
小説『俺の恋バナを聞いてくれ』の作者、新川帆立さんにインタビュー。
主人公たちのキャラには、その時どきのマイブームが反映されています
「小さい頃から、モンゴメリの『赤毛のアン』やバーネットの『秘密の花園』、オースティンの『高慢と偏見』など、恋愛と成長を描いたボーイ・ミーツ・ガールの物語が大好きでした。そんな読書経験から、自分でも書いてみたいという気持ちはデビュー前からありました」
『俺の恋バナを聞いてくれ』は、ミステリーで数々のヒットを飛ばした新川帆立さん初の恋愛小説集だ。タイトルには「ハイスペ」「イケオジ」などイマドキの男性を形容するワードが並ぶ。そうした属性の男性たちが恋愛に翻弄されるさまがポップでコミカル、かつ微笑ましく描かれる。
「いくら仕事ができても、社会的地位が高くても、恋愛だけは思い通りにならない。各編、恋愛のリアルを書こうとしたら自然とこういう落としどころになったという感じです」
たとえば第一話の「ハイスペ」は、しごできイケメンで漢詩が趣味の外資系コンサル・瓜生尊(うりゅう たける)が、合コンで出会った第一印象最悪なOLが SNSに投稿しているマンガに興味を持ち始め、そこからもんどり打って、みるみるうちに話が展開していく。
「読み返してみたら、主人公たちのキャラには、その時どきのマイブームが反映されていますね。いちばん初めに書いたのが『スパダリ』で、夫の駐在でケンブリッジ大学の学生寮に住んでいたころの経験が土台です。夫の学友には世界各国から来ているスーパーエリートがたくさんいて、ステキだったので書いてみたかった。『スカブラ』は、炭鉱労働者の暮らしをまとめた新書を読んで、スカブラと呼ばれる男性に興味を覚えたのがきっかけです」
男性主人公たちはみな、豪傑のようにふるまってはいるが、内面に繊細さや傷つきやすさを抱えている。
「私が男性を見るときに、そういうふうに見がちというか、“俺の中の見せたい俺”と“実際の俺”との乖離みたいなものを感じると楽しいし、こじらせた人を書く方が筆が進みます。理解しがたいほど女性に尽くす優しい男性を書くとリアリティが欠如していると言われたりしますが、私は逆で、むしろフィクションよりも現実の方がああいう優しい男性は『いる』と思っている。リアリティを持って書いています」
個性溢れる男性陣の恋バナを、女友達になった気持ちで読むうちに、ほんわか和んでしまうから不思議。
Profile
新川帆立
しんかわ・ほたて 1991年生まれ。東京大学法学部卒業後、弁護士として勤務。デビュー作『元彼の遺言状』はベストセラーになり、映像化もされた。昨年、『女の国会』で山本周五郎賞受賞。
information
『俺の恋バナを聞いてくれ』
妻に先立たれた中年医師が婚活パーティに出て…「イケオジ」、同棲中のパートナーがいるのに自分と釣り合う女がいないと苛立つ人気マンガ家の「オレサマ」等々、男性語りの6編を収録。小学館 1870円
anan 2495号(2026年5月13日発売)より





















