野菜ではなく、ご飯から食べる!?  “腸がよろこぶ”生活習慣

ビューティ
2019.07.23
生活習慣からおなかを改善! 腸がよろこぶ一日の過ごし方を総合医療医の瓜田純久先生に聞きました。
habit

腸の働きは、毎日の食事や運動、体内リズムを司る自律神経など、生活習慣に大きく左右される。

「食習慣は、何を食べるかも大事ですが、実は量を食べることが重要です」と瓜田純久先生は言う。

「お米を食べず食物繊維ばかり食べるのが、今の若い女性の食事の特徴といえます。でも、便の材料となる食事の量が少ないと腸の働きは低下。また、食べる順番も大事。便秘のときは、最初に消化のいいお米を食べて、野菜は最後。野菜には消化の悪いものもあるため、先に食べると後から口にするタンパク質などの消化に時間がかかり悪玉菌が増加する場合も」

また、便にほどよい水分を含ませるための水分摂取も意識。腸の働きやリズムにメリハリをつけるために間食も避けたいところ。

加えて、運動も重要な条件。

「息が切れるくらいの運動をすると脳からストレス物質が出て、腸の働きがいったん停止。そして運動後は逆に活発に動きだすので、いい刺激に。さらに、腸の動きを支配する自律神経も見逃せません。腸を活発にするのは副交感神経が優位のとき。このバランスがとれていることがマストです」

腸がよろこぶ、朝昼夜の生活習慣を、今日から実践!

口から食べたものは12~24時間後に腸にたどりつき、便となる。その便が「大ぜん動」という、ぜん動運動よりも大きな大腸の収縮によって押し出され、排便が起こる。これが起こりやすいのは朝なので、機会を逃すべからず。

家を出る1時間半前には起きる。

起床後の1時間半が、お通じのチャンスタイム。これを逃すと、排便のタイミングを逃すことに…。

「家を出る1時間半前には起きて、余裕を持ちたいところ。食事を摂ると大ぜん動を呼ぶいい刺激に」

カーテンを開けて、太陽の光を浴びる。

人間の体内時間は、朝に太陽の光を浴びることでリセットされる。これで自律神経が整うという仕組み。

「起床後に太陽の光をしっかり部屋に入れて。起きる時間と寝る時間を、ある程度一定に保つのも重要」

コップ1杯の水を飲む。

「起き抜けにコップ1杯の水を飲むと、胃から腸へ刺激の信号が伝わり、大ぜん動の呼び水になります」

大腸のぜん動運動は温度に反応して活発になるので、冷たい水がベター。水分補給も兼ねて習慣に。

通勤の階段は、1段飛ばしで駆け上がる!

「朝の通勤時間や移動のタイミングで、“息が切れる運動”をうまく取り入れましょう。エスカレーターを使わずに、1段飛ばしで勢いよく階段を駆け上がれば、腸にいい刺激を与えることができます」

朝は食欲がなくてあまり食べられないという人も多いけれど、昼はしっかり食事を摂る好機。一方、空腹時間の確保のため、つい手が伸びがちなおやつは封印。どうしても我慢できないときは、ハチミツ牛乳を活用して。

フロアを歩くときは、腹筋に力を入れる。

腸内環境の乱れに繋がる便秘。若い女性で考えられる原因は、食事量が少ないことと腹圧が低いこと。

「わざわざ腹筋運動をしなくても、オフィスで歩くときに腹筋に力を入れるだけで、腹圧は上がります」

ランチは毎日違うメニューを選ぶ。

「いつも同じものばかり食べていると、腸内細菌の多様性がなくなってしまいます。できるだけ、毎日異なる食材を食べる工夫をしましょう」

昼食は毎日違うお店、または違うメニューを選択。

お昼はできるだけお米を大盛り食べる。

理想のお通じのためには、消化によく、水分をたっぷり含むお米が必須。

「お昼なら、たくさん食べても胃腸の負担になりにくいです。特に、日ごろ朝食を摂らないという人はぜひ心がけてほしいです」

おなかがすいたらハチミツ牛乳を飲む。

消化に時間のかかるハチミツの糖質には穏やかな下剤作用があるという。

「便秘がちという人は、ハチミツを牛乳に適量加えて飲むと非常に効果的です。便秘ではない人なら、80mlくらいの量でOKです」

一日の中で最長の空腹時間を確保できるのが、夜眠っているとき。夕方以降は副交感神経の働きが優位になるので腸の働きも活発になります。翌朝の快便に向けて、夜の間、腸の内容物をきれいに処理するための習慣を。

夜ごはんは、就寝の3時間前までに食べる。

寝る3時間前までに夕食をすませれば、おそらく翌日の朝食まで8時間以上の空腹時間を確保可能。

「この空腹時間にぜん動運動が活発化、腸の内容物がスムーズに動くので、翌朝の快便につながります」

ごはん中に何度か席を立つ。

「実は背すじを伸ばした正しい姿勢でものを食べると、消化管にガスが上がってくるので消化が遅くなるんです。食事中、何度か席を立って腸を動かすことがいい刺激になり、円滑に動きだします」

ゆっくりと湯船につかる。

「腸の働きに直接関係するというより、自律神経を整えるという意味で、就寝前の入浴は有効です」

リラックスして湯船につかり、副交感神経の働きを高めれば、寝ている間の腸の動きもスムーズに。

うつ伏せで10分過ごす。

「ふだんとらない姿勢をとると、腸の中の内容物が動きます。うつ伏せの姿勢は腸内のガスを刺激するため、お通じにも良い影響が」

ベッドや布団の上ではなくおなかが圧迫されるフローリングや畳の上が◎。

瓜田純久先生 東邦大学医療センター大森病院病院長・総合診療科教授。胃腸専門医から総合医療医に転身し、科をまたいだトータルな診療に携わる。著書は『便秘を治す腸活テクニック』(マキノ出版)など。

※『anan』2019年7月24日号より。イラスト・徳永明子 取材、文・石飛カノ

(by anan編集部)

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