意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。 今回のテーマは「マイナトラブル」です。

いったん立ち止まり、根本的に見直す勇気を持って。

shakai1

マイナンバーカードにまつわるトラブルが相次いで起きました。給付金などを受け取る公金受取口座に別人のものが登録されていた。住民票の写しを請求したら別人の証明書が発行された。マイナ保険証で他人の保険記録が見られるようになっていたなど、これらは登録時に人の手で行っているために起きたミスで、デジタル以前の問題です。発注の仕組みやオペレーション、誰がどこまで責任を負うのかというガバナンスのあり方が、日本のデジタル化を阻んでいるということを実感します。

僕自身、自分の納税者番号と他人の銀行口座が紐付けられていたというトラブルに遭いました。確定申告の還付金がいつまでも入らず、税務署に問い合わせて問題が発覚。申告しなければ、登録ミスにも気づかれないというのも大きな問題です。2007年に起きた「消えた年金」問題のころから、同様の問題が繰り返し起きています。

年金に関しては、その後「日本年金機構」を作り、管理を徹底しました。各役所も実際問題、現状の窓口業務だけで手一杯です。民間から人材を導入するなど抜本的な対処をしなければ、改善は難しいのではないかと思います。

マイナンバーカードのシステムを使い、デジタルを活用し、さまざまな作業コストを下げ効率よく行うことには大賛成です。しかし、それを実現するには現場が追いついていないということを直視すべきでしょう。

マイナンバー制度では、税金、保険証、免許証など幅広い国民情報を紐付けようとしています。諸外国での国民IDの紐付けに関する野村総研の調査によると、IDの利用範囲が広いのはアメリカやシンガポール、デンマークなど。しかし、以前アメリカでは詐欺により年間5兆円ほどの国民資産が奪われ、シンガポールでは2018年に150万人分の医療情報が盗まれました。一方フランスやドイツ、カナダはリスクを考え、IDの利用は限定的にしています。日本はサイバー攻撃の標的にもなっているので、安全保障の意味からもマイナンバーの運用には慎重になるべきです。システムを強固にするために1年かけて再点検するというような英断も必要ではないでしょうか。

hori2

ほり・じゅん ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX月~金曜7:00~8:30)が放送中。

※『anan』2023年7月26日号より。写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

Share

  • twitter
  • threads
  • facebook
  • line

Today's Koyomi

今日の暦
2026.3.
23
MON
  • 六曜

    ⾚⼝

⾝近なルールや決断を⼤切にする、少し背筋が伸びるような時です。今後の流れを決めるほどの⼤切な場⾯ですが、重圧にひるまず、凛とした態度で向き合いましょう。⼀⼈で抱え込まず、周りの知恵と⼒を借りる度量を持ってください。どっしりと構えた⼼の余裕が難しい局⾯を乗り越えさせ、望ましい成果へとあなたを導きます。

ライフスタイル

Recommend

こちらの記事もおすすめ

Today's Update
カメラ機能、大画面化、AI搭載がキーワード。最新スマホ事情を調査!
カメラ機能、大画面化、AI搭載がキーワード。最新スマホ事情を調査!
Lifestyle
Today's Update
もっとうまく使いたい、仲良くなりたい! そんな人のための、生成AI使い方のコツ
もっとうまく使いたい、仲良くなりたい! そんな人のための、生成AI使い方のコツ
Lifestyle
Today's Update
GeminiやChatGPT、どう使ってる? 生成AIともっと仲良くなる方法
GeminiやChatGPT、どう使ってる? 生成AIともっと仲良くなる方法
Lifestyle
眠りも健康も議事録もサポート!? ワイヤレスイヤホンの最先端
眠りも健康も議事録もサポート!? ワイヤレスイヤホンの最先端
Lifestyle

Movie

ムービー

Regulars

連載