須田景凪、初メジャーアルバムは「コロナ禍においても楽しめる曲を」

エンタメ
2021.02.21
全15曲入りのメジャーファーストアルバム『Billow』は、複数の映画やドラマの主題歌等が収められた上で、多様な音楽性が詰まっている。「コロナ禍においても、暗さや深い意味を持ちすぎず、ちゃんと楽しめる曲を改めて書いた」と語る須田景凪さん。タイトルにも、そのような意図が込められているという。

ここ数年でやりたかったことを限りなく詰め込めた。

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「今は“どうやってコロナと生活していくか”ということをみんな考えているところもあると思うんですけど、去年僕がこのアルバムを作り始めた最初の緊急事態宣言の時って、急にすべてのことがストップしましたよね。僕も、レコーディングもできないし、ひたすら家で曲を作る生活になりました。そこでSNSを見た時にそれまで当たり前にあった一人一人の考え方みたいのが、強度を増して鋭い意見としてはびこっていて、それがぶつかり合っていて。いろんな人の思想みたいなものが渦を巻いている状態だなと感じて、自然と『Billow』っていうタイトルになりました」

アルバム曲には、斬新なトライアルをしているトラックが多い。

「自分の音楽を振り返って、再構築する時間があった気がしてます。それによって、ここ数年でやりたかったことを限りなく詰め込めたのかなと。中国っぽいサウンドを作りたくてできた『迷鳥』だったり、静かでうるさいドープな感じをやりたかった『風の姿』だったり。やりたかったチャンネルを一つ一つアウトプットできたのかなと思ってます」

奔放なトラックだとしても、向上したボーカルの力で強力なポップスとして成立させている印象がある。

「僕は元々ボカロPという自分で歌う人間ではなくて、何も考えず歌うと結構癖があるタイプだったので、いかに癖をなくして歌うかってことと向き合ってたんです。でもここ一年くらい、スタッフの方とかに『もっと自由に歌ってみたら』って言ってもらったりして。それで、効果的に癖を残すところとそうじゃないところのメリハリをどうするかに向き合った。そういう部分が自然に出てきたのかなと思ってます。こう歌うと音楽理論的には誤りかもしれないけど、このほうが言葉は刺さるっていうことを大事にしましたね」

「飛花」や「刹那の渦」といった、コロナ禍になって序盤にできた楽曲は突然の事態に打ちひしがれた心境が表れているが、1曲目の「Vanilla」と映画『名も無き世界のエンドロール』の主題歌であるラスト曲「ゆるる」は強い希望を感じさせる。

「強い意志を持ったテーマの曲を入り口と出口に置くことで、聴いてくれた人の印象が、後ろ向きではなくなるんじゃないかなと思ってこの曲順にしました。『ゆるる』は、『名も無き世界のエンドロール』を観た印象として、全体的に少し苦しい雰囲気があると感じて、喪失感をテーマに書いたんです。タイアップ曲は今までだったら、結構作品に寄せたものを書くことが多かったんですけど、今回は寂しさみたいなものにフォーカスをあてることで、自然と今の時代とリンクするものになる。そうやって自分が今考えてることを多く入れたほうがいろんな人に伝わるんじゃないかと思ったので、必要以上に作品を意識せず書いたんですよね」

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アルバム『Billow』。映画『名も無き世界のエンドロール』主題歌「ゆるる」ほか、全15曲収録。【初回生産限定盤(CD+DVD+80Pアートブック)】¥4,800 【通常盤(CD)】¥3,000(Warner Music Japan/unBORDE)

すだ・けいな 2013年より「バルーン」名義でボカロPとしての活動を開始し、’16年に発表された「シャルル」は3年連続で10代カラオケランキング1位に。’17年10月、自身の声で歌う「須田景凪」としても活動を開始。

※『anan』2021年2月24日号より。写真・松田 拓 ヘア&メイク・YOSHIKO(SHIMA) 取材、文・小松香里

(by anan編集部)

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