それでも大会後、石川祐希主将は「ネーションズリーグが今季の僕たちの一番の目標ではない。まだ先がある」と気を引き締めた。今年最大のミッションは、五輪予選でパリ五輪の切符を獲得することだから。
五輪予選は世界3か所で行われ、日本ラウンドには世界ランキング2位のアメリカや欧州の強豪スロベニア、セルビアなど8か国が集まり、出場権を与えられるのは上位2か国のみ。ランキング5位の日本といえど厳しい戦いになる。今回出場権を得られなかった場合も来年6月の世界ランキングにより出場できる可能性はあるが、パリでのメダル獲得を狙う日本は、今年出場権を獲得し、万全の準備を整え五輪に臨みたい。
今の日本代表はタレント揃いで史上最強の呼び声も高い。中心は主将でエースの石川。ネーションズリーグでは全選手中トップの275得点を挙げ、特にファイナルラウンドでの勝負強さとキャプテンシーが光った。その対角に入る22歳、髙橋藍も成長著しい。得意の守備に加え、攻撃力も向上し、ネーションズリーグでは石川に次ぐ得点源に。
オポジットの西田有志は不調に苦しんだが、8月のアジア選手権で復活。五輪予選では本来の爆発力を発揮してくれるはず。もう一人のオポジット・宮浦健人も海外リーグを経験してスケールアップし、頼れる存在になった。かつてない高さを備えるミドルブロッカー陣の得点力も年々アップ。その攻撃陣を操るセッターの関田誠大や、守備の要・山本智大は世界トップレベルの実力者だ。
結果を求められる五輪予選だが、「日本のバレーはすごくディフェンスが良くて、ボールがつながるというところが魅力だと思いますし、攻守どちらも精度が高く、迫力あるスパイクも打てる。見てもらう方々にすごく楽しんでもらえると思います」と髙橋は言う。強く、面白いバレーで、五輪切符を獲りにいく。
日本を世界レベルに引き上げた絶対的エース&イタリア経験を糧に急成長。日本に欠かせない22歳
写真左・石川祐希選手(パワーバレー・ミラノ)
大学在学中から世界最高峰のイタリア・セリエAでキャリアを重ね、世界トップレベルのアウトサイドヒッターに成長。抜群のキャプテンシーで日本を牽引する主将。
写真右・髙橋 藍選手(日本体育大学)
持ち前の守備力を武器に19歳で東京五輪に出場。その後イタリア・セリエAでプレーし攻撃力、経験値を磨き存在感を増した、成長著しい若きエース。
多彩な攻撃陣の力を最大限に引き出す絶対的司令塔
関田誠大選手(ジェイテクトSTINGS)
相手を鋭く観察しながらクイックを大胆に使う巧みなトスワークは秀逸。正確なトスでスパイカーを生かし、勝利に導く司令塔。
鉄壁の守備で支える日本の守護神
山本智大選手(パナソニックパンサーズ)
海外勢の強烈なスパイクもことごとく拾い、ネーションズリーグではベストディガーに輝いたリベロ。愛嬌あふれる表情にも注目。
FIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー 2023 男子大会
日程:9月30日(土)~10月8日(日)
会場:国立代々木競技場 第一体育館
参加チーム:日本、アメリカ、スロベニア、セルビア、トルコ、チュニジア、エジプト、フィンランド
フジテレビで日本戦全7試合を地上波独占生中継
※『anan』2023年10月4日号より。写真・Getty Images 取材、文・米虫紀子
(by anan編集部)