ふいに聞こえてきたセリフから妄想を展開する、劇作家の根本宗子さん。今回の妄想主役は「妄想させてくれないふたり」です。
根本宗子

ファミレスで隣の席に座っていた、23歳のギャルと25歳のギャル男のカップル。

12月20日に開幕した『愛犬ポリーの死、そして家族の話』。台本を手直しするため、久しぶりにファミレスで半日くらい過ごした。昼食と夕食を同じファミレスでとるくらい長時間滞在したので、気づいたら隣の席が5回転くらいしてた。最後に隣になったカップルの会話が本当に凄まじ過ぎた。

ギャル「妹がデキ婚するかもしれないけど、しないかもしれない」

から始まり、

ギャル「あんたといても先が見えない」

とデキ婚話から自分達のこの先まで話が広がっていった。

彼氏のギャル男のほうは呑気に食べている。彼女の怒りは増すばかり。

ギャル「あんたどんだけ食べるの? 話聞いてんの?」

「結婚」というかなり深刻な話題中もオムライスをばくばく食べ、その後パンケーキを食べ、唐揚げを食べ、スープを飲み、さらにアイスを食べると言い出すギャル男。

妄想スイッチオン!

一向に黙らないこの二人。妄想スイッチを入れたいセリフがたくさん出てくるのに全然スイッチを押させてくれない。しかもずっと聞いているのに、何故その話からその話に展開したのかが全く理解できない。さっきまで結婚について怒っていたギャルは、「サーティワンに行きたい」と言い出すし、それなのに、ギャル男はファミレスでアイスを頼んでいる。この二人の会話はどんな終わりを迎えるのだろう。

最後まで聞いていると、

ギャル「サーティワンでソルベ食べて、TSUTAYAで映画借りて、それ観て1時までに寝るよ。わかった? 行くよ」

という一言で二人はファミレスを出て行った。なんだろうこの掴めなさ…。

そして、私はずっとこのカップル、彼氏をひもだと思っていた。しかし違ったのだ、ファミレスで4000円近く食べた会計は全て彼氏が彼女がトイレに行ってる間に支払い、それに対して彼女はしっかりと「ありがとね」とにっこり微笑みお礼を言っていた。ちゃんとしている二人だ。

ねもと・しゅうこ 1989年、東京都生まれの劇作家。月刊「根本宗子」公演『愛犬ポリーの死、そして家族の話』が、下北沢・本多劇場で上演中。http://gekkannemoto.wixsite.com/

※『anan』2019年1月2・9日号より。

(by anan編集部)

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