昨今、フェミニズムがどーたら、とか、男社会は欠陥ありとか、何十年も解決を先延ばしにしていた身近な問題が明るみに出てますよね。まるで膿をしぼり出すかのごとく。もっとやれやれ! と思ってるんですよ、ほんと。だって、おかしな話じゃありませんか。男性は許されるけど、女性は声を上げることすら邪魔されるなんて。全力で意味不明。それが常識とされていた’90年代、こんな自由に生きる女性を描いた映画があったんか! と驚いていただける傑作『テルマ&ルイーズ』が、美しい映像の4Kレストアされて上映されるんですよ。ナイスタイミング!

シスターフッド映画の祖!

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親友同士の主婦テルマとシングルのウェイトレス、ルイーズは、週末のドライブ旅行に。ところが、立ち寄った店の駐車場で、テルマが男から乱暴を受け、それを見たルイーズはとっさに護身用のピストルでパ~ン! 気晴らしの旅行のはずが、指名手配の逃避行になってしまいます。ふたりの旅は、迫りくる警察の追跡をまくことができるのか!? ってなロードムービー。人目をはばかる逃避行なのに、ヒッチハイクの青年を連れ込んじゃったり、タンクローリーのドライバーにセクハラされたら、その報復でタンクを撃って大爆破させたり。タガが外れたふたりの行動は超はちゃめちゃ。なのに、なんなのよ、この心の解放感……っていう、最高に爽快な作品。今でいうところのシスターフッド映画でもあり、相思相愛の愛情にも似た女性バディ映画でもあり。時代を先取りしすぎていた映画としても名高い傑作です。

この映画を知らない人がこの4K版を観たら、おそらく「今の映画でしょ」と思ってしまうんじゃないかしら(携帯電話がないとかの古くささはあるんだけど)。なんせテーマも物語も、今起きておかしくないことばかり。ってことは、30年以上この問題は棚上げされっぱなしだったってことなんですよ。それゆえに、2016年にはアメリカ国立フィルム登録簿にリストインし、同年のカンヌ国際映画祭ではジェンダーの平等と女性の地位向上に貢献した作品に贈られるウーマン・イン・モーション賞を獲得。そして、このほど監督のリドリー・スコット自身が監修した4K版が実現したってわけです。もーね、これを観ずしてシスターフッド映画は語れない、ってくらいの金字塔。

実はルイーズは性被害の経験があって、女性に乱暴する男は許せない。だから男性の横暴に対してはめちゃ厳しいのね。でも、テルマは夫(おまけにDV気味)に頼りきりの専業主婦。男性優位に設計されている社会に対してちょっと甘い考え。この対比も実にいいのよ~。現代にも残るこのテーマにおける意見の対立そのまんま。だからこそ説得力があるのよね。ちなみにテルマが誘い込むヒッチハイカー青年は若き日のブラピ。4Kになったらオリジナルよりもグッと美しく、「そら誘うわ…」と思うほどでございます(が、絶対ダメ)。イケメンが大条件のこの役、ジョージ・クルーニーもオーディションを受けて落選しているといういわくつき。説教くさく紹介したけど、そういうのを抜きにして、彫刻のように美しいブラピに翻弄される『テルマ&ルイーズ』を美麗映像&大スクリーンで観る、というだけでも価値アリアリですよ!

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『テルマ&ルイーズ 4K』 監督/リドリー・スコット 出演/スーザン・サランドン、ジーナ・デイヴィス、ハーヴェイ・カイテル、ブラッド・ピットほか 2月16日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー。©1991 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.

※『anan』2024年2月21日号より。文・よしひろまさみち

(by anan編集部)

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