共通点は「可愛いものが好き」 新入社員と先輩が歩み寄る“推し活コメディ”

エンタメ
2025.02.23

ハッピーゼリーポンチ『君にかわいいと叫びたい』

コミュニケーションに苦手意識のある先輩・桐山さんの部署に、新入社員として入ってきた南さん。桐山さんは大好きなドール〈てぃあらちゃん〉に瓜二つの南さんに近づきたいけれど、社内でも怖がられている自分では…とためらう。反対に、南さんは桐山さんをよき先輩として慕ってくる。価値観のズレを感じながらも「可愛いものが好き」という共通点をきっかけに二人が歩み寄っていくさまが麗しいコミック『君にかわいいと叫びたい』。その著者がハッピーゼリーポンチさんだ。

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女性同士の好きと友情がドッキング。幸せに充ち満ちた推し活コメディ。

「昔から、太陽と月を思わせるような、対照的な二人組の関係性が好きでした。桐山さんのオタク気質で内向的な部分は、私自身がモデルになっています。一方で、南さんは『可愛くて元気で強い、そんな子と友達になれたらステキだな』という私の理想を反映させています」

桐山さんと南さんに共通するのが、何か、もしくは誰かを「可愛い!!!」と感じたときのエネルギーの爆発力がすさまじいところ。

「最初のころの桐山さんのように、好きなものの話をオープンにすることが怖かったりする人もいると思うのですが、好きなものを好きとはっきり伝え、それを受け入れてもらえるのはとても幸せなこと。お互いの“好き”が向かい合うことで、その幸せが何倍にも膨らみ、毎日がより輝くのではないか。そんな思いを込めて、桐山さんと南さんの物語を描いています。私自身、何かに夢中になっているときは創作へのエネルギーがあふれ、執筆に対するモチベーションも自然と湧きますね」

二人の関係性をひそかに羨む桐山さんの後輩・桜小路さんが、いいアクセントになっている。

「〈万人に好かれる力〉を持つ桜小路さんは、典型的な自信家の美女キャラにする予定だったのですが、実際に描いてみると、どこか抜けた雰囲気が出てしまい、結果として桐山さんと南さんに振り回されるツッコミ役として落ち着きましたね」

本書の面白さを後押ししているのは、うれしい顔も困った顔もすべて描き分けられている、登場人物たちの表情の豊かさだ。

「私は画力に自信がなくて、せめて表情だけでも感情がしっかり伝わるようにと、特に力を入れて描いています。キャラクターの顔を描いているときは、私も無意識に同じ表情になってしまうため、傍から見ると、少し奇妙な作業風景になっているかもしれません(笑)」

PROFILE プロフィール

ハッピーゼリーポンチ

マンガ家。SNSや同人誌での活動を経て2023 年に『ワタシってサバサバしてるから』のドラマ化に伴い、公式スピンオフ作品を電子書籍化、現在に至る。

INFORMATION インフォメーション

ハッピーゼリーポンチ『君にかわいいと叫びたい』

二人でデパコスを見に行き、南さんが胸キュンな提案をする第5話、とんかつ愛が桐山さん、南さん、桜小路さんを結ぶ単行本描きおろしは白眉。KADOKAWA 1265円 Ⓒハッピーゼリーポンチ/KADOKAWA

写真・中島慶子 インタビュー、文・三浦天紗子

anan 2435号(2025年2月19日発売)より

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