
Hey! Say! JUMPの山田涼介さんが全国6都市20公演で約20万人を動員する「Ryosuke Yamada LIVE TOUR 2025 RED」を開催中。自身が演出も手掛けた初めてのソロコンサートツアーから5月24日(土)千葉・ららアリーナ 東京ベイで行われた昼公演のステージの模様をレポートします。
アイドルとして、エンターテイナーとして、常に最前線で輝きを放ち続けてきた山田涼介さん。その軌跡を辿ったファーストライブは、“RED”がテーマ。会場のペンライトが真っ赤に染まると、赤い海や赤く染まった月、赤く光る怪しい瞳など、赤色を象徴する神秘的な光景がスクリーンに次々と映し出される。赤は、山田涼介さんがグループとしてデビュー当時から背負ってきたメンバーカラーだ。新たなる挑戦となる、初めてのソロオリジナルアルバム『RED』を引っ提げたツアーは、表題曲の「RED」から幕開け!
真っ赤な照明がミステリアスに灯ると、イントロとともにステージ奥のREDの扉からサングラス姿で威風堂々、登場。火柱が激しく上がる中、「Shhhhh」と決め台詞をささやいてから、「楽しもうぜ!」と叫ぶと会場に集まった1万1000人の大きな悲鳴が上がった。この曲は、メンバーの有岡大貴さんが手掛けたダンスポップチューン。スリリングな展開とエモーショナルなメロディラインが耳に残る楽曲を赤の衣裳を着たダンサーを従え、笑顔を封印して踊る姿は、普段とはガラリと違うアーティスティックな表情だ。
とにかく多彩な表情を持っている。疾走感溢れる「CARNIVAL」では、「アリーナ、今日は楽しんでいこうぜ!」と叫んでから、赤色のステッキを持ってしなやかにパフォーマンス。「クラップ、ユア、ハンズ!」とダンサーと共に手拍子をしながら歌った「INTO YOU」ではサングラスを外したり、ウィンクしたりするたび、キャーという悲鳴にも近い声が巻き起こる。ここまで一気に駆け抜けたところで、山田さんから挨拶が。「皆さま、ツアー『RED』へようこそ、山田涼介です。今日、僕に会うのを楽しみにしていた人!」と呼びかけてから、「今日幸せになりに来た人! お任せあれ。皆さまに会うのを楽しみにしていました。最高のエンターテインメントを用意してきたので、最後まで楽しんでいってください。よろしくお願いします!」と最高のライブへエスコート。

「一緒に歌って、踊って!」という山田さんの声で会場がペンライトを揺らしたのは、過去にツアーで披露していた人気のソロ曲「Oh! my darling」だ。明るく爽快なナンバーで笑顔がこぼれる。もう一曲、ダンサーとセクシーなダンスを披露しながら歌った「パフューム」もおなじみの曲。その甘い歌声にうっとり酔いしれる会場。そして、リフトアップしたセンターステージがゆっくり回転する中、大人な表情で歌ったのは、「Do it again」だ。眼鏡をかけ、白いシャツにネクタイという姿でステージに寝転がるとフワフワと白い羽根が飛び交う。首筋に手を這わせたり、セクシーな腰回しをしたり、色っぽさ全開のパフォーマンス。最後はシャツをはだけさせ、ネクタイで手首を縛る姿に会場の視線がクギ付けに。
一人のアーティストとして成熟したパフォーマンスを繰り広げる姿は、とにかく安定感たっぷり。これまでHey! Say! JUMPとして披露してきた「クランメリア」では、恋の別れの曲を哀愁たっぷりに歌い、そのヒリヒリとした心情にリンクするかのようにスパークラーの火花が噴き上がる。「離さないで」というキメ台詞には切ない余韻を残す。
水分補給をしながら始まったMCでは、「ららアリーナの2日目でございます。ありがたいことにね、追加公演も今日、明日とやらせていただくということで…」と、3日間のららアリーナで5公演開催できる喜びを噛みしめる山田さん。「本当にたくさんの方に山田涼介のライブエンターテイメントを見たいと思ってもらえたということで、嬉しく思いますし、心から感謝してます。ありがとう」と、スマイル。
ここで「隣にあるららぽーと、みんな、行った?」と会場近くにある、ららぽーとTOKYO-BAYの話に。「行った人と行ってない人がいると思いますけど。RED祭りみたいな感じで、山田涼介祭りを盛り上げていただけています。ありがとう、ららぽーと。まだ行ってないよって方、ちょっと行ってみてください。マネージャーさんが、ららぽーとへ下見に行ってくれたみたいで、『こんな感じです』って写真が送られてきて。いかんせん、私のアルバムの『RED』は、赤黒じゃないですか。ららぽーとの橋みたいなところが、赤黒の俺がバーッているもんだから、パッと見、ホラー!?(笑) でも、非常にありがたいし、嬉しく思っております」と報告をしていた。
「そして、追加公演だけじゃなくて、ライブビューイングも…」と6月22日のマリンメッセ福岡A館で行われる最終公演の模様を全国250館の映画館で生中継されることについて新たな発表も。「こちらも最初は何十館かということだったんですけど、たくさんご応募いただいて、250館に。すごいね~。自分で言うのもなんだけど、ありがたいですね。そして、250館だけではなく、こんなところでもやることが決まりました。こちらです。どうぞ!」とスクリーンに映し出されたのは、韓国、香港、台湾でもライブビューイング決定のお知らせ。
「Hey! Say! JUMPではアジアツアーをやらせていただいていたんですけど。(コロナ禍で)なかなかアジアに行くことが難しい状況が続いてたんですけど、アジアの応援してくださってるファンの皆さまにも初のソロツアーライブをご覧いただきたい」と説明すると、会場からは拍手と祝福の歓声が上がる。
「このライブは、前回のHey! Say! JUMPのライブをやりながら構想を練ってたんですよ。僕がその演出を担当してたので、もう訳わかんなくて(笑)。Hey! Say! JUMP のライブ作りながら、今回の自分のソロライブを作るっていうことで、ツアーの休憩の時にスタッフさんと『こんなんがいい』『あんなんがいい』って話して。それで本番ジャンプのライブが終わってからも話して……みたいな感じで、一生懸命に準備してきたエンターテインメントなので、たくさんの方にご覧いただけるというのは、本当に嬉しいです。最終日、ちゃんとみんなでゴールテープを切りたいと思ってます」と完走を誓う。大変だった準備を乗り越え、たくさんの人に初めてのソロツアーを届けられる喜びを語っていた。
印象的だったのは、会場のファンを見渡し、丁寧なコミュニケーションをとる場面がたくさんあったこと。「客席を見たら、男性のお客様がたくさんいらっしゃっていて。すっごいニコニコの笑顔で、指ハートしてくれて、めっちゃ可愛らしかったです。ありがとう。今回のソロツアー、男性のお客様もいらっしゃってくださって、どれぐらい来てるか声を聞かせてもらっていいですか?」と、呼びかけると、フライングで一人の男性の「涼介~!」という大きな声が会場に響き渡る。「ちょちょちょ、待て、待て! 古くからの親友?(笑)」とイジってから、「メンズ、声出して!」と仕切り直し、男性陣の声の多さに「すごくない?」と嬉しそうな笑顔を浮かべる姿も。
「カップルだったり、ご夫婦だったり、ご家族でいらっしゃってる方もいるけど、男性同士のお友達同士で来てくださってるお客様もいっぱいいらっしゃるということで、すごく嬉しいです。ただ負けてられないよな? 女の子!」と、次は女性ファンのコール&レスポンスをしようとするも、またもやフライングで叫んでしまう女子たちに「ちゃう、ちゃう、ちゃう。あのさ、各々声を出すのやめてもらっていい?(笑) 俺が聞くから、ちゃんとね」と、ファンに愛おしそうに突っ込む山田さん。そして、「負けてられないよ。女の子、声出して!」と振ると今度は、会場全体に女性のパワフルな声が。「いいですね。結構この子たちもね、いっぱいいるんですよ。ちっちゃい子、いくよ」の合図で小さな子の可愛らしい声があちこちから上がり、会場がほっこりした空気に包まれっぱなしだ。
「(ちびっこの声に)めちゃめちゃ可愛いね。本当に幅広いお客様に愛していただいてるなと。本当にありがとうございます! 自分が作ってるじゃないですか、このライブ。だから、どんなふうに見ていただけるのかなとか、どんな気持ちになるのかなって。みんなが喜ぶ顔を浮かべながら、これだったらどうかなって」と、ファンが喜ぶ姿を想像して、大切に作ったライブであることを明かしていた。パフォーマンスの見せ方をパーフェクトに分かっている山田さんだが、しっかり見え方をイメージしてステージに立つエンターテイナー精神は、さすがの一言だ。

後半はHey! Say! JUMPメドレーコーナーで、Rトロッコに乗って、アリーナを隅々まで駆け回り、ファンのすぐ目の前へ。スタンドの目の前もグルリと一周し、ひとりもおいてけぼりにしたくないという想いが伝わってくる。山田さんが出演してきたドラマの主題歌を中心としたメドレーになっており、スクリーンには視聴者を夢中にしてきたドラマの映像が流れる。セットリストは、2008年の『スクラップ・ティーチャー~教師再生~』のエンディング曲だった「真夜中のシャドーボーイ」や『王様に捧ぐ薬指』の「DEAR MY LOVER」などいろいろな曲がズラリ勢ぞろい。役者としての活躍を振り返りつつ、まるで山田涼介ヒストリーを見ているような感覚に。多数の話題作で様々なキャラクターを演じきたその振り幅に改めて山田涼介の表現力のすごさを再確認した瞬間でもあった。
ラストスパートでは、メインステージから突如、上空に現れた直径2300mmの赤く光る台迫力の球体が出現。ミラーボールのように輝く球体の中から山田さんが現れるというサプライズな演出に度肝を抜かれる会場。その球体に乗って、センターステージまでゆっくり空中移動してステージに降り立つ姿は、神々しいオーラ満点。さらには2013年にリリースして以来、ファンからの人気が高い「ミステリー ヴァージン」では、無数の自分の影と一緒にダンスするというミステリアスな演出も。2013年に行われたツアーの演出をリメイクし、懐かしの過去映像との共演もあり、エモーショナルな空気に包まれた。
アンコールでは、「このREDツアー、もう早いですが、折り返しました。最後までREDスタッフ、REDダンサー、このチームで怪我なく無事に走り続けたいと思うので、最後までついてきてください。また会える日を楽しみにしています。本日は本当にどうもありがとうございました」と深く一礼するジェントルぶり。
熱く燃えたぎる情熱の赤や薔薇のような美しく妖艶な赤など、様々なREDを曲で体現した約2時間。長年、ストイックに赤を背負って立ってきた誇りを胸に作り上げた渾身のステージは、“山田涼介”のスター性、圧倒的な存在感を改めて証明したものに。唯一無二のまばゆさを放ちながら、さらなる進化を遂げ、これから先、一体どんな世界に誘ってくれるのか、楽しみになるファーストソロライブだった。