消費税が10%になる。
→堀さんの分析:高い税金、高いキャッシュバックの制度作りに向けた議論が始まりそうです。
堀:30年前にスタートした消費税。2019年10月には、8%から10%になります。
五月女:最初は3%でしたよね? 当時、中学生だったので、すごく痛かったです。
堀:少子高齢化の進む日本では稼ぎ手が減るので、税収も減って、将来、国の財源が足りなくなる。そこで始まったのが消費税です。国は将来的には20~30%くらいまで上げたいと思っているんです。
五月女:そんなに上がるんですか!?
堀:段階的に上げてきましたが、税率が上がるたびに消費が落ち込んで景気が悪くなってしまう。そこで国は、いくつかの増税対策を検討中で、そのうちの一つが、「軽減税率」です。五月女さんは普段、どんなものを買いますか?
五月女:なんだろう? 食料品とか服とかでしょうか。
堀:あまり買わないものは?
五月女:宝石とか家とか車とか…飛行機?(笑)
堀:軽減税率とは、米やパンなど日常的に必要な食料品は8%の据え置きにして、酒や煙草などの嗜好品や、経済的に余裕のある人しか買わない高価なものは、税率を10%にするという仕組みなんです。正確には据え置きなので、「軽減」ではないのですが。
五月女:本当だ! 名前がずるい!
堀:ものによっては複雑になります。たとえば、スーパーのお惣菜は買って帰れば8%ですが、イートインコーナーで食べると「外食」扱いになり10%になるんです。
五月女:えー! それは混乱しそう。
堀:増税対策はほかに、一定期間、中小小売店でのキャッシュレスでの支払いにはポイントを還元するとか、低所得者と0~2歳児のいる子育て世帯には、購入額以上の買い物ができる「プレミアム付き商品券」を発行するなど、全部で9項目が予定されてます。
五月女:お店のポイントとかも、私は活用するのが苦手で、本当に得になっているのかな? と思ったりします。
堀:僕もポイントはあまり活用できていません(笑)。ただ、日本の社会保障をこれからも支えていくには、消費税は上げていかないともたないんですよね。北欧やヨーロッパの一部の国では、消費税が30%台と高い代わりに、学校や病院を無償にしています。
五月女:日本はそういうふうにはできないんですか?
堀:日本は長らく、政治家たちが人気取りのために選挙のたび「減税」を謳う時期が続いて、消費税の制度設計がうまくいっていませんでした。
五月女:何のために増税が必要なのか、わかるように説明してくれれば私たちも納得できるんですけど。
堀:高い税を支払う代わりに、子どもの教育費、奨学金、介護や医療費などで高いキャッシュバックが得られる制度作りに向けた義論が、2019年は本格化すると思います。生活の向上につながる還元策になっているか、私たちは見守ることが大事になりますね。
堀 潤さん(写真左) ジャーナリスト。「8bitNews」代表。「GARDEN Journalism」主宰。『モーニングCROSS』(TOKYO MX)ほか、レギュラー多数。
五月女ケイ子さん(写真右) イラストレーター。ツイッターは@keikosootome。楽しいグッズ満載のオンラインストア「五月女百貨店」は@sootomehyakka。
※『anan』2019年1月2・9日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 取材、文・黒瀬朋子
(by anan編集部)
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