生きづらい世の中とはいわれるけれども、それは世の中のせいだけだろうか…。資生堂の「ウェブ花椿」で連載されて話題を呼んだはるな檸檬さんの『ダルちゃん』は、軽い気持ちで読み始めると、不意打ちを食らってしまう“ハード”な物語だ。
ダルちゃん

「20代の頃なんかは特に周りの評価を気にしがちですけど、気にしまくった果てに幸せってないよなあとずっと思っていて。そんなふうにもがいている子たちに嘘のない形で、押し付けがましくなく何が言えるだろうっていう気持ちがありました」

ダルちゃんこと丸山成美は、24歳の派遣社員。会社ではダルダル星人という真の姿を隠し、普通の女性に“擬態”してそつなく仕事をこなしている。読者の方々も恐らく経験あるだろう。「本当の自分はこうじゃないのに…」と思うような瞬間が。

「田房永子さんがA面、B面という表現をしていて共感したのですが、大人になるにつれA面という社会で必要とされる概念的思考に引っ張られて、B面の感覚的な部分をひた隠しに頑張るじゃないですか。それを“ダルダル”で表したかったんです」

周りから浮かないよう普通に生きることに日々必死なダルちゃんに、初めて友人と恋人ができ、そしてあることをきっかけに詩という創作の世界へのめり込んでいく。自分というものを持っていなかったダルちゃんが、初めて立ち上がった赤ん坊のように恐る恐る、でもしっかりと内面を見つめようとする姿は、胸が締め付けられるほどリアルだ。

「ダルちゃんには結果的に私自身も投影されていて、自分で自分を騙していた頃のあまり見たくない一面を掘り起こしてもいます。選択肢が無限にあるように思えるなかでどれを選んでいいかわからないのは、若いうちはしかたのないこと。だけど最終的に幸せを選び取れるのは、自分自身でしかないと思うんです」

何を幸せに思うかは、人それぞれ。だけどダルちゃんの生き方は、幸せの選び取り方を教えてくれる。

はるな檸檬『ダルちゃん』1、2  普通の人になりたいと願う女性が、友人、恋人、創作と出会うことで地に足をつけて生きる決意をする、勇気と希望の物語。第9回新井賞を受賞した注目作。小学館 各850円

はるな・れもん マンガ家。2010年『ZUCC×ZUCA』でデビュー。読書遍歴を描いた『れもん、よむもん!』、出産体験を描いた『れもん、うむもん!-そして、ママになる-』が。

※『anan』2019年2月27日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子

(by anan編集部)

エンタメ-記事をもっと読む-_バナー

500円を積み重ねる資産運用!ズボラ女子のための楽しんでお金を増やす方法
[gunosy]
#美容 について、もっと深く知りたい![/gunosy]

Share

  • twitter
  • threads
  • facebook
  • line

Today's Koyomi

今日の暦
2026.2.
16
MON
  • 六曜

    仏滅

無理に状況を動かそうとせず、⼼をゆっくり整える⽇。周りに対しても「来る者拒まず、去る者追わず」くらいの軽やかな気持ちでいるほうが楽です。⾃分の思い通りにしようとせず、⾃然な流れに⾝を任せてみて。今は⽬⽴つ成果よりも、⾃分の中の誠実さを育てることで、次のチャンスに向けた強い⼟台を築いていけます。

エンタメ

Recommend

こちらの記事もおすすめ

グレた妊婦に引きずられ、価値観もひっくり返る!? 綿矢りさの妊娠コメディ小説
グレた妊婦に引きずられ、価値観もひっくり返る!? 綿矢りさの妊娠コメディ小説
Entertainment
“わかり合えない”からこそ見える二人をつなぐ時間と距離感。『違国日記』がTVアニメに
“わかり合えない”からこそ見える二人をつなぐ時間と距離感。『違国日記』がTVアニメに
Entertainment
2人のトミーの世界を虜にする圧倒的センス。アナログ盤でじっくり酔いしれて
2人のトミーの世界を虜にする圧倒的センス。アナログ盤でじっくり酔いしれて
Entertainment
宮崎朝子「SHISHAMOは自分のものじゃないっていう意識が一番大事だった」
宮崎朝子「SHISHAMOは自分のものじゃないっていう意識が一番大事だった」
Entertainment

Movie

ムービー

Regulars

連載