
腸活や免疫ケアの心強い味方「ぬか漬け」は、手作りすることで、より自分に合ったヘルシーフードに進化するらしい…! そして実は、春こそぬか漬けの始めどき。日本古来の発酵食品のパワーを体感しよう。
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発酵由来の微生物が腸を整え、体調を底上げ
「ぬか漬けのおかげで便秘知らず。風邪もひきにくくなりました」と話すのは“糠漬けアーティスト”として活動する市川菜緒子さん。発酵が進んだぬか床には、乳酸菌や酪酸菌、酵母菌などの微生物が豊富に含まれる。これらが腸内環境を整え、特有の風味を生み出す。
「爽やかな酸味は乳酸菌、旨みや香りは酵母菌の働きです。味に満足感が出るうえ、米ぬか由来のビタミンやミネラルなどが野菜に浸透し、栄養価も高まります」
ぬか床をおいしく保つには、かき混ぜるなどの“お世話”が欠かせないが、「それがぬか漬けの楽しさであり醍醐味」と市川さん。
「ぬか床は生きもの。日々状態が変わり、漬ける野菜の味わいも違います。季節や家の環境、手の常在菌によってオリジナルのぬか床が育つので、その人に合った菌を取り入れられるともいえます」
乳酸菌が育つ適温は20~25°C。つまり春は、ぬか漬けの始めどき。
「3月に仕込めば1か月ほどでおいしくなり始め、みずみずしい夏野菜が出回る頃には、熟成したぬか床に育つはずです」
ぬか活の魅力は…
- 日々変わるぬか床を観察して五感が磨かれる!
- 自分だけの味わいが育つ!
- 手間をかけるほど愛着が湧く!
- 生きた乳酸菌が摂れて、腸内環境が改善!
- 栄養が増した野菜をサラダ感覚で食べられる!
市川さんのぬか活をのぞかせていただきました!
始めよう! ぬか活Q&A
奥が深い、ぬか漬けの世界。チャレンジするにあたり、知っておきたい基本を市川さんがレクチャーします。
Q. そもそも、ぬかって何?
A. 玄米を精米したときに出る米ぬかのこと。
玄米の外側にある胚芽・果皮の部分が「ぬか」。ビタミンB群やビタミンE、ミネラル、食物繊維、良質な脂質など栄養の宝庫です。
Q. 市川さん流、ぬか床の始め方は?
A. ぬか床に必要なのは、米ぬか、水、塩の3つ。
作りやすい分量は米ぬか1kg、水1L、塩100gです。材料をよく混ぜて容器に入れ、乳酸菌がたくさんついているキャベツの外葉を混ぜ込んで発酵を促します。3日ほどしてキャベツがしんなりしたら取り出し、新しいキャベツを入れます。これを2~3週間、4回ほど繰り返すと、ぬかに酸味が出てきます。そうなったら、ぬか床に乳酸菌が育ってきたサイン。野菜を漬け始めましょう。

市川さんは昆布、唐辛子、生姜も入れる。ぬかは無農薬、塩は天然塩
Q. 容器のおすすめは?
A. 乳酸菌が育ちやすい高さのある容器が◎ 。
ぬか床をかき混ぜやすい丸型で、高さのあるタイプがおすすめです。というのも、乳酸菌は嫌気性で、空気に触れにくいぬか床の中央から下部に多く存在します。浅く平たい容器だと、乳酸菌が育ちやすい環境が少なく、発酵が進みにくくなるのです。一方、ぬか床の表面には好気性の産膜酵母がいます。産膜酵母は白い膜を作る性質があるため、表面が白っぽくなることがよくありますが、カビではありません。そのまま混ぜ込んで大丈夫です。

高さのある円柱型がベスト。ホーロー製や陶器は、ぬか床の匂いがつきにくい。軽さ重視ならタッパータイプでも
Q. ぬか床の手入れの頻度、程度は?
A. 基本的には毎日混ぜるのが理想。できない場合は無理をせず。
ぬか床は毎日かき混ぜるのが理想ですが、できないときは2日に1回でも大丈夫。愛情を込めて、混ぜてください。ぬかの状態と味を見ながら、月に1度程度、新しいぬかと塩を足すことも大切です。足しぬかで水分調整をし、乳酸菌のエサとなる糖分を補給します。旅行などでぬか床をお休みしたい場合は、1週間程度なら冷蔵庫、2~3週間なら冷凍庫で保管を。常温に戻してよくかき混ぜれば、再開できます。

市川さんはぬか床に「ぬかこ」「ぬかお」と名付け、一年中常温で育てている
Q. 春に漬けたい、おすすめの食材は?
新玉ねぎ、ごぼう、セロリ、カブがおいしい季節!
春におすすめしたいのは、新玉ねぎと、生食できる春ごぼう。新玉ねぎは甘くて水分たっぷりでぬか漬け向きです。皮を剥いて縦半分に切り、水分の少ない外側を1~2枚外して漬けます。春ごぼうはそのまま漬けられますが、普通のごぼうをさっと茹で、冷ましてから漬けてもおいしいですよ。セロリやカブも春を感じる野菜。爽やかな香りやみずみずしさで旬の味を楽しんでください。漬け時間は、だいたい半日から1日が目安になります。

野菜の彩りで食卓が華やかになるのも、ぬか漬けの魅力
Q. ぬか床に漬ける時間、食べ頃は?
A. 自分の感覚で調整して食べ頃を決めてみて。
季節や野菜、好みによっても適した漬け時間は異なります。ぜひ、自分の感覚で食べ頃を見極めてみてください。夏は4~5時間で漬かる野菜もありますが、この時期ならまずは1日漬けてみて、味見をしながら漬ける時間を調整するとよいと思います。同じ野菜を漬けても、味が微妙に変わるのもぬか漬けの面白さ。漬かりすぎて“古漬け”になったら、細かく刻んでチャーハンに混ぜたり餃子の具材にしたり、アレンジするのも楽しいですよ。
Q. 野菜の下処理の方法が知りたい!
A. 3種類の方法を野菜に応じて使い分けると◎。
そのまま食べてえぐみのない人参やカブなどは下処理不要。洗って水気を拭いて漬けます。少しアクのある野菜は塩もみを。きゅうりは塩を振って板ずり、ナスは縦半分に切って塩でもめば、アク抜きできます。小松菜やカブの葉も、塩でもんでしんなりさせてから漬けましょう。生食できない野菜は火を通しますが、ぬか床は熱に弱いため、冷ましてから漬けるのがポイントです。干し野菜を漬けるのもおすすめ。独特の旨みと食感が味わえます。
下処理1|そのまま:人参、カブ、大根、セロリなど
下処理2|塩でもむ:きゅうり、ナス、葉物類
下処理3|茹でる/蒸す:ごぼう、芋類
番外編|干す:ぬか漬けに飽きてきたときや野菜が多いときに。きゅうりや大根を干してから漬けても。
編集部が探しました! 自宅で簡単に始められる、“スターターキット”のすすめ
ぬか床をイチから育ててみたいけれど、やっぱりハードルが高い…。という人のためビギナーでも始めやすい、冷蔵庫で育てるタイプのぬか床と容器をご紹介。
市川さんによると、ぬか床は冷蔵庫に入れると発酵がゆっくり進むため、常温発酵のぬか漬けとは味わいが異なるそう。市川さん流の本格的なぬか漬けに挑戦する前の“練習”としてトライして、違いを楽しむのもよさそう!

有機ぬかを1か月以上発酵・熟成させたぬか床1kgと容器のセット。買った日から漬けられる。オーガニックわたしのぬか床容器付き ¥1,620(金沢大地 TEL. 076-257-8818)

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教えてくれた人
Profile
市川菜緒子さん
糠漬けアーティスト、管理栄養士。自然栽培の米作りや野菜作りを行い、ぬか漬けライフを満喫中。著書に『はじめてのぬか漬けレッスン』(山と溪谷社)があり、オンライン講座も年に4回開催。
anan 2488号(2026年3月18日発売)より






















