――卒業後、何かやりたいことはありますか?
小嶋:今は何も決まっていないの。でも全然不安じゃない。もう12年も頑張ったし、スポットライトを浴び続けたいとも、第一線に立ち続けたいとも思わないから。ただ、表に出るだけじゃなくて、何かクリエイティブなことがしたいな、とは漠然と思っています。この先どんな仕事ができて、どんな人たちと接するか、って考えると期待しかないんです。
――秋元(康)さんが小嶋さんのために書き下ろした卒業ソング「気づかれないように…」が収録された、47枚目のシングル『シュートサイン』が最後の曲になりますね。秋元さんから、卒業に関して何か言葉はありましたか?
小嶋:んー忘れちゃった(笑)。でも何か決断する時とか、仕事の相談をLINEですると、いつもアドバイスをくれますし、たまにごはんに行ったりもするんだけど、あんなに面白いおじさんっていない。発想とか話とか例えとかが秀逸なんです。他にもいろんなお仕事をされているのに、AKB48の一人一人の性格まで把握してくれているから、身近な話もできるし。感謝しています。『シュートサイン』はプロレス用語でガチンコ勝負って意味で、それを本気の恋愛にたとえた恋愛ソング。ちょうどメンバーがプロレスのドラマをやっていることもあって、MVでもみんなレスラーの格好をしています。私、実はこれまでMVでがっつり映るってことがほとんどなかったので、こんなに主役になるのって初。伝説のレスラーが引退するというストーリーで、卒業にかけて
いるんです。
――最後のステージは、誕生日でもある4月19日の秋葉原AKB48劇場ですが、大きな卒業コンサートは「こじまつり~前夜祭~」「こじまつり~小嶋陽菜感謝祭~」(編集部注:2月21・22日に開催)ですね。演出やプロデュースにかなり関わっているそうですが。
小嶋:まず、会場は絶対に、原宿駅の目の前の国立代々木競技場第一体育館で、と決めていました。なぜかというと、私は12年前、原宿駅の表参道口に貼られていたポスターを見て、オーディションに応募したから。原宿はそういう意味では私の原点。その思い出の地が、最後に自分のTシャツを着たファンで埋め尽くされるのって嬉しいなって思った。だからファッションディレクターやデザイナーとして活躍している三浦大地さんとか、NIGO(R)さんなどとコラボして、卒コンの前にラフォーレ原宿で、グッズ販売のポップアップショップを出すことにしたんです。コンサートの演出を考えたり、衣装を決めたり仕掛けたりするのにも夢中で。全32曲のセットリストを決めるのもめっちゃ楽しかったんだけど、あ、これ自分も全部リハするんだっけ…って気づいてちょっと面倒くさくなりました(笑)。
――卒業するにあたり、ファンに特別な思いはありますか?
小嶋:私たちって劇場でも握手会でも、ファンとの距離感がすごく近かったんです。それがAKB48の強みなんですが、逆に近すぎて、感謝はしているんだけど、お互いにありがたみがわかってないと思う(笑)。もう友達みたいになっちゃってるんですよ。でも、このポーズとかこの写真は、ファンのみんなが好きそうだな、とかずっと考えながら活動してきて、それが今に繋がっている。だから最後にファンの方が一番よろこんでくれて、びっくりするようなコンサートにしたいと思っています。そして最後の劇場公演もお楽しみに♪
2月22日「こじまつり〜小嶋陽菜感謝祭〜」が始まる約1時間前、原宿の街は、小嶋さんがデザインした感謝祭Tシャツを着たファンで埋め尽くされていた。
このインタビューでは、なかなか卒業しなかった理由を「辞めるのも面倒だったから」と冗談交じりで答えていた小嶋さんが、コンサートのアンコールで、純白のドレスに身を包み、1万2000人のファンを前に涙ながらにこう締めくくった。
「私、なんでAKB48を卒業しないんだろうってずっと思ってたけど、今わかりました。AKB48が大好きだからです!」
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