心が疲れた、ひと息つきたい…。そんなときにぜひどうぞ。
制作しているシンエイ動画のプロデューサー・林郁美さんによると、
「見里朝希監督の作品のクオリティや、モルカーの愛らしさなどには絶対の自信は持っていたのですが、これほどまでに反響が大きくなるとは…。番組スタート前はたった1500人程度だったSNSのフォロワーが、翌日からあっという間に増えていきまして。口コミの力の強さにも驚きました」
フェルトでできたモルカーやジオラマの人間を、少しずつ少しずつ動かしながら1コマずつ撮影。そして、その画像をつなげる“ストップモーション”という手法で作られている、このアニメ。1作たったの2分40秒ではありますが、全12話を制作するのに、およそ1年半かかったのだそう。なんという労力!! 脱帽です。
「見里監督によると、手間がかかるシーンの場合、1日撮影してやっと24コマ、つまり1秒、ということもあるそうです。しかも、この作品は1つのキャラクターだけではなく、何匹かのモルカー、さらにたくさんのジオラマの人形を同時に細かく動かして撮影しているので、監督は、相当緻密な計算をされて撮影をしているのでは、と思います」
とにかくかわいいのが、5匹をはじめとしてたくさん登場するモルカーたち! 大きな黒目にもぐもぐ動く口元、タイヤなの? 足なの? という謎のパーツを動かし、トコトコと歩く姿は、前代未聞の愛らしさ。タイトル通り、“プイプイ”というかわいい鳴き声でモルカー同士会話を交わすのですが、その声はなんと、見里監督が飼っている本物のモルモットの鳴き声を使っているのだそう。一度聞いたら忘れられないキュートな声にびっくり。
一方で、交通渋滞で困らされたり、銀行強盗に加担させられたり、猫を乗せたまま炎天下に放置されてしまったり…など、毎回なにかしらの不条理に陥れられるモルカーたち。子供向けのアニメではあるのですが、見終わったあと、独特の苦い気持ちが残るのも魅力。
「社会風刺的な感覚を盛り込むのも見里監督の個性なので、そういうところが大人に刺さったのかな、とも思います。特に1~4話は、シンプルで純粋な行動をするモルカーに対して、人間は反倫理的な振る舞いをする、その対比により、人間の愚かさを感じたという人が多かったように思います」
番組に魅せられ、あまりにモルカーを愛してしまった人たちの中には、羊毛フェルトを使って、“マイ・モルカー”を作製し、SNSに上げる人も。
「テレビでの放送は全12回で終了しますが、配信でまだまだご覧いただけますし、手のひらサイズのぬいぐるみなど、かわいいグッズもこれからたくさん展開します。ぜひ末永く、モルカーたちをかわいがってあげてください!」
『PUI PUI モルカー』 モルモットが車になった、癒し系の乗り物“モルカー”が走り回る世界の物語。毎週火曜7:30~、子供向け番組『きんだーてれび』(テレビ東京系)内で放送中。また、Amazon Prime Videoなど多数の動画配信サービスで配信中。詳しくはhttps://molcar-anime.com/ ©見里朝希JGH・シンエイ動画/モルカーズ
※『anan』2021年3月17日号より。取材、文・河野友紀
(by anan編集部)