『オッドタクシー』白川役・飯田里穂「私はやっぱりドブさんが一番好き」

エンタメ
2022.04.01
昨年、地上波で放映され話題を呼んだTVアニメ『オッドタクシー』。愛くるしい動物たちには裏の顔があり、複雑な人間模様が絡み合う。本編を再構築した、大注目の映画版『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』に迫る。

『オッドタクシー』にハマる3つのポイント。

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POINT1:引き込まれる会話劇
本作の最大の魅力ともいえるのが、脚本家・此元和津也さんによる巧みなフレーズ。例えば第1話の病院での小戸川と医者の剛力とのやり取りは、「小戸川…、早いところ結婚したらどうだ?」(剛力)、「『We Are The World』のブルース・スプリングスティーンより唐突だな」(小戸川)、「アル・ジャロウのあとに入ってくるやつな」(剛力)とラリーが続く。また第3話のサウナの場面では、通りすがりの客が「最初にフリースタイルしたのはK.I.Nだよ確か」「えっ、MELLOW YELLOWの?」とコアなヒップホップネタを繰り出したことも。聞き耳を立てたくなる。

POINT2:かわいいけど、本格サスペンス
小戸川はセイウチ、友人の柿花はシロテテナガザル、人気アイドルのミステリーキッスはイヌやネコ…と登場人物はみんなキュートな動物たち。しかし第1話の序盤から練馬区の女子高生失踪事件が報じられ、女子高生を乗せたと思われる、小戸川のタクシーのドライブレコーダーを欲しがる人物が複数現れるなど、不穏な空気が漂い始める。登場するキャラクターは全員ひとクセもふたクセもあり、SNSに依存する青年や、指名手配中のチンピラ、カタギではなさそうな謎の組織、癒着に手を染める警察官など、裏の顔があることがわかってくる。

POINT3:めくるめく人間ドラマ
メインストーリーは小戸川の物語だが、タクシー運転手という不特定多数の乗客を乗せる職業がハブとなり、様々な人生が交錯する。バズることしか頭にない樺沢、元カレとの関係に悩む白川、課金厨の田中、マッチングアプリで年収を偽る柿花、コンビ間格差に悩む芸人・ホモサピエンスなど、独立した物語が並走し、思いもよらない繋がりがあちこちで生まれていく。やがて小戸川の人生にも影響を及ぼし、なぜ広い家で一人暮らしなのか、フラッシュバックするイメージは何を表しているのかなど、様々な謎が明らかになっていく。

声優陣にも注目!

芸人も多く参加した、個性的なキャスト陣も本作の特徴。ここでは、白川役の飯田里穂さんのインタビューをお届けします。

飯田里穂(白川役)

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――TVシリーズ『オッドタクシー』は回を重ねるごとにその世界観に引き込まれる、不思議な魅力を持ったアニメだったと思います。飯田さんはこの作品と出合った時、どんな印象でしたか?

はじめにお話をもらった時は、キャラクターの相関図が手元にあり、「飯田さんはアルパカです」って言われたんです。意味がわからず、「え、どういうこと?」って戸惑いました(笑)。ポップでかわいらしい動物アニメなのかなと思いきや、台本を読むと全然そんな感じではなくて。私は物語のラストを知らなかったので、「この人が元凶なの?」「もしかして白川さんも悪者?」ってみなさんと一緒に謎解きをするような感覚でアフレコをしていました。

――物語のヒロイン的存在である白川を演じる際に、こだわったところはどこでしょう。

監督から「隣の人と喋ってるくらいの自然体な感じで」とお願いされたので、最初に自分の中でイメージしていたものよりもだいぶ引き算した演技をしています。この仕事をしていると声に何かをプラスすることを求められるほうが多いので、マイナスするのってけっこう難しいんです。だから少し不安に思っていた部分もあったのですが、出来上がったものを見てみたら私たちの声が作品に見事にハマっていて、すべてに合点がいきました。

――声優だけでなく、お笑い芸人やラッパーなど様々なジャンルで活躍する方が出演されているのも特徴ですね。

アフレコが別々だったので直接お会いすることはなかったのですが、完成した作品でダイアンさんやミキさんの声を聞いた時に「私に求められていた自然体の演技ってこれだったのか!」と感じました。独特の間や会話のテンポなど、あれは芸人さんにしかできないだろうなと。

――飯田さんのお気に入りのシーンはどれですか?

えー、選べない! 白川さんのカポエイラはもちろん好きだし…。見ていて感動したのは、柿花と黒田がサウナにいるシーンです。二人が会話しているようで、実は別の人と電話してたっていう。ああいうのもちょっとコントっぽいですよね。『オッドタクシー』はどのキャラクターにも少しずつ共感できるポイントがあるところがすごいと思うのですが、私はやっぱりドブさんが一番好き。大人の色気を感じます。

――映画化されると知った時はどう感じましたか?

映画になるということはそれだけ作品を愛してくれている方々がたくさんいるということだと思うので、素直に喜びでいっぱいです。久しぶりに白川さんに再会できたのも嬉しかったですね! 「ちゃんと以前と同じように演じられるかな?」と少しドキドキしましたが(笑)。

――劇場のスクリーンで彼らにまた会えると思うとワクワクします。飯田さんの思う、映画の見どころを教えてください。

TVシリーズを再構築し、ストーリーをより深掘りするような内容になっているので、いろんな人物にスポットライトが当たるのではないかと思います。それだけでは終わらず、TVシリーズ同様にびっくりするような仕掛けもあるので、最後の最後までぜひ観てもらいたいです。どうやらキャスト陣もまだ知らないカラクリがあるらしく…私も劇場へ観に行くのを本当に楽しみにしています!

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白川
剛力医院で働くアルパカの看護師。時折コミカルな一面を覗かせる。小戸川に好意を抱き、大胆な行動に出る。ダイエットのためにカポエイラを始め、基本は習得済み。(CV:飯田里穂)

いいだ・りほ 埼玉県出身。『天才てれびくん』シリーズ出演など子役としての活動を経て、2010年に『ラブライブ!』で声優デビュー。作中に登場するアイドルグループ「μ's」の一員として紅白歌合戦にも出場。
ドレス¥80,300(ISSEY MIYAKE TEL:03・5454・1705) その他はスタイリスト私物

『オッドタクシー』 東京のど真ん中で個人タクシー運転手として働く、天涯孤独の小戸川。客との何気ない会話を重ねながら平凡な日々を送っていたが、次第に巷で話題の女子高生失踪事件に巻き込まれていく。2021年4月から6月にかけてテレビ東京系で放送。4月1日に『映画オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』が公開。
©P.I.C.S./映画小戸川交通パートナーズ
©P.I.C.S./小戸川交通パートナーズ

※『anan』2022年4月6日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・津野真吾(impiger) ヘア&メイク・樋笠加奈子 取材、文・飯田ネオ 大場桃果(飯田さん)

(by anan編集部)

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