――佐藤さんといえば、“名バイプレイヤー”と呼ばれることが多いですね。
いやいや、最近ですよ、そんなふうに言っていただけるようになったのは(笑)。
――今回、テレビ東京の深夜ドラマ『浦安鉄筋家族』で、主役の大沢木大鉄を演じると伺いました。主役というと、やはりちょっと気持ちは違いますか?
う~ん、どうなんだろうなぁ…。でも今回は、原作を読んだときにも思ったんですが、僕だけじゃなく、家族全員が粒立っているんですよ。なので、一応僕が主役ってことになっていますが、あまり意識してない、ですかね。特に、僕の奥さんを演じる水野美紀ちゃんのコメディエンヌぶりが素晴らしいの!! 初めてリハーサルをやったとき、いろいろとアイデアを出してくれたんですが、それが全部おもしろくて、のれるものばっかりで。だから「美紀ちゃん、やりたいこと全部やって! 僕、ついていきます!」って感じ(笑)。同時に、僕が演じる大鉄という男は、非常にだらしなく、まったく能動的じゃない男なんですよ。一応大黒柱としているにはいるんだけれども、自分からなにかやろう、みたいなタイプではない。行動を起こすとしたら、周りから言われて…みたいな、受動的な人なんです。主役といいながら、周りに引っ張ってもらおうと思っている僕と、非常にカブっているなぁと思うので(笑)、みんなの芝居を受け、やっていこうと思っています。
――ちなみに、プライベートではご自身も男の子を持つお父さんだと伺っています。家ではどんな感じなんですか?
これ、よく言うんですが、僕は“精神年齢8歳の50歳児”なんですよ。全然大人じゃないんです。家庭では、父親であり、長男みたいなもんです。
――奥さん、大変ですね…。
よく妻に、「長男ひと役にならないようにしてよ」とか、「しっかりしなさい!」って言われてます。いかにプロの役者とはいえですね、威厳のある父親を演じるっていうのは非常に難しいわけで。
――ついボロが出てしまう?
はい、ボロが出ますね…って、ボロって言うな(笑)。いえ、すいません、ボロ出まくりなんですよ。例えば、僕はカニが大好きなんですけれど、この間家族で『かに道楽』にカニを食べに行ったんですよ。で、カニが出てくるまで一番そわそわしているのが僕。「まだかな、まだかな」って。で、奥さんに「そわそわしない!」って叱られたりして。
――お子さんの反応は?
ん~、そういえば息子もそわそわしてました(笑)。
――さすが親子!
でもカニが出てきたら、僕のほうが喜びますけどね。
――そこ張り合うとこですか(笑)。
確かに(笑)。あと、これもよく話すんですが、僕の一日の一番の喜びは、仕事が終わって家に帰って、晩酌をしながら妻に今日あったことを聞いてもらうことなんです。「聞いて聞いて」って。でも子供が生まれると、当然子供の話を、僕と妻とで聞くっていう構造になるでしょ? もちろん聞くんだけど、途中からウズウズしてきちゃうわけ。
――何にですか?
俺の話を聞いてほしくて(笑)。で、結局途中で「よしよし、わかった。じゃ、次はお父さんの番な」ってなっちゃって、お母さんに話を聞いてもらう権利を息子と熾烈に争う。毎晩そんな感じです。
――ご子息はおいくつですか?
8歳です。
――佐藤さんの精神年齢と同じ年ということですね。
今、ちょうどタメですね。
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――息子さん的に、「お父さん、子供っぽくね?」みたいなの、あるんでしょうかね…。
思ってるんじゃないかな…。ここからは彼になんとか食らいついて、一緒に成長していければと思ってます(苦笑)。
さとう・じろう 1969年生まれ、愛知県出身。大学卒業後、サラリーマン生活をしながら’96年演劇ユニット「ちからわざ」を立ち上げる。その後劇団「自転車キンクリート」に入団。ドラマ『ブラック・ジャックII』の出演で注目を集めた。代表作は『JIN‐仁‐』『勇者ヨシヒコ』シリーズなど。また映画『memo』では監督、脚本、出演を務めた。
25年以上連載が続く人気ギャグマンガ『浦安鉄筋家族』が、むちゃな名作が多いと話題の〈ドラマ24〉の枠で実写化! 共演に水野美紀、岸井ゆきの、染谷将太など。監督は『おっさんずラブ』などで知られる瑠東東一郎、脚本は注目の劇団「ヨーロッパ企画」の脚本家・上田誠らが務める。4月10日スタート。毎週金曜24:12~テレビ東京系にて放送。
※『anan』2020年4月15日号より。写真・中島慶子 スタイリスト・奥塚美代子(アンジュ) ヘア&メイク・紺野亜季(A.m Lab) インタビュー、文・河野友紀
(by anan編集部)