占い師しいたけ.さんカウンセリング、SNSが自分が迷子に?

ライフスタイル
2018.11.25
最近のアンアン世代の女性たちが抱えている悩みとは? 数々のクライアントをカウンセリングしてきた、占い師・しいたけ.さんと精神科医・名越康文さんがananカウンセリングルームを開設します。

「SNS上でブランディングしたり、面白いことを言わなくてはいけないという思い込みや、常に自己表現を求められる圧迫感です。自分を表現できる場所があるからこそ、1対1でわかり合うよりも、数多くの人の反応を求めてしまう。だから、この人と結婚していいのかとか、自分が行う選択に確信が持てなくなっている人も増えている気がします」(しいたけ.さん)

「気にしすぎて、自己表現の中に“自己”が込められなくなってしまっているわけですよね。昔は表現をする場所は限られていたので練り上げる時間があった。でも今は常に必要とされてしまっているから、次々に出さなくちゃならない。揚げ句、その場所を離れて実生活に戻ると自分が誰かわからなくなってしまうんでしょう」(精神科医・名越康文さん)

「そんな中で溜まったストレスを吐き出すのに、悪口にのっかることを自己表現にしてしまっている人もいる気がして。そこに自虐を加えて笑いに変えられればいいんですけど」(しいたけ.さん)

より具体的な悩みや、自分との向き合い方をおふたりがアドバイスします!

[お悩み]変われない!
転職やイメージチェンジに興味はあるのですが、失敗が怖くて、行動できません。

しいたけ.

N(名越さん):まず転職するにしても、本当にそれがやりたいのか、ただその職に就いた自分がかっこいいからなのかっていう確認が必要だよね。

S(しいたけ.さん):そうですね。あと、そもそも論なんですけど、「彼氏できた?」って周りから言われ始めたら、それはもう彼氏ができる前兆であるように、目の前にある職場が過去のものとして見えていたら、それはもう辞める時期なんですよね。100%でやってきて、これ以上実入りがないから次に行くっていう。「変わりたい」って言ってる人は、まだ思いが100%まで届いていない気がして。転職が逃げになっちゃうと、活路ってなかなか開かれないと思うんです。

N:「私は今のままでいいの」と口では言いながら、心の中では、新しい自分になりたい、という思いでいっぱいで、フラストレーションが溜まっていたり。そういう分裂した状況にあるのかもしれないね。

S:僕も昔、ずっとモテたいって叫んでた時があって、それでマネージャーに「じゃあ、デパートに行こう」って言われたんですよ。ジャージーの自分を愛してもらいたいと思っていた僕が、年相応の清潔感ある高級ブランドの服を汗だくで震えながら人に見てもらって買わされて(笑)。今まで一番着たくなかった服を着る“高級デパートチャレンジ”を越える覚悟はあるのかという試練を与えられたんですよ。そこで僕の本気度が試されたわけです。自分が変わりたいという気持ちが、それまでいかに自分本位だったかということを思い知らされました。僕はこのチャレンジを経て、変われたわけですが。

N:だから、「沸点まで行け!」っていうことだよね。

S:でも難しいですよね。はたして、変わることが幸せなのか。

N:「勇気とは何か」という話になるんだけど、夢に向かって階段を駆け上がるぞっていう時は、ただの自己愛。でも上りきって、自分くらいのセンスのやつなんて吐いて捨てるほどいるってわかった時、それでもやりたいって言えるのが勇気なんですよ。その“踊り場”を越えられるか越えられないか。

S:踊り場を越えると今度は攻撃されたりもしますから、踊り場にいることも大事ですよね。別に変わらずとも、同じ場所で手堅くやるってことも必要だと思います。

[お悩み]厳しすぎ!
完璧を目指しすぎて、自分に厳しく他人にも厳しい性格を変えたい。

しいたけ.

S:これは年代によって誰でも経験することだと思うんですよね。僕はお酒が飲めないので、若い頃は終電間際でフラフラになってる酔っ払いが許せなかったんですよ。

N:間口が狭かったんだね(笑)。

S:でもやっぱり、自分に厳しい時って他人にも厳しくなりますよね。とくに能力を伸ばしていく時期は、すごく排他的で人を許せなくなって、理想の自分と、少数ながら自分が認める人しか受け入れられなくなる気がするんです。でも、そういう時期も必要かな、と。

N:本当にそうですよ。

S:若い時は好きなお笑い芸人は誰かで揉めたりするじゃないですか。「あんなの笑いじゃねぇ」とか。でも、それぞれの味というか良さの棲み分けがわかる頃って、尖ってた時期を越えてからなんですよね。

N:こういう方はもしかしたら上手く褒めてもらいたいのかもしれない。

S:だから、どっかで“B級”を取り入れてほしいんですよ。原材料がすごく安いラーメンを食べるとか。

N:そういうものをたまに食べると、なんか自分に戻れるんだよね。

S:「なんでこんなの食べてるんだ」って途中で我に返るくらいなんの感動もない味を食べると、やっぱり自分のことを「頑張ってるな」って思えたりするので。

N:あとこういう方って、大人ってすごいと思っているんですよ。たとえ30歳の女性でも。だから大人に近づこうと頑張りすぎて、完璧しか許せなくなってしまう。それで、大人になりきれないコンプレックスを他人に投影して「あなたはなんで子供のままなの!」って。でも、本当はこの人もまだ子供なんですよね。ただ、それを非難するつもりは全然なくて、僕は「大人って意外とたいしたことないよ」ってことを教えてあげたいんです。

S:本当にそうですね。

N:チームで仕事をしてる時とか、完璧主義の人から見たら75点のレベルのものしかつくれてないって思うかもしれないけど、成果として75点って結構すごいし、世間的には90点くらい行ってるんですよ。みんなでやってるんだから、不備があって当たり前。どんな名作映画だって、同じシーンなのに服が変わっていたりといった不備が必ずある。だから“完璧”なんてないし、名作になるのに、実は完璧なんて必要ないんですよね。

なこし・やすふみ 精神科医。相愛大学、高野山大学客員教授。NTV系『シューイチ』ほか、さまざまなメディアでコメンテーターとしても活躍。著書多数

しいたけ.さん 占い師。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究するかたわら占いを学問として勉強。著書に『しいたけ占い 12星座でわかるどんな人ともうまくいく方法』(小社刊)ほか。最新刊『しいたけ.の部屋 ドアの外から幸せな予感を呼び込もう』(KADOKAWA)が12月15日に発売予定。しいたけのブログ https://ameblo.jp/shiitake-uranai-desuyo/名越先生から「体癖」について学ぶなど師弟関係にある。ツイッターでのふたりのやりとりに注目者多数

※『anan』2018年11月28日号より。イラスト・100%ORANGE 文・菅野綾子

(by anan編集部)


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