戸塚純貴「ポップな作りだけれど、意外と深いミュージカルです」
「ポップな作りのミュージカルではあるんですが、意外と深いところまで連れていってくれる物語なんです。笑いだけじゃない、自分の人生観だったりを考えさせられたりもしますし。原作となっている映画(’93年公開『恋はデジャ・ブ』)では僕の役はあまり登場しませんが、今回のミュージカルでは彼が死に対する価値観を歌い上げたり、結構大事な部分を担っているんです」
戸塚さんがミュージカル? と思った人も多いかもしれない。演出の福田雄一さんからオファーを受けたとき、ご本人も驚いたそう。
「カラオケレベルで歌うことは好きだけど、歌えるなんてひと言も言ってないんですけどね(苦笑)。ただ、福田さんの現場は久々で、それが自分の初ミュージカルって、なにかあるのかなと思っています。『ミュージカルが絶対に好きになる。俺がそこまでちゃんと連れていくから』とはっきり言われましたんで、ここは挑戦しないとな、と」
稽古に先んじて、ボイストレーニングや歌のレッスンを始めたそう。
「観客としてミュージカルを観に行くこともあったんですが、自分がやることが決まってから、キャストの方々のスキルの高さにあらためて驚かされたり、自分に置き換えて観ちゃったり、純粋に舞台を楽しんで観られなくなっています。歌の先生によれば、普段のしゃべり方で出せるキーが変わってくるそうで。音域を広げるために、今は普段のしゃべり方も意識しています」
俳優になる前から芸人さんに憧れていたというお笑い好き。それだけに、コメディ作品を数々手がける福田作品は大好きな現場のひとつだ。
「自分が面白いと思うことをすごく突き詰める方なんです。そのためなら従来の形を壊していくことも恐れない。笑いのためにはどんな代償も厭わないというかっこよさがあります。パロディも好きで、結構ギリギリのラインを攻めていくので、こっちがヒヤヒヤすることもあるくらい(笑)。久々にご一緒するので、福田さんの笑いがどんなふうに進化しているのか楽しみです」
戸塚さんといえば、今年大きな話題を呼んだ連続テレビ小説『虎に翼』で、主人公・寅子の法学部の同級生・轟太一役が記憶に新しい。立場の弱い者、理不尽な目に遭った者のために闘う轟は、終盤まで物語を引っ張る重要な役割を担っていた。
「役名で呼ばれるようになるとか聞きますけど、自分の周りではとくに変化はないです。変装せずにスーパーに声をかけられにも行ったんですけれど…。世間でドラマが盛り上がっていると聞いていたけど、嘘なんじゃないかと思うくらい。東京だから、みんな僕に気を遣っているんだと思うようにしています(笑)」
笑いを交えてそんなふうに話してくれたけれど、「普段見ないSNSをちょっと開いたら、すごい高い熱量で感想を書いてくださっている方がたくさんいて、こんな多くの人に影響を与えられているんだと思ったら、嬉しかったです」とも。
「学生時代から晩年まで、人の人生を演じる楽しさを強く感じた作品でした。年々、関わる作品が増えていくにしたがって、演じることの面白みが増している気がしています」
PROFILE プロフィール
戸塚純貴
とづか・じゅんき 1992年7月22日生まれ、岩手県出身。これまで携わった福田作品にドラマ『今日から俺は!!』や『親バカ青春白書』などがある。公開中の映画『まる』に出演しているほか、12月には映画『【推しの子】』の公開も控える。
INFORMATION インフォメーション
ミュージカル『グラウンドホッグ・デー』
テレビで人気の天気予報士・フィル(桐山)は、番組の中継のために田舎町を訪れるが、帰り際に吹雪に見舞われ泊まることに。翌日目が覚めると、同じ一日が始まっていて…。11月11日(月)~22日(金) 東京国際フォーラム ホールC 脚本/ダニー・ルービン 音楽・歌詞/ティム・ミンチン 演出/福田雄一 翻訳・訳詞/福田響志 出演/桐山照史、咲妃みゆ、戸塚純貴、豊原江理佳、川久保拓司ほか 全席指定S席1万5500円 A席1万円 東宝テレザーブ TEL:03・3201・7777 大阪・愛知公演あり。