磯村勇斗「裸で立っていても違和感がなくなりました」 “問題作”で映画初主演

エンタメ
2022.07.08
孤島に生活しながら、俗世の汚れを浄化し、“安住の地”へ出発するための修行を行っている、2人の男と1人の女。純粋な信仰心を貫いていたはずの3人は、ある日を境に次第に欲望を抑えきれなくなり、性への解放に目覚め、暴走していく…。映画『ビリーバーズ』の原作は、山本直樹氏の同名漫画で、1999年に週刊漫画雑誌に連載された当時から“問題作”といわれてきた。実写化したのは、学生時代より山本作品のファンであるという城定秀夫監督だ。主演を務めたのは、磯村勇斗さん。意外にも映画初主演だという。
isomura

「原作を読んだ時に、これをどう実写映画化するんだろう…とは思いましたが、それ以上に好奇心が上回りました。俳優をやっていて、人間の本能がこんなにもむき出しになっていく役柄に出合う機会は、そうそうないんです。本能の中でもエロスの要素が強い作品ですが、僕が演じた“オペレーター”と“副議長”(北村優衣)、“議長”(宇野祥平)の3人の純粋な信仰心とエロスとのバランスや、せめぎ合いみたいなところにすごく惹かれて、この世界を生きてみるのも面白そうだな、という直感がありました」

体を絞り、髭を蓄えて挑んだ磯村さん。クランクイン前日は嵐の中、撮影地に置かれた何もないコンテナに泊まり込んだという。

「作品によって、役作りのアプローチは毎回違いますが、いろいろ試しながら、必要であれば自分に刺激を与えたりもします。今回、3人で事前に本読みをしたのは1度だけでしたが、撮影初日から役にすんなりと入っていたので、それぞれがしっかり作り込んできたんだと思います。テーマ性が強いだけに、この3人の俳優が好相性だったというのもよかったのではないでしょうか。そのうち現場での生活にも慣れ、虫や日焼けが気にならなくなったし、裸で立っていても違和感がなくなりました。争いが絶えず、未知のウイルスが蔓延しているような“常識”の世界が実は“異常”で、純粋な僕たちが正しい、と思える気持ちもわかるようにもなって。そういうふうに、生きる世界によって考え方が真逆になるというのも面白かったし、3人の心情がどんどん壊れていきながら、欲望の解放に向かっているところが、この作品の面白さだと思いました。問題作とはいわれていますが、全然問題じゃないと思います(笑)。構えずに、ラフに観ていただきたいです」

今年公開の出演映画は7本にも及ぶ売れっ子は、「何でもやること」が俳優としての信念だと話す。

「僕たち俳優がしっかり役に向き合って演じることで、社会に届けられるものがきっとあるだろうと思っています。観てくださる人がいるから、僕はお芝居ができる。その意味や役割を大事にしながら、刺激を受ける作品に挑戦し続け、みなさんを驚かせ続けたい。内に秘めたものを、ポンと発散させるのが好きなので、振り切ることにも昔から壁みたいなものはないんです。だから今作のオペレーター役も、もう一人の僕が上から俯瞰で見ていて…って、この作品でこれを言うと、ヤバさが増してしまいますが(笑)。でも、エンターテインメントを届ける立場として、観てくださる人のためというのはもちろん、日々闘志を燃やしている作り手の人たちのためにも、頑張りたいと思うんです」

いそむら・はやと 1992年9月11日生まれ、静岡県出身。『前科者』『ホリック xxxHOLiC』ほか出演作多数。出演映画『PLAN 75』が現在公開中。『異動辞令は音楽隊!』は8月26日、『さかなのこ』は9月1日公開予定。

シャツ¥24,000(kenichi/サカスPR TEL:03・6447・2762) ニットベスト¥39,600(DISCOVERED TEL:03・3463・3082) ブレスレット¥53,900(All Blues/エドストローム オフィス TEL:03・6427・5901) その他はスタイリスト私物

映画『ビリーバーズ』 “ニコニコ人生センター”という宗教的な団体に所属する3人は、“孤島のプログラム”を遂行するために、無人島で共同生活を送っていた。純粋な信仰心のもと、飢えに耐え、煩悩を抑え込む限界ギリギリの日々を過ごすうち、3人の間に、愛と欲と猜疑心が交錯し始める…。7月8日(金)より全国公開。

※『anan』2022年7月13日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・齋藤良介 ヘア&メイク・佐藤友勝 取材、文・若山あや

(by anan編集部)

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