意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「ニュータウンの衰退と再生」です。
建物の老朽化、人口減少に伴いどう再生するか
高度経済成長期に都市部に人口が集中したのに伴い、「ニュータウン」が多数作られました。最も古く有名なのが大阪府にある千里ニュータウンです。1961年に工事が始まり、集合住宅、戸建て住宅、道路や鉄道、公園、学校、ショッピングモールなどを配置。1970年には大阪万博も開かれ、憧れの未来都市の様相を呈していました。
’70〜’90年代は車社会が到来し、核家族化が進み、大量生産、大量消費の時代。郊外に住み、仕事は都心に通い、ショッピングモールで買い物をするという戦後モデルの完成形でした。ところが、建物の老朽化、住民の高齢化、子育て世代の流出で千里ニュータウンは衰退し始めます。1975年には約13万人だった住民が2005年には約9万人に減少。千里中央駅周辺の商業施設は解体や閉店が相次ぎ、残念ながら今は、かつての賑わいはありません。
ニュータウンだけでなく郊外型ショッピングモールも、時代とともに衰退してきています。インターネットショッピングの活性化と、都市部への人口流出が大きな要因です。アメリカでも治安悪化や郊外化の限界で「デッドモール」と呼ばれる廃墟化したショッピングモールが社会問題になっているんですね。日本の場合は、地方の二次交通(最寄り駅から家や目的地までの移動手段)のバスや路面電車、タクシーの減少や、高齢化で自家用車の運転も難しくなり、アクセスしにくくなっていることも原因の一つだと思います。
そんな中、ニュータウン再生の取り組みも進められています。千里ニュータウンでは、UR都市機構や大阪府が賃貸住宅の大規模な建て替えを行い、子育て世代を新たに呼び込み、近年は少しずつ人口が増えているそうです。また、千里中央駅周辺の再開発、大型商業施設の建設も予定されています。
ただ、人口増が見込めない地域の郊外型モールでは、ドラスティックに、データセンターの建設や太陽光パネルなど再生エネルギーの創出に利用するのも一案なのかもしれません。民間任せで住宅もモールも廃墟化が放置されないよう、国や自治体が全体を鑑みながら、時代にフィットした新しい街づくりに注力してもらえたらと思います。
五月女ケイ子解読員から一言

千葉県のユーカリが丘の「ゆりかごから墓場まで」を支える街づくりのように、時代に合わせながら見守り、昭和の雰囲気を残しながら再生すれば、千里は唯一無二のシンボリックな街になりそうなのにな。子育てと同じで、モールに必要なのも「愛」ですね。
解説員
Profile
堀 潤
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜20:00~21:00)が放送中。著書『災害とデマ』(集英社)が発売中。
解読員
Profile
五月女ケイ子
そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。細川徹との共著、ゆるくておバカな昔ばなし『桃太郎、エステへ行く』(東京ニュース通信社)が発売中。
anan 2504号(2026年7月15日発売)より
































