どこまでも実直で謙虚な人、という印象の高杉真宙さん。類まれなルックスと人気を誇りながら、それでもなお、「自分には何もできない」と語る。その心とは? 仕事に懸ける正直な思いを聞いた。
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自分には何もできないと思っているので、ボロクソに言われても大丈夫。

今年に入って連続ドラマ4作品に出演し、すでに封切られた映画は3本。さらに来年にかけて4本の劇場公開作が控え、なんと11月からは舞台にも出演。今、最も出演オファーが絶えない若手人気俳優の一人、高杉真宙さん。最新公開作『見えない目撃者』では、吉岡里帆さん演じる目が見えない元女性警察官と共に女子高生連続殺人事件を追う高校生・国崎春馬を演じている。

――最初に脚本を読んだ時はどんな印象を受けましたか?

高杉:こういう猟奇殺人を扱う本格スリラーは、海外ドラマを彷彿させるというか、あまり日本にはない作品だなと思いました。

――春馬を演じる上で、一番こだわったのはどんなところですか?

高杉:一番はじめにいただいた台本だと、春馬はもっと不良感が強かったんです。でも、それよりは何かを諦めている感じというか、他人に対して無関心な感じのほうが現代の高校生っぽいかなと。そこから徐々に成長していく姿を見せたかったので、最初のキャラクター設定はできるだけしっかり伝わるようにしたいなと思いました。

――一番難しかったのは?

高杉:やっぱり、クライマックスの追われるシーンです。なんというか、すごく想像の世界だったんですよね。例えば、泣いたり、怒ったりするシーンの場合は、演じる上で手伝ってくれるものがたくさんあるんですけど、追われている気分というのはなかなか経験することもないですし、とにかくその状況を想像して余計に恐怖心を作り出さないと、観ている人にも伝わらないんじゃないかと思ったんです。実際にはたくさんのスタッフの方が周りにいたりもするので、油断をすると現実に引き戻されてしまうというか、ふと我に返ってしまう瞬間もあったりして。でも、その追われているドキドキ感を体感できるのがこの作品の面白いところでもあると思うので、表情と息遣いを大事に演じました。

――原作は韓国映画の『ブラインド』ですが、高杉さんはあえて原作は観ないようにしていると。

高杉:そうですね。映像になったものは観ないようにしています。

――その理由は?

高杉:怖いんですよね。僕が演じるものを他の誰かが演じているということが。なんというか、どう頑張ってもそれに引っ張られてしまう気がするんです。それに、その人が時間をかけて作ったものはその人だけのものだと僕は思うので、それを目指すのも違うかなと。

――自分で作るオリジナルのキャラクター像を大事にしたい、と?

高杉:そうですね。もちろん台本があるので、誰が演じてもある程度は同じキャラクターになるというか、核となる部分に正解はあると思うんです。でも肉付けの仕方は人によって全然違ってくる気がしていて。まぁやっぱり、一番の理由は怖いからなんですけどね。

――比べてしまうことが?

高杉:例えば、その人の演技を見て“すごいな”と思っても、自分にそこまで辿り着けるほどのスペックはあるんだろうか、とか考えてしまうんです。基本的に自分は何もできないと思っているので。

――これだけご活躍されていてもですか?

高杉:いやいやいやいや、全然です。何もできないから、その分、誰に何を言われても大丈夫なんです。たとえボロクソに言われても、それは当たり前のことだから。

――少しでも自信が出てきたな、と思ったことはないですか?

高杉:ないですね。もちろん「これ、できる?」と聞かれたら、一応「できます」とは言うんです。でもそれは、できると思っているわけではなくて、できるところまで持っていくために自分にプレッシャーをかけるような感覚。できない中でどれくらいできるように持っていけるかということが、面白いところでもありますし。時間はみんなに平等にあるわけですから、努力次第だと思うんですよね。

――それでも大きな壁にぶち当たってしまった経験はありますか?

高杉:いっぱいありますけど、一番大きな壁は去年出演した舞台『メタルマクベス』の歌とダンスですね。僕、本当にリズム感がなくて音痴なんですよ。だから本番の2年前くらいにお話をいただいていたんですけど、その2年間はずっと、いうなれば夏休みの宿題の締め切りに追われる小学生のように、「もうすぐ舞台だ…」と思いながら憂鬱に過ごしていました。

――そんなプレッシャーを抱えてまで、なぜ出演しようと?

高杉:劇団☆新感線さんの舞台に出るのが夢でもあったんです。だからもう、練習あるのみだな、と。本番が始まってからもずっと、練習、練習の毎日でしたね。

――高杉さんは小学校6年生の時にスカウトされて芸能界入りしたんですよね。それまで、このお仕事に興味はなかった?

高杉:まっっったくなかったです。うちはアニメ以外、ドラマも映画も観ない家庭だったので。

――それなのに、なぜやってみようと思ったんですか?

高杉:2年間は拒否し続けたんですけどね(笑)。それくらい、興味がなかったんですけど、やると決めたからには適当にはやりたくなかったんです。出会う方もいい人ばっかりでしたし、現場で周りの人に迷惑をかけたくないと思っていたので、必死にはやっていました。ただ、演技が楽しいというところまで辿り着いていなくて、部活の延長線上のような感覚でしたね。

――それが「仕事」という意識に変わったのはいつですか?

高杉:映画『ぼんとリンちゃん』の時ですね。たしか、高校1年生の冬だったと思います。3か月くらいリハをして、さらに2か月近くかけて撮影をしたんですよ。舞台と違って映画でリハをするというのが初めての経験でしたし、一つの役をここまで突き詰めていったことで、演技の楽しさを知ったというのもあります。

――というと?

高杉:それまでももちろん、しっかり考えて演じてはいたんですけど、そこで初めてキャラクターは自分で作り上げていくものということを知ったんです。台本を読んで、スタートからゴールまでの間、このキャラクターを成長させるためには、この出会いとこのエピソードが重要なんだなとか、自分なりにパズルを組み立てていく感覚といいますか。リアルに寄せることだけがお芝居ではなくて、ちょっと大げさに面白おかしく演じてみたり、演じ方にもいろいろな種類があるということも知りました。

『見えない目撃者』 交通事故によって自らの視力と最愛の弟、そして警察官としての未来を失った浜中なつめ(吉岡)は失意の中、ある誘拐事件に遭遇。残された感覚で感じた手がかりをもとに、もう一人の目撃者・国崎春馬(高杉)と共に事件を追っていく。出演/吉岡里帆、高杉真宙、大倉孝二、浅香航大、田口トモロヲほか。9月20日(金)全国ロードショー。

たかすぎ・まひろ 1996年7月4日生まれ、福岡県出身。2009年、舞台『エブリ リトル シング‘09』で俳優デビュー。11月9日スタートの舞台『カリギュラ』に出演するほか、主演映画『超・少年探偵団NEO ―Beginning-』が10月25日、『糸』『前田建設ファンタジー営業部』が来年公開。「高杉真宙 10thメモリアルカレンダー」は10月3日発売。

カーディガン¥16,000 パンツ¥42,000 シューズ¥54,500(以上シャリーフ/Sian PR TEL:03・6662・5525) カットソー¥12,000(ブフト/HEMT PR TEL:03・6721・0882) その他はスタイリスト私物

※『anan』2019年9月25日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・石橋修一 ヘア&メイク・堤 紗也香 インタビュー、文・菅野綾子

(by anan編集部)

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