ハンディのある僕が活動することで人に元気を与えられたら。
それまでのイメージとは一変、華やかなメイクを纏ってソロデビューを飾った歌手のジュンスさんに影響を受け、14歳でメイクに目覚めたというギュテさん。
「最初は見よう見まねだったんですけど、当時はコンプレックスだらけだったので、メイクによって目の大きさが2倍になったり、顔が細く見えたり、鼻が高く見えたりすることが嬉しくて。初めて自分に自信を持つことができたんです」
その後、自身の国籍がある韓国に留学。男性でもメイクをする文化に触れたことで、自身も日常的にメイクをするように。
「帰国してからは個性が爆発して結構派手なメイクをしていたんですけど、母親に“どうせメイクするならもっと綺麗にしなさい”と言われて。違和感さえなければ人に笑われないということにも気づいて、YouTubeで海外のメイク動画や今では大親友のマリリンのメイク動画を見て、独学で勉強を始めました」
こうしてギュテさんはプロのメイクアップアーティストに転身。クライアントに向けたプロモーション用にYouTube配信をスタートしたところ、別人と見まがうような整形級メイク動画が大バズり。一躍人気ユーチューバーに。
「最初はユーチューバーになりたいなんて思っていなくて。でも男性だからメイクをしちゃいけないとか、メイクをしているから女性に見えるみたいな価値観を変えたいという思いはありました。僕がメイクの参考にしているATEEZというグループをはじめ、韓国の男性アイドルの方を見ればわかると思うのですが、女性アイドル以上にしっかりメイクをしていてもフェミニンではないし、凛々しさを失っていない。だから僕は、男性がバレずにやる自然なメイク法ではなく、自分に合ったやり方やメイクだけで人はこれだけ変われるっていうメイクの可能性を配信していけたらと思っています」
そんなギュテさんの動画はメイクの参考になるだけでなく、見ているだけでくすっと笑えるエンタメ性にも優れている。
「メイク配信って、単純にやると面白くないんですよ。全然笑いが起きないので、自分で自分に突っ込むテロップを入れたりして、スピードラーニング的にただ見ているだけでメイクのスキルを覚えられるような動画に仕上げています」
また動画内では、自身が抱える脱毛症やいじめを受けていた過去も告白。大きな反響を呼び、現在は視聴者に寄り添ったお悩み相談企画も配信している。
「最初は病気のことはもちろん、すっぴんさえ晒す気はなかったんです。でもそうすると、“どうして眉毛がないの?”ってことばかりにコメントが集中してしまって。これ以上詮索されるのもイヤだったし、もっとメイクを見てほしいという思いもあって告白したんですが、視聴者の方から“勇気をもらえた”とか、“いじめを受けて引きこもっていたけど、1年ぶりに外に出ました”みたいなコメントをいただいて。今はメイクの技術を伝えるだけでなく、ハンディのある僕が活動することで人に元気を与えられたらいいなという思いでやっています」
今もこの先も、絶対に嘘をつかないことがギュテさんのポリシー。
「例えばPRのお仕事で商品を紹介する時も最低2週間は自分で使ってみます。それで良ければ紹介するし、悪ければしない。目先の利益にとらわれて信用を失い、未来を台無しにはしたくないんです」
それは、大きな夢を叶えるため。
「僕は昔から作りたいものがたくさんあったので、今はその夢を叶えるためにたくさんの人に名前を知ってもらう期間だと思っているんです。自分から何かを調べるのは得意じゃないから、誰かに見つけてもらって(笑)、いつかコスメやアパレル、自分と同じ悩みを抱える人のためのウィッグもプロデュースできたら」
GYUTAE的こだわりポイント
動画撮影時に欠かせないマストアイテムはコレ!
カメラによく映る指は爪の先まで美しく。
「撮影時はアイシャドウを指で塗るので、見栄えがいいように月に1回はサロンでネイルアートを。とくによく使う右手の中指のデザインはこだわってます」
ひと塗りするだけで即効毛穴レスな肌に。
「肌断食中なので洗顔後は何もつけていないのですが、毛穴が気になる時はイヴ・サンローランの美容液、ピュアショットでケア。マジで毛穴がなくなります」
撮影から編集までスマホ1台で完了!
「たまにリングライトを使うこともありますが、基本的にはスマホ1台で撮影。編集もVLLOというアプリを使えば、簡単にプロっぽい動画を作れます」
Q1.未来の目標や夢は?
A1.小金持ち(笑)。大金持ちだと何でも買えて逆に枯渇してしまいそうだけど、やりたいことを我慢せずに楽しめるくらいの余裕は欲しいので。
Q2.最近ハマっているのは?
A2.Netflixで配信中のリアリティ番組『ル・ポールのドラァグ・レース』。クイーンたちのメイクを見ているのが楽しい。
Q3.オフの過ごし方は?
A3.家から一歩も出ません。Netflixを見て、愛猫・ルシウスと遊んで寝ます。
Make up GYUTAE
1番人気の「顔面荒れ地の魔女からハウルになる毎日」は280万回再生突破。
ギュテ 1994年生まれ、広島県出身。YouTuber、メイクアップアーティスト。オリジナルグッズのプロデュースも手掛ける。
※『anan』2021年11月3日号より。写真・来家祐介(aosora) 取材、文・菅野綾子
(by anan編集部)