2020年に連載開始から50周年を迎え、現在『STAND BY ME ドラえもん 2』が公開中。『映画ドラえもん のび太の月面探査記』('19年)の脚本も担当した小説家の辻村深月さんが、「アラサー女性に響くのでは?」とオススメのエピソードを選び、その魅力を語ります。

辻村さんが選んだのは、『右か左か人生コース』。曲がった道の先に何があるか、予想をしてくれるひみつ道具の話だ。

「大人になってくると、“あのときあの選択をしていたら…”と思ったことは、誰でも1度や2度はあるかと思います。選択しなかったほうの人生のことが、いつまでもいつまでも気になったりもしますよね。でもこの物語は、どっちが正解、不正解ということではなく、単純に、今自分がいる場所は選択の連続の先にあり、正解にするも不正解にするも自分次第であることを教えてくれます。『ぼくよりダメなやつがきた』も、自分の過去を振り返りたくなるエピソード。今の自分は、さまざまな選択と同時に、出会いと別れの積み重ねの結果でもある。これを読むと、劣等感や優越感を乗り越えられず疎遠になってしまった友達のことが思い起こされたりして、大人になった今なら、友達でいられたかもしれない…と胸が少し痛くなります。どちらのエピソードも、いい気になっているのび太を見つめるドラえもんの無表情さが素晴らしい。頭ごなしに怒るでもなく、かといって突き放すでもなく。その上での、無表情。はしゃぐのび太とのコントラストが利いていて、本当にすごくいい」

どっちに行っても障害が?! それでも行くか、行かないか。
『右か左か人生コース』ドラえもん42巻

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テレビで、運命の大きな分かれ道について語るボクサーを見たドラえもんとのび太。「道に迷ったとき、正しい方向を教えてくれる機械が欲しい」とねだるのび太に、ドラえもんは、右に行くとこうなって、左に行くとこうなって…と予想を見せてくれる道具〈コースチェッカー〉を差し出した。

自分の心の優越感や劣等感、それとどう向き合うか…。
『ぼくよりダメなやつがきた』ドラえもん23巻

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のび太のクラスに転校生の多目(ため)くんがやってきた。「僕よりパッとしないし、僕より0点を取る!」と、成績が自分より劣っている多目くんを見下して優越感に浸るのび太。ドラえもんは、そんなのび太を見て、とあるひみつ道具を出し…。

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ドラえもん全45巻 藤子・F・不二雄 22世紀からやってきたネコ型ロボットのドラえもんと、勉強もスポーツも苦手なのび太くんの物語。'70年より連載がスタート。絵のかわいらしさに悶絶! 各¥454(小学館)©藤子プロ・小学館

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つじむら・みづき 小説家。1980年生まれ、山梨県出身。『映画ドラえもん のび太の月面探査記』('19年)の脚本を担当。現在、原作映画『朝が来る』が公開中。

『STAND BY ME ドラえもん 2』 原作:藤子・F・不二雄 監督:八木竜一 脚本・共同監督:山崎貴 声の出演:水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、木村昴、関智一、宮本信子、妻夫木聡 全国東宝系で公開中。

※『anan』2020年12月2日号より。

(by anan編集部)

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