目の前のタスクに取りかかるとき、最初の難関となるのが「そもそもやる気が起きない」という問題。強い集中力を発揮するためにも、作業前にきちんと準備しておくことが肝心。その1stステップとは? サイエンスライター・鈴木祐さんに聞きました。

1stステップは「目標とメリットをはっきりさせる」。

価値観をひもづけた目標設定。(長期的な集中)

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集中すべきことがあっても、どうにも気が進まず、スタートラインにすら立てない…。そんな状況に陥った経験がある人もいるはず。大事なのは、目の前のタスクの最終目標を明確にすること。「たとえば仕事の場合、“いつもより早く出社する”といった即座の目標より、“この仕事を通じて多くの人の役に立ちたい”“周囲に認められたい”など、長期的な視野でイメージするほうが作業への意欲は高まります。目標は大きく、自分自身の人生観や価値観に関わるものほど効果的」

×毎朝、1時間早く出社しよう→ 失敗する。
○たくさんの人に喜んでもらえるものをつくりたい。(人生観に関わるほどよい)

例)

  1. 玩具会社に勤めているんだから、おもちゃの企画を出そう。
  2. ヒットのためには、いつもの倍の企画を出そう。
  3. 企画を考える時間のために、早く出社しよう。

報酬を描く。(短期的な集中)

長期的な目標を立ててモチベーションアップに成功したら、今度はタスクを達成したときの様子をより具体的なイメージに変換してみよう。「あなたの現在のタスクが“資料を提出すること”であれば、“資料を上司に提出して仕事を終えて、意気揚々と遊びに行く自分”を思い浮かべる、という具合に。頭で考えるだけではなく映像をイメージすることで、報酬やゴールの達成感を具体的に味わうことができます。この方法を“具象イメージング”と呼びます」

例)
さっさとこの資料を提出して、映画を観に行こう。★具体的な映像イメージをする。

やるべきことの見える化。

一般的に、目の前のタスクが複雑であればあるほど、集中力をキープすることは難しくなるもの。途中で作業を投げ出さないためにも、一つ一つの“やるべきこと”をまずは明確にしておく必要がある。「コツは、現在から未来に向かって計画を立てるのではなく、最終的な目標イメージから逆算する形で短期的な目標を決めていくこと。すると目標への道筋が可視化され、複雑だと思っていた作業もシンプルに思えてきます。具体的な工程は4つ。簡単なのでぜひ試してみてください」

質問型アクションを常に見えるところに貼る。

“質問型アクション”とは、デイリータスクを質問文にすることで、宣誓文よりも強い心理効果を発揮させるテクニックのこと。たとえば「山田アン子は9時に会社で企画のリサーチをしますか?」のように、「【自分の名前】は【時間】に【場所】で【タスク】をするか?」と質問形式にするのがフォーマット。質問型アクションは紙に書いて見える場所に貼ったり、PCやスマホの画面に常に表示させておくと効果的。

例)
山田アン子は、9時に、会社の自分の席で、次の企画のリサーチをしますか?

サブゴールを設定する。

はじめに、目標達成までのサブゴールと期日を設定する。たとえば最終目標が「資料を提出してスッキリ」であれば、「その1日前までに文章を見直す」→「3日前までには文章をまとめる」→「さらに5日前には…」というように、未来から現在にさかのぼるように計画を立てていく。サブゴールの数にはっきりとした決まりはないものの、最終的な期日までに3~5つくらいを設定するのが理想的。

例)
目標イメージ「資料をまとめて提出する」

  1. 「1日前に文章を見直す」
  2. 「3日前までに文章をまとめる」
  3. 「5日前までに内容の検討を終える」
  4. 「7日前までにリサーチを終える」

デイリータスクに落とし込む。

上で設定したサブゴールの中からもっとも締め切りが近いものを選び、それを達成するために毎日やるべきタスクを書き出していく。デイリータスクの基準は、「数分から1時間で終わるレベル」だとベター。ただし実際に試してみて作業に集中できなかった場合は、1つのデイリータスクをさらに2~3つに分解するなど、定期的に修正を加えてもOK。タスクを細分化するほど、作業の難易度は下がっていく。

例)
サブゴール「7日前までにリサーチを終える」

  1. 「資料を集める」
  2. 「資料を読む」
  3. 「詳しい人を探す」
  4. 「詳しい人にアポイントを取る」
  5. 「話を聞く」

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障害と対策を書き出す。

次に、デイリータスクを達成する際に発生しそうなトラブルとその対策を書き出す。たとえば「スマホを見てしまう」→「電源や通知をオフにする」、「とにかくやる気が出ない」→「とりあえず5分だけ作業する」という具合に。このテクニックは「心理対比」といい、意図的にネガティブな事象を思い浮かべることで、普通に目標を立てたときに比べて格段にモチベーションを高めてくれる効果がある。

例)
スマホを見てしまいそう→電源をオフにして目に入らない場所に置く。

鈴木 祐さん サイエンスライター。健康や科学、心理などをテーマに書籍や雑誌の執筆を手掛ける。新刊『科学的な適職』(クロスメディア・パブリッシング)が発売中。

※『anan』2020年2月12日号より。イラスト・加納徳博 取材、文・瀬尾麻美

(by anan編集部)

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