経て、リモートワークが増えた結果、家で過ごす時間を豊かにしたいという思いから、コスパではなくライフスタイルを重視するシェアハウスの需要が高まっています。入居時に大事なのは運営会社との相性。大きな会社だからといって自分に合うとは限らないので、できれば3つの運営会社に連絡を取り、実際に物件を見に行ってください。経験豊富な会社の多くは仲介会社ではなく、運営会社の人が案内してくれます。いくつか比較することで相性の違いがわかるので、しっくりくるものを選びましょう。住んだ後の満足度が変わってくるはずです」(北川大祐さん)

物件ごとにそれぞれに魅力が! 今どきシェアハウスの潮流。

シェアハウスといえどタイプはさまざま。なかには、コロナ禍になり新たに需要が伸びてきたものも。ここでは、多種多様なシェアハウスの傾向と特徴をピックアップ。選ぶ時の参考にしてみて。

Case1:#都会 #ライフスタイル重視

アクセスのいい場所で快適な暮らしを望む人に。

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都心などの便利な場所にあり、広い生活スペースやデザイン性の高い居住空間、ワーキングラウンジやフィットネススタジオをはじめとする充実した共用部分などが大きな魅力に。使い勝手や居心地は抜群だが、そのぶん賃料は高め。「居住者は30代以上がメインで40代、50代の人も住んでいます」(北川さん)

Case2:#都会 #賃料抑えめ

昔から存在している、コスパ重視派の強い味方。

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「とにかくコスパよく過ごしたい人向けです」(北川さん)。個人スペースは狭い場合が多いが、“忙しくて家に帰るだけなので会社近くの安いところに住みたい”“都心に住んで遊びを充実させたい”というような声にも応えている。「今のトレンドというわけではなく、絶えず存在しているタイプです」

Case3:#郊外・地方 #ライフスタイル重視

自然が身近に。リゾート感あふれる人気タイプ。

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街の中心地を離れた自然豊かな場所にあるシェアハウス。「リモートワークをする人が以前よりも増えたことで、郊外が選択肢に入りやすくなったこと。また、家で過ごす時間が長くなり、いい空気が吸えるなど、息抜きのしやすさを重視する人が増えたことが要因で需要が高くなりました」(北川さん)

Case4:#郊外・地方 #コンセプト重視

オリジナリティあふれる、個性派シェアハウス。

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「猫と一緒に暮らせるものや、居住者同士で農作業を楽しみながら生活をするなど運営者の強い思いやコンセプトが色濃く出ているユニークなタイプ」(北川さん)。趣味嗜好に合ったものを見つけられると、日々の暮らしの充実度がアップすること必至。郊外に多く、コロナ禍になり、以前より数が増えている。

Case5:#知り合い同士 #自主運営型

人となりがわかっている相手と一緒に暮らす。

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「友だちや知人と一緒に物件を借りて住む自主運営型です」(北川さん)。王道シェアハウスタイプの一つで、ある程度人となりや気心の知れた人との生活で、暮らし方や空間づくりの自由度の高さがメリットとして挙げられる。物件や居住者探し、共用部の掃除など、管理のすべてを自分たちで行う必要がある。

福澤涼子さんが考える、これからのシェアハウス。

単身者も、子育て中の家族も、みんなが支い合える器に。

2010年代から単身の若者の住まいとして、シェアハウスが選択肢の一つとなってきました。その後、シェアハウスを経験した若者が“このまま育児もできそうじゃない?”と、その暮らしを継続するケースが増えています。一般的に事業者のシェアハウスでは、妊娠した場合は出産前に退去となるケースも多く、自分たちで運営する自主運営型か、多世代型に強い思いのある事業者のシェアハウスの方が実現しやすいようです。第三者の存在があるシェアハウスでの育児は、育児時に感じやすい孤独や取り残されたような焦りが減ったり、他の誰かに子どもを見てもらえるなどセーフティネットができ、安心感が得られます。周りの人は自身が子育てをする時のシミュレーションとなるというメリットも。シェアハウスの面白いところは、普段、外では見せないダメな自分を互いに見せ、受け入れ合いながら生活をする点です。短所を人に受け入れてもらえた経験は、人と繋がる価値や、精神的な安心感に繋がるはず。水回りの共有は最初は大変だと感じる人も多いと思いますが、乗り越えると違う人生体験ができるかもしれません。

北川大祐さん ひつじインキュベーション・スクエア代表。2005年に、シェアハウスを専門に扱う不動産サイト「ひつじ不動産」を立ち上げる。現在は国内最大規模に成長し、累計40万件以上の問い合わせ実績がある。

福澤涼子さん 第一生命経済研究員、慶應義塾大学SFC 研究所上席所員。育児をしているシェアハウスでの共同生活を主に研究している。自身も子育てをしながら、エジプト人の男性とのシェアハウス生活を実践。

※『anan』2022年9月21日号より。イラスト・石 明子 取材、文・重信 綾

(by anan編集部)

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