メインディッシュは昆虫に!? 6つの“未来予想図”に驚き!

ライフスタイル
2021.03.31
このままの生活を続けるとどうなる? 地球の未来予想図を紹介。世界中の人が日本と同じような暮らしをしたら、年間地球2.8個分の資源が必要になるという。1個分に収まる暮らし方にチェンジしないと、例えばこんな未来が待っている? 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授・蟹江憲史さんに聞きました。

東京の一部が海に沈む!?

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地球温暖化による海面上昇リスクが叫ばれている。気候変動に関する政府間パネルIPCCは、このままのペースで温室効果ガスの排出が続けば、2100年には平均海面水位が最大1.1m上昇すると予測。「海面が約1m上がれば、東京の低地は水没の可能性が高まるといわれています」(蟹江さん)。海抜0m地帯を守る東京湾の海岸堤防は、数mの高潮は想定しているが、温暖化をこのまま放置すれば数百年後には水没してしまうかもしれない。

ACTION
移動には公共交通機関や自転車をできるだけ使って、温室効果ガスの排出減を。
自宅の電力契約先を再生可能エネルギーの会社に変えてみる。

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食卓から魚が消える…?

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国連食糧農業機関(FAO)の「2020年世界漁業・養殖業白書」によれば、世界の漁業資源の34.2%は“獲りすぎ”。魚介類を枯渇させないためには、消費者も資源管理に配慮した漁業を支援する必要がある。一方、海水温上昇や海の酸性化など、温暖化も魚介類の生態系や生息域に深刻なダメージを与えている。「漁獲量が減ると価格が上がり、なじみの魚が食卓から消えることもあるでしょう。今、漁業資源を守る養殖のあり方を考える動きが盛んになっています」

ACTION
持続可能な漁業を認証したエコラベル、MSCラベルがついた海産物を買う。
量り売りショップの活用などで包装の焼却ごみを減らし温暖化対策につなげる。

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海洋生物が人間の健康を脅かす。

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海のプラスチックごみは、5mm以下のマイクロプラスチックになっても長く浮遊する。こうした海洋ごみの量は2050年に魚と逆転すると予測されている。魚が食べたプラスチックの破片から、人に健康被害を与える恐れのあるポリ塩化ビフェニル(PCB)も検出されている。人体への具体的な影響は未知数だ。コロナのような感染症が今後増えると分析する報告もある。「人間と自然の生態系の距離が近づきすぎたことが一因といわれています」

ACTION
マイバッグやマイボトル、マイストローなどでプラスチックごみを削減。
手洗い&マスクで感染症をしっかり予防。定期的な健康診断も忘れずに(※1)。
※1 保健の課題を扱った目標3のターゲット3.4にも、非感染症疾患を予防や治療により減らすという項目がある。

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格差社会の広がりで治安が悪化。

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貧困への支援活動を行う国際NGOオックスファムによると、世界の最富裕層2153人が、世界人口の60%強に当たる最貧困層46億人をしのぐ財産を持っている。また、最も裕福な22人の男性は、アフリカの全女性の富を上回る財産を持っているそうだ。国連も世界の3分の2の国で所得格差が広がり、不平等が進んでいると警鐘を鳴らす。「コロナでも気候変動でも影響を受けやすいのは貧しい人たち。貧困層が増えると、社会は不安定になります」

ACTION
世界の貧しい人たちを支援する国連機関やNGO、NPOなどに寄付をする。
ジェンダー問題の理解を深め、女性の社会的活躍や継続就業を後押しする(※2)。
※2 日本はジェンダー・ギャップ指数2020で153か国中121位。コロナ禍でシングルマザーの7割が雇用形態の変更や減収を迫られるなど、社会問題となっている。

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タンパク質は昆虫から摂るのが当たり前に?

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世界の人口は2030年に85億人、2050年にほぼ100億人に達するといわれている。FAOは2013年、タンパク質の需要増や家畜の飼料不足対策として食用昆虫の飼育を奨励。昆虫食に抵抗を感じる人も少なくないが、栄養価は高く、環境負荷は小さいため、未来のタンパク質源として有望視されている。「人口増とともに、例えばオーストラリアの干ばつによる不作で小麦の価格が高騰しましたが、実は食料問題は気候変動とも深くつながっています」

ACTION
プラントベースミートを活用して、週に一日は肉食を控えてみる。
必要な分だけを買って、残さずいただきフードロスをなくす。

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水を奪い合う紛争が起こる?

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世界の水問題を考える時、“バーチャルウォーター(仮想水)”といわれる概念を知っておくことが重要になる。「日本は食料をたくさん輸入していますが、例えば肉牛を育てるために使った水を、日本は目に見えない形でその国から奪っていることになります」。水が貴重な途上国では、輸出用の農畜産物に生活用水を奪われ、困っている人たちがいる。水不足は人間にとって死活問題。水利権を巡る争いは、既に中東や北アフリカ、東南アジアなどで起きている。

ACTION
バーチャルウォーターの輸入量を増やさないよう、地産地消を心がける(※3)。
シャワーや水道を出しっぱなしにしないなど、節水を意識する(※4)。
※3 日本の食料自給率は38%(カロリーベース)と先進国中最低水準。
※4 地球上で人が利用しやすい状態の淡水(真水)は地球の水全体のわずか0.01%にすぎない。この貴重な水の循環を健全に保っていくことが、持続可能な社会に欠かせない。

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かにえ・のりちか 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授。近著に『SDGs(持続可能な開発目標)』(中公新書)。SDGs関連を中心に政府委員を多く務める。

※『anan』2021年4月7日号より。イラスト・北澤平祐 取材、文・岩井光子

(by anan編集部)

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