「絵本って同じページをずっと眺めていたり、好きに戻ったりできるのがいいですよね。大人こそ、じっくり“絵を読む”時間によって感性が開かれるような気がします」と、絵本専門士の資格を持つ杉上佐智枝さん。彼女の思う絵本がくれる最大のギフトは“想像力”を育むことだ。
「子どもでもわかる内容とテンポなので『この登場人物には、どんな言葉をかけたらいいかな』といった相手の立場を想像する時間が持てます。ファンタジーで、空想の世界で遊ぶもよし、実話で痛みや悲しみに共感するもよし、そこで得た想像力こそが、国を超えてわかり合う力、最終的には人間力になると思います」
杉上さんの語る絵本の持つ魅力別に本を紹介します!
多様な価値観を受け取る。
『タンタンタンゴはパパふたり』
文:ジャスティン・リチャードソン&ピーター・パーネル 絵:ヘンリー・コール 訳:尾辻かな子、前田和男 1500円(ポット出版)
「LGBTのことは、デリケートな問題ですが絵本を通してだと、子どもにも自然に伝えることができます。私たちが知るためにも、これからの世代に知ってもらうためにも大切なテーマですよね」。卵の代わりに石を温めていたおす同士のペンギンカップル。飼育員が機転を利かせて…。NYの動物園で実際にあったお話。
差別や偏見を乗り越える強さ。
『彼の手は語りつぐ』
著:パトリシア・ポラッコ 訳:千葉茂樹 1600円(あすなろ書房)
「人種差別や偏見といった、どこの国でも生まれる問題を扱ったものも大人になったからこそ、手に取ってほしいです。それを乗り越える人間の愛と強さを感じた時、救われる思いがします」。南北戦争時代の文字の読める黒人と、文字の読めない白人の、友情の物語。作者はその白人の子孫で、代々語り継がれてきた実話。
ライフスタイルの異なる世界を知る。
『おんぶはこりごり』
作:アンソニー・ブラウン 訳:藤本朝巳 1500円(平凡社)
「働いている母親の大変さや、未婚女性の寂しさなど、境遇が違う世界を絵本で覗くのも楽しいですよ。絵本ならユーモラスに展開しているものが多く、受け入れやすいのではないでしょうか」。家庭を一人で支えるママと、甘えっぱなしの夫と子どもたち。ある日ママが家出したら!? 家事の女性負担をシュールに描く。
理想の在り方とは何かを考える。
『わたしのそばできいていて』
作:リサ・パップ 訳:菊田まりこ 1400円(WAVE出版)
「対人関係のヒントをくれる作品も数多くあります。特に職場の後輩や、自分の子どもに対して、『こう接したいな』というお手本にしたい例も。大人になって悩んだ時こそ、原点に立ち戻る大切さを知ります」。本を読むのが苦手なマディは図書館で白い大きな犬と出会い…。作中の読書介助犬は米国などで実在する。
すぎうえ・さちえ アナウンサー。日本テレビ所属。絵本専門士。毎年、読み聞かせ研修のために、その年の新人アナウンサーの特技に合った絵本を探すそう。
※『anan』2019年7月10日号より。写真・中島慶子
(by anan編集部)
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