人生の先輩的女性をお招きし、お話を伺う「乙女談義」。今月のゲストは、舞台やテレビで活躍する俳優の鷲尾真知子さん。第1回は「男に従属せず、自立した女性になることを願った母」。
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男に従属せず、自立した女性になることを願った母。

私が生まれたのは終戦の4年後、昭和24年です。ひょんなことから高校3年生で劇団の研究生になり、卒業後劇団員になって俳優の道を歩き始めたのですが、その後ろには母の存在がありました。大正14年生まれの母は私を産んだ後、年齢をごまかして俳優座の養成所に入り、役者を目指していたんです。当時にしては、相当進歩的ですよね。でも結局育児を優先せざるを得なくなり、その道は諦めることになったんですが、たぶんその母の演劇への思いが、私を役者へと導いたのではないか…と思っています。

当時は、女性は男性を引き立て、家庭に入って姑に仕えて子育てをするのが当たり前だった時代。でも母はそのときから、“男と女は対等であるべき”と思っていたのでしょう。だから私を、“仕事を持ち、自立を”と教育しました。私が成人したとき、男に従属するような女性になってほしくない、という願いがあったのではないかな、と思います。

母の目論見で劇団員に?! 高校3年は大忙し。

将来の自立のために…かどうかはわかりませんが、4つ上の兄と私は、物心ついてすぐお稽古ごとをいろいろさせられました。その中で私が一番向いていたらしいのが、日本舞踊。6歳の6月6日に習い始め、高校生まで続けていたので、その間に歌舞伎座や新橋演舞場の舞台も踏ませていただき、名取にもなりました。ただ私の中では、踊りの先生を仕事にするという選択肢はなかった。それを母に話したところ、「じゃあ舞台役者は?」のようなことを言われ、なんとなく高校2年で劇団の試験を受け、合格。3年生のときは、学校に行きながら養成所にも通うという、怒涛の一年でした。学校を途中で抜け、叔父の家で着替えて劇団でレッスンを受け、また学校へ。授業より何より、とにかく街中をダッシュしていたことしか覚えてません(笑)。でもあの一年こそ私にとっての青春。学校でも劇団でも怒られてばかりでしたが、友達だけは味方だった。本当にいい思い出です。

わしお・まちこ 俳優。1949年生まれ、神奈川県出身。テレビドラマ『大奥』などでもおなじみ。9/26まで新国立劇場 小劇場にて舞台『友達』に出演中。共演は有村架純、林遣都ほか。

※『anan』2021年9月15日号より。写真・中島慶子

(by anan編集部)

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