ミュージカル『昭和元禄落語心中』で挑む「和と洋の融合」。山崎育三郎×明日海りお×古川雄大

エンタメ
2025.02.21

左から、古川雄大さん、山崎育三郎さん、明日海りおさん(雑誌『anan』2435号本誌より)。

落語に魅了され、翻弄される人々を描く「日本発のオリジナルミュージカル」。大ヒット漫画『昭和元禄落語心中』のミュージカル化に挑む山崎育三郎さん、明日海りおさん、古川雄大さんの3人が語る、作品についての想いとは。雑誌『anan』未収録の対談を、本誌のアザーカットやこぼれ話とともにお届けします。

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    落語の世界に身を置き、芸という自らの努力だけではままならないものに翻弄されながら、自らの生きる道を模索していく人々を描いた雲田はるこさんの大ヒット漫画『昭和元禄落語心中』。2014年にテレビアニメ化、2018年にはテレビドラマ化もされた人気作がこのたびミュージカル化される。

    主演を務めるのは、同じ事務所に所属し、ミュージカル界で活躍する確かな実力を持った山崎育三郎さん、明日海りおさん、古川雄大さんの3人。

    本誌では、作品の魅力やご自身の役柄などについて伺っていますが、ananwebでは本誌とは違う3人のソロカットと、作品についてやそれぞれの“今、熱いもの”について伺いました。

    音楽がつくりあげる作品の世界観

    ── 今回の作品は、題材は“落語”ですがミュージカルということで、そのふたつをどう繋げて表現するのか興味があります。

    山崎育三郎さん(以下、山崎) 落語の持つ色気って、歌に近い気がするんです。ミュージカルにおいて上手いというのは、歌が上手いというだけじゃなく、セリフをしゃべるところから音楽が流れて歌に移行する瞬間も、細い糸が繋がっているように途切れることなく繋がっている人だと思っているんです。僕は落語もそれに近いと感じるんですよね。喋りながらも起伏があって、ときに緊張感もあるけれど、それらが波のように繋がって聴こえてくる。今回、楽曲を手掛けてくださる小澤(時史)さんが、そこをとても自然に作ってくださっているんですよね。

    古川雄大さん(以下、古川) それはすごく感じます。僕は楽曲を最初に聴いたとき、ミュージカルということもありもっと洋の方向になるのかもとも思っていたのですが、和の世界観を彩る素敵な楽曲だなと思いました。

    「落語の持つ色気って歌に近い気がするんです」(山崎)

    有楽亭助六を演じる山崎育三郎さん

    山崎 でもやはりそっちが作品の世界観に合ってるよね。小澤さんはもともとミュージカルの作曲をされてきた方なので、お芝居をメロディにのせていくことに長けていらっしゃるんです。3人の結構大事なやり取りのところが音楽で表現されていて、ここを音楽にするんだって驚きましたし、すごくドラマティックなんですよね。それぞれのキャラクターに合わせたメロディをつけてくださっていて、助六に関しては結構軽快だったりもして。自然に役のキャラクターの違いも感じていただけるんじゃないかと思います。

    古川 楽曲でドラマを作ってくださっているのを感じます。

    明日海りおさん(以下、明日海) 自分以外の場面をみなさんがどう歌われるのか、本番が楽しみで仕方ないです。私のソロ曲は、わりと艶っぽい感じなんですが、その中におしゃれさも入っています。石川さゆりさんみたいに歌ってほしい、と言われていますので、頑張らないとって思っています。

    「舞台美術や転換、衣裳など、舞台にしかない世界が広がっています」(明日海)

    みよ吉を演じる明日海りおさん

    7年越しの想いが実現

    ── あらためて、今回の舞台の見どころを教えてください。

    古川 何より原作が魅力的なので楽しんでいただけると思います。リピートしても楽しめる音楽があり、和物の題材とミュージカルという洋のものが融合して、一体どんなものになるのか、楽しみにしていただきたいです。

    明日海 育様と古川さんが一緒の舞台に立たれるというだけでも高揚感があります。また、『昭和元禄落語心中』はアニメやドラマにもなっていますけれど、舞台美術や舞台転換、衣裳だったりが加わって舞台にしかない世界が広がっていて、さらにそこに楽曲の魅力が加わって、絶対に楽しいものになっているはずです。個人的にはおふたりやカンパニーのみなさんからたくさんのことを学びつつ、みよ吉という役に自信を持って臨めたらと思っています。

    「ミュージカルではありますが、意外と“和”の世界観です」(古川)

    有楽亭菊比古(のちに八代目 有楽亭八雲)を演じる古川雄大さん

    山崎 7年前、この作品をミュージカルにしたら面白いんじゃないかと思ってから、実現するまでに随分時間がかかりました。日本発のオリジナルミュージカルを作りたいという想いで動き出して、多くの人の協力で実現に漕ぎつけられたことが、まずありがたいなと思っています。そしてその作品を、東京、大阪、福岡の大きな劇場で結構な公演数をやらせていただくわけで、大きなチャレンジですし、怖さもあります。

    でも、きっとこれまでにない新しいミュージカルになると思いますし、日本のオリジナルミュージカルの代表作となるよう、チーム全員で全力で向かっていますので、楽しみにしていただければと思います。

    練習してちょっとずつ上達していくのが楽しい

    ── 作品とは少し離れますが、今、みなさんが“熱いもの”もお聞きしたいのですが。

    古川 ゴルフです。始めたのは1年半ほど前ですが、打ちっぱなしにしか行ったことがなかったんです。でもいっくん(山崎さんの愛称)のラジオにお邪魔させていただいたときに、「一緒に行こうよ」と言ってくださって、1年ほど前に初めてホールを周りました。でもそこからなかなか行く機会がなかったのですが、最近また行き始めています。

    山崎 僕もゴルフです。

    古川 でも僕とは全然レベルが違います。

    山崎 (笑)。そんなことないよ。高校生のときに始めたから、行き始めてからは長いけど、一緒にやる人があまりいなくて。昔は父親と行くくらいだったから。

    古川 初めてのときにいきなりコース回ったんでしたっけ?

    山崎 アメリカの高校に通っていたときに親友になった双子ちゃんがプロゴルファーを目指していて、毎日学校が終わると一緒にゴルフ場に行っていて。最初は僕はカートを運転していたんですけれど、途中から一緒にやるようになってハマっていったんです。田舎だったので、4ドルもあれば18ホール回れたんです。だから学校帰りに、ボーリング行くか、野球するか、ゲームセンター行くかっていう選択肢の中にゴルフも普通にあったんです。日本に帰ってきてからは、たまに思い出してやっては休んでを繰り返していたけれど、今またゴルフが楽しくなっているところで。

    古川 練習してちょっとずつ上達していく感じが楽しいんですよね。それで今は上手くなりたいっていう思いが強いので。

    山崎 あと大自然の中を歩けるっていうのが気持ちいいんですよね。

    明日海 ひとりで行かれるんですか?

    山崎 4人で回るんだけど、仲のいい4人だけの時間を大自然の中で、誰の目も気にしなくていいので、開放感があって最高です。明日海さんもやりましょうよ。

    明日海 (笑)。わたしは…少し前なんですけれど、自動車学校に通っていた時期がありまして、やっぱりそれも、何もできないところから徐々に上達していくのが楽しくて、熱かったですね。少し上達したかなと思ったところで、ちょっと怖い教官にあたって自信を失くしたりもして、いろんなことを学びました。人生詰まってるかも、と思いました。

    山崎 で、免許は取れたんですか?

    明日海 取れたには取れたんです。それで、ドライブに行きたいなとは思っていますが、今は車を持っていなくて乗れずにいます。

    3人の共通点…|取材こぼれ話

    掲載号の特集テーマに絡め“舞台で放つ役者の色気”について伺う中、「仕草に余韻がある人に色気を感じます」という山崎さんの発言から、その代表的な存在としてミュージカル『エリザベート』に登場するトートが話題に。じつはこの3人、所属事務所が同じというだけでなく、トート役経験者という共通点も。

    PROFILE プロフィール

    やまざき・いくさぶろう 1986年1月18日生まれ、東京都出身。『モーツァルト!』『エリザベート』など数々のグランドミュージカルで主演を務めるほか、数々の映像作品でも活躍。近作に主演ドラマ『ハイエナ』など。現在、『おしゃれクリップ』(NTV系)にMCとしてレギュラー出演中。

    あすみ・りお 1985年6月26日生まれ、静岡県出身。元宝塚歌劇団花組トップスター。2019年の退団後は、舞台のみならず数々の映像作品でも活躍。主な出演作に、ドラマ『グレイトギフト』、ミュージカル『9 to 5』など。8月には主演ミュージカル『コレット』も控える。

    ふるかわ・ゆうた 1987年7月9日生まれ、長野県出身。『エリザベート』や『モーツァルト!』など数々のグランドミュージカルで主演を務めるほか、近年は、主演ドラマ『コトコト〜おいしい心と出会う旅〜 富山編・新潟編』、大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』など映像作品でも活躍。

    INFORMATION インフォメーション

    ミュージカル『昭和元禄落語心中』

    観客を惹きつける圧倒的華と落語の才能を持った助六役に山崎育三郎さん。実家を出される形で望まぬ落語界に入り、同門で天才肌の助六に嫉妬心を抱く菊比古(のちに八雲)役に古川雄大さん。そして、そんなふたりと深い関係を築く芸者のみよ吉役には明日海りおさんが扮する。脚本・演出には、『エリザベート』や『モーツァルト!』など、数々の大ヒットミュージカルを手掛けてきた小池修一郎さん、楽曲は、ニューヨーク・オフブロードウェイで上演されミュージカル『Count Down My Life』の作曲なども手がけた小澤時史さんが手がける。

    【東京公演】2月28日(金)~3月22日(土)東急シアターオーブ 平日・S席16,500円、A席10,000円、B席5,500円、土日、千秋楽・17,500円、A席11,000円、B席6,500円
    【大阪公演】3月29日(土)~4月7日(月)フェスティバルホール 平日・S席16,500円、A席10,000円、B席5,500円、土日、千秋楽・17,500円、A席11,000円、B席6,500円
    【福岡公演】4月14日(月)~4月23日(水)福岡・福岡市民ホール・大ホール 平日・S席16,500円、A席10,000円、B席5,500円、土日、千秋楽・17,500円、A席11,000円、B席6,500円

    原作・雲田はるこ「昭和元禄落語心中」(講談社「BE・LOVE」) 脚本、演出・小池修一郎 企画・山崎育三郎 作曲、音楽監督・小澤時史 出演・山崎育三郎、明日海りお、古川雄大、黒羽麻璃央、水谷果穂、金井勇太、中村梅雀ほか 問・梅田芸術劇場☎︎0570-077-039(10:00~10:00)

    詳しくはこちら

    写真・酒井貴生 スタイリスト・山本隆司(山崎さん)、大沼こずえ(eleven./明日海さん)、根岸豪(THE Six/古川さん) ヘア&メイク・内田香織(山崎さん)、山下景子(明日海さん)、平山直樹(古川さん) 構成、取材、文・望月リサ

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